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「【推しの子】」は単なる復讐譚なのか?
本日も雑記をしたためていこうと思う。
「【推しの子】」拝読しておる。
ワイは原作派なので、ジャンプ+にて、楽しく読ませてもらっとる。
さて、ワイはお分かりの通り厄介オタクなのである。
考察厨で、創作野郎、おまけに心理学を齧っとるもんだから、その作品の象徴を読み解いた気になっては、どういう解釈ができて、どういう意味があるのかみたいなのを日がな一日考えて、ゲヘゲヘと楽しんでいる。
今回、ワイのそう言った考察という名の嗜虐の被害を受けたのは、「【推しの子】」、ひいては、主人公、アクアくんであった。
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アクアくんにとって、星野アイの復讐は、何をもたらすものなのか、その意味を解釈してみたわけである。
ここで推しの子のあらすじを確認しよう。
主人公の青年が死後に前世の記憶を持ったまま、推していたアイドルの子供に生まれ変わる「転生もの」。ファンタジー設定でありながら、サスペンス要素や現代社会を投影した展開、芸能界の闇へ切り込むリアルさが本作の特徴である
主人公の青年は、産婦人科医ゴローなわけだが、
よく考えて欲しい。
やばいほどのストレス状況下である。
何ヒットほどあるのか、数えてみた。
※ここからネタバレバンバンしていくので、
ネタバレ嫌マンはUターンしてください。
推しが誰ともわからない男の子どもを妊娠している。1hit!
推しのストーカーに殺される。2hit!
推しの子どもとして転生してしまう。3hit!
推しである母が目の前で殺されてしまう。4hit!
推しである母の嘘偽りない、自分に対しての「愛してる」を聞いてしまう。5hit!
推しである母を殺した黒幕が、父親である可能性が浮上する。6hit!
などなどなど。
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これは大変だ〜〜〜〜〜〜〜。
もしクライアントさんとしてアクアくんがやってきて、ワイにこういう話をしたら「大変でしたね……………………」が開口一番だと思う。
心理屋は診断をつけないけれど、こういう複雑なストレス状況下に長期間晒されてる様子を見ると、複雑性PTSDの発症を視野に入れたくなってしまう。
複雑性PTSDとは
複雑性心的外傷後ストレス障害(complex post–traumatic stress disorder:CPTSD)は,国際疾病分類第11回改訂版(ICD–11)にて,新たに採用された診断項目である[1]。児童期虐待などの持続的反復的なトラウマ体験によって,通常のPTSD症状以外の多様な症状が出現することは多くの臨床家や研究者に認識されており,独立した診断項目への採用も度々議論されてきたが,国際的な診断基準で採用されたことはなかった。
アクアくんの中の人、ゴローは、3度、根源を失っていると思う。
まず、死亡時。ゴローの肉体の死。
ここで、転生したことで、ゴローはアクアとして周りから認識されるけど、中の人はゴローなので、明らかな差異が生まれてしまう。「自分が何者なのか」というのが曖昧になってしまう可能性がある。
2度目と3度目は同時だ。星野アイの死亡時。
アクアという人間の根源を作った母の死、そしてゴローの希望の根源であった推しの死。
アクアの肉体を生み出したのは母である星野アイ。そのアイが目の前で死ぬという体験は、根源の喪失以外の何者でもない。
同時にゴローとしては、推しという希望の根源が、目の前で尽き果てるという、
慄くほどの喪失体験がそこで発生している。
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そして、復讐である。
根源を失ったアクアくん、ないしはゴローは父殺しを行う決意をするわけである。
さて、心理学では、父殺しというのは、象徴として非常に意義深いものとして定義されている。一方で論争も絶えず、ここら辺に関してはちょっとセンシティブな話になる。
まぁ、その論争については置いておく。
「エディプス・コンプレックス」という言葉がある。
エディプス・コンプレックス
人間の無意識内に存在する異性の親に対する性愛と、同性の親に対する敵対心のこと。心理学者のフロイトが提唱したもので、主に男根期(3〜6歳ごろ)に見られる。
父に対する葛藤を乗り越えることこそが、心の成長を進めて行き、自分自身たらしめるものを獲得していく礎になっていくのである。
となると、アクアくんは、これを行えていない。そもそも父に会えていないし、父が何者であるかが、ずっと秘匿されている。そして、黒幕として君臨しているであろう父をアクアくんは見つけることができた。
父は何者で、アイにとって父はどういう存在だったのか。それを解き明かし、最後にアクアくん自身の手で復讐することは、アクアくんのアイデンティティ獲得には絶対条件になってくる。
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そう、これは単なる復讐譚ではなくなってくるのだ。
「星野愛久愛海は、何者か?」という話になってくる。
ゴローとしての人格を宿し、推しである星野アイの息子として生きる定めを受けた彼は、どうやって自身の人生を掴み取っていくのか?という、アイデンティティ形成の話に思えてならない。
だから、必ず、この復讐を、星野愛久愛海の手によって遂げて欲しい。
厄介オタクワイは、そう思っちゃうんだな。
ということで、まぁ、あちらこちらに話は飛んだし、構成とかもなんもないけど、書き連ねてみました。
やっぱこういう考察楽しいね〜〜〜〜〜〜〜。
は〜〜〜あ、これだから厄介考察オタクはやめられねぇ。
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