『夢の切れはし』金井美恵子ー読書メモ#4

『夢の切れはし』金井美恵子
新潮2024年6月号
純文学度:85
キャラ:1
テーマ:4
コンセプト:3
展開:2
文体:5
※数字の意味については、以下の記事を参照ください。

金井美恵子さん初小説。
久しぶりにむじー小説を読んだ。
内容は、何十年も前になくなった母が、30代の姿で歩いているのを目撃したのをきっかけに、当時の思い出を語る、みたいな感じ。
たぶん、50年以上前の日常的な描写をしていると思うんだけど、さらっと読むだけでは頭にしっかり入ってこなかった。
当時を知ってる人からすれば、すんなり入ってくるものなのだろうか。

内容については深く語れないんだけど、文体についてはちょっと思ったことがある。
特徴としては、一文が長いのと、地の文に()を使ってその時の状況を事細かに説明していることが上げられる。
これは、少し前に読んだ古川真人さんの『背高泡立草』を読んだ時と同じ感想。
本当の現実というか、現実に限りなく近づける描写を心がけようとすれば、自然とこの文体になるんじゃないかな、と現状では考えています。

この小説に限ったことではないのですが、文体のパラメータの扱いについて、ちょっと悩んでいることがありまして。
というのも、文体って作品固有のものももちろんあるんですが、どちらかというと作者によって癖の強さが変わってくるじゃないですか。
元々文体に特徴がある作者の小説を分析するに当たって、作者としての特徴をどれだけ作品としての特徴に反映させるかっていう、この塩梅が難しいな、と今1人で勝手に思い悩んでいます。
自分で考えて自分しか使ってないパラメータなんだから、好きにしろよって感じなんですけどね笑
まあ、このパラメータも絶対不変的なものではないですし、特に初めて読む作家の小説は、あまり難しく考えず、その時読んだ反応で決めていこうかなと考えています。
他の作品が同じ文体か確かめるためにも、金井美恵子さんの別の小説も読んでいきたいですね。

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