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45歳、もう一度恋をしてみました④

今日は2回目のレッスンの日

大人になってからの習い事はどうしてこんなに難しいのだろう?
考え過ぎずに思い切りやってみて。
そんなことを言われても考えてしまう。

「先生わかんない。助けて」

先生の顔を覗き込む。

「助けてって、、、自分でやらなきゃ」

先生は少し呆れ顔で、でも笑顔を崩さない。
そんなところが好きかも。

「次はこれね」

差し出されたプリントを受け取る。
端っこにポケモンのキャラクター入りの手書きの譜面。
こういうの、子どもは喜ぶよね。

八分音符が四つ並んだ8ビート。
①から⑧まで番号が振ってある。

先生は①を指して「これ分かる?」と聞いた。
「はい」と答えてゆっくりやってみた。
「出来るじゃん、じゃぁ、練習してね。おっ、もうこんな時間」
先生は時計を見上げる。
30分があっという間に過ぎていた。

あと、もうちょっと、もう少し時間があれば、出来るのに。。。
これじゃ、尻切れトンボみたいな気分。

トートバッグを肩に掛け帰る準備をしながら聞いてみた。

「先生は、おいくつなのですか?」

「45歳だよ」

「じゃぁ、同い年ですね。独身ですか?」

「うん、独身だよ」

「なぎさんは結婚しているの?」

「はい。20歳の娘がひとりいます」

「20歳?大きいね、そんな風に見えない」

「そうですか?結婚が早かったので」

仕事で出会う同年代の男性に感じない自由さも
独身という身の上からくるものなのだろうか。
独身と分かりどこか安心している私がいる。

ありがとうございました、と部屋を出て
そう言えば来週は休講だった、と気づいた。
来週は会えないのか。。。
学生時代に好きな人が欠席と知り
そっかぁ、休みなのかと残念に思ったとき。
あの時の甘酸っぱい気持ちと似ている。
これって、恋の始まり、、なのかなぁ。

年甲斐も無く恋の始まり、なんて考えている自分を気持ち悪いと思った。






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