マイクロノベル集 139
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二日前、そこにはキャンディーが落ちていた。昨日は包み紙が。誰かが食べたのかと疑っていたが、今日は血がついた葉っぱが落ちていた。事件の予感がする! 「大した推理だね、タヌキさん。あんたは作家になった方がいい」うん。叙述トリックから始めたよ。
967
「若い者には負けたくない。その一心で美容と健康に気を遣い、学問に打ち込み、タイムマシンを開発してこの時代にやってきた。しかし寿命だ。私よ、記録ノートをここに置いていく」わっかんねー。途中で劇的な変化があったらしく、ギャル文字で読めないんだよ。
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どんじゃらほいするために森の木陰を作ったぞ。そこの人、いっしょに楽しくどんじゃらほいしませんか。今なら入場料は安くしますよ。ルールにはきちんと目を通してね。あっ、こら、どんじゃらほい以外は禁止です! もうっ、みんな自分勝手で困るよ。
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一夜漬けしたのに範囲を間違えてしまった。見知らぬ試験問題ばかりが並んでいる。くそう。唯一の救いは隣の席が学年一の秀才だってことだ。ここはカンニングを……。「これ、暇つぶしで見たテレビでやってた問題だな」こいつは暇つぶしが試験勉強になるのか!?
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公園のベンチで休んでいたら頭を撫でくれと犬が寄ってきたので、満足するまで撫でてあげた。しっぽを振りながら飼い主の元に返っていく。ぼくの娘もよくあんな風にやってきて、そして帰って行った。もう30年前の話。
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