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45歳、もう一度恋をしてみました①

店舗入り口にある講師紹介のパンフレットを眺める。
ここはショッピングモールに入っている楽器屋さんの音楽教室。

唇をすぼめて親指と人差し指を前に突き出した
独自のポーズをとった写真。
写真から伝わる雰囲気は陽気なおじさん。
この人だったらどうしよう。
ネガティブな性格の私と正反対で絶対に合わないと瞬時に感じた。

だから、、、
部屋に入って、ドラムを教えてくれる先生が
その人だと分かったときは「わっ、嫌だな」と思った。
ごめんなさい。。。

でも、まあ、いいっか。
体験教室はどうせ一度きりなんだし。

体験教室の申し込みをする約一か月前のことだ。

今は第一線を退き
地方で音楽の仕事をしている人のドラム教室に通おうとしていた。

ドラムをやりたかったというより
教えて貰うを口実にして、その人にどうしても会いたかったから。

でも、ドラムなんて中学校の音楽の授業以来触ったこともない。
いくらその人が「初めてでもいいよ」と引き受けてくれても
日本全国から、どう考えたってレッスン代より交通費の方が高いのに
それでも通っている人のことを考えたら
不純な動機がとても申し訳なくて取り敢えず
一回だけでも体験教室に行ってみようと考えた。

だから、性格が合わないとしても、一度切りだから大丈夫。
それくらいにしか思っていなかった。

「初めまして。西村です。よろしくお願いします」

「はじめまして。酒井と申します。よろしくお願いします」

挨拶をして顔を上げた瞬間
意外と可愛い。。。と思った。

笑うと目が細くなって、あまり自己主張のない鼻と口。
お地蔵さんみたい。。。この表現は失礼なのかな?
小さな丸顔がより一層お地蔵さん感を際立たせていた。

ピンバッジがついた黒いベレー帽に
白いTシャツに黒のパンツ
足元はスニーカーというカジュアルな服装。

仕事で出会う同年代の男性には感じられない自由な感じがした。
それがとても新鮮に映った。

さっきまでの「わっ、嫌だな」が一瞬で吹き飛んでいった。

この人ならいいかも。。。
その先生の笑顔に釣られて、私も笑顔になっていた。

それが陽ちゃんとの最初の出会いだった。

<<続く>>







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