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楽しいことだって疲れる

昨日のプール活動の時間のことです。
特別支援学校に通う中学生の女の子。
彼女との付き合いもずいぶん長くなってきました。
すると、言葉があまり出ない彼女ですが、意思疎通はとても上手に図り、充実した素敵な時間を組み立てられるようにもなってきました。

そんな彼女ですが、先週、修学旅行に行ってきたそうです。

「行くまでは楽しみにしていたようで、落ち着いていたのですけど、帰ってきてから…」とお母さんが家での困りごとを聞かせてくださいました。

それはちょっと大変だよなぁ。

その話を聞いた時点では、ただ率直にそう感じました。
彼女にも「それは周りが困るから止めようね」という旨のやり取りをちょびっとしました。

ところが、一緒に泳ぎ始めたら、すぐにこの考えは変わりました。

あぁ、チョー疲れてるんだ。

彼女の表情、姿勢、泳ぎ方…
そして、ガラス越しに見学しているお母さんのほうを時折見て「が、ん、ば、る」とポーズとともに口にする彼女。

よし、今日はいつものレッスンはやーめた。
いつものメニューをいつものペースで泳ぐことに意味がないと感じました。
完全に直感ですw

彼女を水面であおむけに浮かべて、背中や後頭部あたりに手を添えて支えて、僕が水中を歩きながら彼女の身体をゆらゆらと揺らしました。

リラクゼーションサロンぐるんぱですw

5分程度揺らして、ゆっくり1周泳いで、また5分程度揺らして、ゆっくり泳いで…
泳ぐ量は、いつもの3分の1くらいです。

徐々に体の動きが柔らかく、表情も優しくなってきました。

時間もいつもより5分ほど早く切り上げました。

上がるときに「いつもと全然違うことしちゃいました~」とお母さんに一言声をかけながら更衣室で彼女が戻ってくるのを待っているお母さんに声を掛けました。
少々不安そうなお母さん。
「上がってから、今日のプールのことをお伝えしますね~」

上がって再度合流して、お母さんに説明をしました。

「めっちゃ疲れているように感じたんですよね~。頬のあたりも固そうだし、腕の回し方もぎこちないし、何より目が『疲れてるのぉ』って言っているような気がしました。」
「修学旅行って楽しかったと思うんですよ。でも、『楽しいイコール疲れない』ではないですよね。」
「『出来るだけいつも通りに』って周りはついついしちゃうことも多いんですけど、彼女みたいなタイプの子と関わるときには…でも、疲れているときには休ませるのも僕は支援だと思うんです。」
「何か活動を提供するだけじゃなくて。」
「僕らもリフレッシュって言いながら出かけたり、するじゃないですか?それってほとんどが『気分のリフレッシュ』で、終わったら気分はすっきりしてるけど身体は疲れてる時ってありますよね?そんな感じだと思うんです。」
「で、僕らはその疲れ具合で翌日のペースをコントロールすると思うんですけど、彼女の場合、周りにペースも作られてしまいがちですからねぇ」

こんなお話をしました。

お母さんからは
「たしかに。終わってから更衣室では、プール前にはしつこく何度も訴えてきてたのが、全くなかったです。」
「少しゆっくりできたのがよかったのかもしれませんね」

と、目に見えて困りごとが一時的にでも(ここでの様子しかまだわからないので)、減少して、納得してもらえたようです。

ゆっくり。
どの子にも必要なこと。

そして、また歩み始める。


僕は「シャンとしようぜ」みたいなノリで子どもたちと過ごすことも多いですけど、基本的には僕の価値観とか感覚で感じた、その瞬間の子どもの様子でスタンスを変えていくようには心がけています。

「計画的ではない」かもしれませんが、いつもと違う過ごし方も出来るようになったほうが便利だと思うから、こういう場面のために関係作りだけは計画的にやっていっているつもりです。

子どもの表情が柔らかくなったり、保護者が安心した声や表情を見ると、こういう感じでまたぐるんぱらしく、永田らしく目の前の人とお付き合いをしていこうと思えます。

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