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残したいのに縮小している食文化

ウチの先生(当協会代表の、梛木春幸のことです)は鹿児島は枕崎出身。
枕崎はカツオの水揚げが全国有数で、カツオブシ生産の本場でもあります。

ところが日本人の和食離れが進むにつれ、カツオブシ業界が縮小しており、ウチの先生はいつもこれを嘆いています。
かつては800軒あったカツオブシ製造所が、いまでは20軒。

皆さんのお住まいのエリアや故郷にも、こうした「残したいのに縮小している食文化」があるのではないでしょうか。

筆者の故郷は、石川県の「フグの卵巣の糠漬け」の生産地の近くです。
かつては「フグの卵巣の糠漬け」を数十社が作っていましたが、いまはわずか5社です。
ここでも日本の食文化の1つがトホホ状態になりつつある。

フグ食う日本人

そこでフグの話ですが。
フグが毒をたくわえているのは、やっぱり食べられたくないからだと思うんですよね。
食べられずにすむ自信もあるんじゃないかと。

だからきっと、釣りあげられたときなども、
「おいらを食べたら死んじゃうんだから、食われっこねえ」
とか平然と思ってるんじゃないでしょうか。

でも日本人はこれを食べてしまう。
日本人やばいです。
もし筆者がフグの王様だったら、日本近海には近づくなと遊泳禁止令を出すだろうな。

しかし日本人も日本人です。
ほかにも食べものはいろいろあるし、魚だっていろいろあるのに、何もわざわざ命の危険をおかしてまでフグ食う?
じっさい、フグ死する人が多いから、歴史上何度も「フグ食禁止令」が出ています。

ま、松尾芭蕉はこう言っていますけどね。
「河豚汁や鯛もあるのに無分別」
(ほかにもたとえば鯛というおいしい魚もあるのに、なぜ毒の危険をおかしてまでフグ汁を食べるのか。フグの味の魅力を表現した名句)

フグの卵巣の糠漬けの謎

フグの卵巣の糠漬けに戻りますが。
毒の強いフグの卵巣を3年間、糠漬けにすると、毒が抜け、珍味になります。
かなりしょっぱいので、酒のつまみにせよご飯のおともにせよ、チビチビ食べることになりますが。

筆者はフグの卵巣の糠漬けを「謎食」だと思っています。
なぜなら、3つの不思議があるからです。

  1. なぜ、先祖は毒性の強いフグの、さらに毒々しい卵巣を食べたいと思ったのか?

  2. 糠漬けにしたら毒が抜けるとわかったきっかけは?

  3. 先祖は「3年たてば食べられる」ことをどうやって知った?

これについて別の記事で考察してみたので、読んでみてください。


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