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もうあかんわ


もうあかんわ。と思う時に怒って欲しい、寄り添って欲しいと思う人がただ1人僕にはいてる。それが、ばあちゃんの存在である。僕は関西一の生粋のばあちゃんっ子であると自負する程に大好きである。

小さい頃、母が仕事の為ばあちゃんの家に預けられた事があった、ばあちゃんちにはウー君と言うシーズーが居てて、それはそれは凶暴やった。凶暴が故にウー君は小さい僕に噛みつき、ほんの少し顔に傷を負った事があったんやけど、ばあちゃんは「もうあかんわ、こんなん娘に説明つかへん。」と、ひどくパニクった挙句、僕を連れて家出を計画したらしい(それはあかん)

母が仕事を終わりばあちゃんちに僕を迎えに行くと荷造りされた荷物と、幼い僕、泣きじゃくるばあちゃんとウー君。結局未遂に終わり無事僕はばあちゃんに誘拐されずに終わった。
ばあちゃんは僕に対し、人生をかけて愛を注ぎ、正面からぶつかってくれる人だった。そして笑顔が誰よりも似合う人だった。
そんな、ばあちゃんは3年前に癌になって亡くなってしまった。あんなに僕の側で当たり前に居てたのに死んでしまう時は早かった。

あれから僕の人生で、もうあかんわぁと心が折れそうになる時は、今や!今こそ誘拐してくれや!ばあちゃん!と思うのに、大事な時に居ない。
その度にばあちゃんとの記憶を引っ張り出しては、半べそをかきながら強くならなあかんなぁと前を向く。
なんやかんや今でも助けられてるのは僕の方かもしれない。


岸田 奈美さんが、みんなの「もうあかんわ」と思った話を募集していたので応募したものを自分のnoteにも残したくて今回は投稿しました。


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