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another story-ほんとのところ⑥

レッスンが終わり「ありがとうございました」と一礼した。

よーちゃんは週に4日レッスンの仕事をしている。
週末を必ずお休みにするのは
その日にライブのお仕事が入ることが多いから。

そうなると、一日丸っとのお休みは月曜日だけになる。

会社勤めの私にとって週明けの忙しい月曜日に
よーちゃんに会わせて休みを取るのは、とても気が引ける。
だから、よーちゃんに会うのは月に一回あればいいかな。
そう、きっとその方がいい。
無理するときっとどこかでボロが出るから。

そんなことを考えながらトートバッグにファイルやスティックを片付ける。

「なぎちゃん、SUPって知っている?」

SUP?一瞬ポカンとして、あれのことだ!と思った。

「やったことはないけれど、海で見かけたことはあるよ。
サーフィンのボードの上に立って漕いでいるのでしょ?
やってみたいな、でも、難しそう」

「やってみる?」

「うん、やってみたい!」

ふたつ返事で決まる。

「いつ行こう?なぎちゃんのお休みはいつ?」

「前もって会社に言えば休みを取れるから、よーちゃんに合わせるよ」

「来週の月曜日はどう?」

来週か、急だな・・・
会社には事前に休むことを伝えれば、何とかなりそう。
当日に欠勤するよりは、まだいい。
大丈夫、何とかなる。
ほんの数秒で考えた。

「大丈夫、ちょうどお休みにしていたの!」

「良かった!じゃぁ、また時間とか連絡するね。
LINE、まっ、インスタがあればいいか」

LINE教えて、と喉元まで出かかった言葉を飲み込んだ。
よーちゃんはインスタがあればいい、と納得している。
それに反する気持ちを言ってはいけない気がした。

好きになった方が負けとは言うけれど今の私にはその言葉がぴったり。

私の気持ちの方が重い・・・
私を右に、よーちゃんを左に乗せた天秤は
右に傾いて崩れ落ちてしまう。
これじゃ、いつか何らかの拍子に音を立てて崩れてしまう。
相思相愛。そんな関係になれるのだろうか・・・

「SUPってどんな格好でやるの?」

「濡れても良い恰好。下に水着を着て上にラッシュガードとか
ほら、海やプールで泳ぐときと同じって考えればいいよ」

はっとする。水着なんてここ10数年着たことない。
この歳になって水着を着ることになるなんて。

「そうなんだ、もっとすごい装備がいるのだと思っちゃった。
すごく楽しみになって来ちゃった」

「絶対に楽しいよ。また連絡するね」

よーちゃんは時計を見上げて言った。
次のレッスンの生徒さんが来る時間。
よーちゃんは私をギュッと抱き締めてキスをする。

私の腰を両手でしっかり押さえつけて
奥まで挿入する先生の姿を思い出すと
胸がぎゅうっとして下着に温かい愛液がしみ込んでいくのが分かった。
よーちゃんの手が私の腰に降りてきたとき、ダメ、と言って体を離した。

「続きは月曜日ね」

よーちゃんの耳元で囁いた。

「でも、我慢できない」

よーちゃんのパンツのファスナーを下ろし
パンツの前の隙間に指を入れ性器を撫で口に含んだ。
ちらりと顔を見上げる。

「あ、あぁ、、なぎちゃん、ダメだよ、、、」

口ではそう言っても嫌がる素振りはない。
私の髪を撫でながら小さく腰を前後に動かしている。
もっと、もっと奥まで、、そう要求しているみたい。

亀頭を中心に舐めまわし
一度だけ根本まで深く咥えると、さっと抜き去った。

「続きは月曜日ね」

さっきと同じ台詞を言って
何事もなかったかの様に、ありがとうございました、と教室を出た。




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