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君との境界線

君との境界線は0だった。
24時間ずっと一緒で、
抱っこじゃないと涙がでていて

ずっとおっぱいで育ったから
私がいないとお腹も満たされない。

お腹の中にいた時から
境界線はなかったのに

いつからか少しずつ
君と私の間に境界線が生まれて、
それは太く濃くなっていった。

自分でやりたい、と泣くようになって
思い通りにいかないと怒って、
だけどママが手をだすと
「じぶんで!」と
どうにかひとりで
やりきるようになった。

そして、大きな黒いランドセルを
背負うようになった君は、

自分でやりたい気持ちと
甘えたい気持ちの間で、

私との境界線の狭間で
いろんなことに格闘している。

きっと私は
君よりもたくさん経験しているし
君よりもたくさんのことを知っているから

君が悩んでいることを
すっと軽くする方法を
たくさん教えてあげられる。

でも、私と君の間にある
境界線を越えてはいけないから
私はただ、「伝える」ことしかできない。

こうしたら、きっとうまくいくと、
ママは思うよ。

こういう方法だって、あるよ。

そうやって、伝えるしかできない。

私がその境界線を0にして
君の側まで行ってしまったら

きっと私は
君にとって大切なものを
奪ってしまう気がする。

赤ちゃんだったときは
この境界線はなかったのに、

いつだって
境界線0の場所まで行けたのに

君の成長は嬉しいけれど
この境界線はもどかしい。

だから私は
君がピンチになった時に
すぐに助けてあげられるこの距離で、

君と握手ができるこの場所で
見守っていようと決めた。

きっとこの境界線は
これからもっと太く濃くなって

これ以上来ないでと言われる距離も
どんどん広がっていくんだと思う。

だけど、きっと
この境界線があるからこそ

君は世界を冒険することができて
もっともっと大きく逞しく
成長していけるんだと信じて。

私はずっとここで
君を見守っていようと思う。


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