『夏帆』村上春樹ー読書メモ#1

『夏帆』村上春樹 新潮2024年6月号
純文学度:45
キャラ:4
テーマ:5
コンセプト:1
展開:2
文体:3
数字の意味については、以下の記事を参照ください。

世界広し、といえども、初の村上春樹読了作品が『夏帆』というのは結構レアじゃないかなと、我ながら思う。
よくよく考えれば、「初」とか「第1回」といった称号には何の意味もないのだが、どうも人間という存在は、初めてのものに特別意識を持ってしまうようである。
かくいう長良も、1回目の投稿内容を特別視する必要性はない、と頭では分かっていても、1回目の読書メモが村上春樹なのは、ちょうどいいと思ってしまっている節がある。
この「初物丁重思想」についても考えてみたいとは思うのだが、そろそろ小説の内容に入りたい気もする。

まず、初めて村上春樹の小説を読んだ感想としては、めちゃくちゃ読みやすい文体だな、ということ。
癖がないというか。引っかかりなく読める。
個人的にこういう文体は大好きだ。
村上春樹が広く読まれるというのも納得。

ストーリーとしては、デートの度に、あなたみたいな醜い人とデートをしたのは初めてです。という、悪趣味な男に気に入られた絵本作家が、自分の失くした顔を探す、というストーリーの絵本を書く、みたいな流れ。

テーマはわかりやすいところでいくと、ルッキズム。
ルッキズム批判に熱心な一方で、見た目を良くするためのコンテンツに溢れているという、世間の矛盾を、切れ味鋭く表現しています。
長良的には、色んな価値判断基準があっていいと思うし、それを押し付けるのが良くないとは思うんだけど。
この辺の社会的テーマは、色んなことが考えられるけど、読書メモの趣旨からは外れるので、テーマの深堀は一旦ここまでかな。

後、悪趣味男の名前が佐原っていうんだけど、主人公がわざわざ砂漠と同じ名前だ、って言及してるんですよね。
なので、良くある名前考察というか、砂漠というモチーフについての考察も、色々捗りそうですね。

とりあえず、読了後すぐに考えたのはこんなところかな。
ルッキズムとかフェミニズムみたいな社会的分野ってあまり興味持てないんだけど、ぼちぼち勉強していきたいなーとも思う今日この頃です。

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