釜山の夜、謎の女について行ってみた。Part2|スーパーでの攻防
この作品は『釜山の夜、謎の女について行ってみた。ー逆ナンは唐突にー』から始まるシリーズのPart2です。よろしければ始めからどうぞ。
以下、数回にわたって彼女が伝えてきた内容
…おもしろそうだ。非常に怪しいが、怪しいからこそおもしろい。
危険そうだったらすぐに引き返せばいい、とりあえず何が起こるか試してみよう、と思い私はすぐにYes!と答えた。
この時点で私は日本の墓参りのようなものをイメージしており、20分もあれば帰れると思っていた。この考えがいかに甘いものだったかを後々思い知ることになる。
彼女のさらなる主張
…okay とにかく彼女の言う事に従おう。
我々は2m先のスーパーに入った。まず彼女は酒の棚に向かう。そしてマッコリを買い物カゴに入れた。私はソジュ(韓国の焼酎)のほうが僅かに安かったのでそっちにしようと主張したが、こだわりがあるらしく、却下された。まあいい、たかが40円の違いだ。
その後はフルーツの棚に向かう。彼女は無断でカゴに果物を入れ始める。林檎、ミニトマト、マクワウリ(黄色くて甘いウリ)…酒をあわせたら3000円を超える。興味本位で使うには痛い出費だ。
どうするべきか…私がとった行動は、ごねる。この一択だ。
私はフルーツはいらないと断固として言った。しかし彼女も譲らない。先祖への礼儀として酒とフルーツは必要だと言い張る。
何度か不毛なやり取りをした挙句、我々はマクワウリだけを買うという結論に落ち着いた。これで1500円、ギリギリ出せる金額である。
ほかに50cmくらいの干した魚も買わされそうになったが、断固拒否した。(確か3000円くらいした)
上記では私はいかにも彼女の言うことを信じているような行動をとっているが、実際はそんなことないのである。常にある疑いが常に私の頭にこびりついていた。
彼女は強盗かなんかの手先で、ウブで純真な私を騙して金を奪い取ろうとしているのではないか…
そういう訳で私は彼女の前で財布を出したくなかった私は、彼女にこういった。
「俺マジで金なくてこんなの買えないわ!お姉ちゃんが払ってよ!」
しかし彼女も拙い英語で一生懸命応戦してくる。
「君の先祖に祈るから君が買うんだよ。自分の買える範囲でいいから。いくら持ってる?」
一気に彼女への警戒心が強まる。私の財力を把握してカモにするか決めるのかもしれない。しかしその割には彼女はあまりにも無垢すぎる。葛藤の末、私は諦めて供物を買うことにした。
ポケットから財布を出す、緊張の一瞬…!
私の不安をよそに、彼女は財布の方を見ようともしない。拍子抜けした。
だがまだまだ安心はできない。油断させておいてその隙に金を盗もうとしているのかもしれない。
何はともあれ、供物は買った。Mも一応満足したようである。
やっと我々は祈りの場所へと歩き始めた。
暗い路地などに入っていくことになったらすぐに逃げようと警戒心を固めていた………………少なくともこの時は。
続く
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