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【マッチプレビュー】2023 J3 第16節 AC長野パルセイロvsFC今治

2023 J3 第15節 振り返り

試合結果

奈良0-2沼津
YS横浜0-0FC大阪
岩手1-0松本
富山2-1八戸
愛媛2-1相模原
今治2-0讃岐
北九州1-1長野
琉球0-3宮崎
福島0-2岐阜
鹿児島0-1鳥取

 2023 J3 第15節 各会場の結果は上記の通りホームチーム勝利試合が4つ、アウェイチーム勝利試合が4つ、ドロー決着試合が2つとなった。徐々にシーズン折り返しも近づき、拮抗したリーグ戦の様相も徐々に団子状態が崩れかけている。上位クラブの各結果も、それぞれ明暗が分かれる状況が見られた。富山・愛媛は順調に勝点3を積み重ねたが、松本・鹿児島・奈良は敗れて足踏みという結果になった。
 前節終了時点で首位に立っていた富山は、八戸をホームに迎え、2-1で勝利を収めた。八戸戦の勝利で今季ホームゲーム無敗記録を『8』まで伸ばした富山。ホームゲーム無失点記録は、『5』で途絶えてしまったが、2点のリードを優位に利用して八戸の追撃を逃げ切った。2014シーズン以来のJ2復帰に向けて、素晴らしい前半戦を過ごしていると言える。
 前節終了時点で2位につけていた鹿児島は、ホームで鳥取を相手に0-1の敗戦を喫した。第15節の長野戦ではアウェイで勝利を収めたが、ホームゲームでは2試合連続して0-1で敗れることになった。昨季から大嶽監督の下で基本スタイルになっている整備された攻撃だが、エース米澤の怪我も響いてか爆発力に欠ける試合が散見されている。

順位表

 第15節を終えて昇格圏内につけたクラブは、富山・愛媛となった。シーズン序盤は、毎節終了ごとに首位が入れ替わることが恒例となっていたが、ここにきて富山が首位を堅持する状況が続いている。
 首位を守った富山は、今季6度目の首位位置につけることになった。15試合終了時点で勝点『30』と、昇格ラインと言われる1試合平均勝点2.0の目標を順調に達成している。今季は、序盤から団子状態が続き、抜け出すクラブが出てこない中で、富山は早くも昇格争いを牽引する立ち位置につけたと言える。
 2位につけた愛媛は、今季ここまで首位に立った経験は1度もないが、常に上位につける戦いぶりを見せている。上位3クラブに入った回数は今季これまで7度あり、着々と2021シーズンぶりのJ2昇格に向けて勝点3を積み重ねている。富山と同様に、4位以下となる回数が少なく、基本的には上位3位以内につけていることが多い。現状では、好調の富山に唯一くらいついているライバルと言えるだろう。

2023 J3 第16節 プレビュー

宮崎vsYS横浜
沼津vs北九州
相模原vs八戸
松本vs愛媛
長野vs今治
富山vs鹿児島
福島vs奈良
鳥取vsFC大阪
讃岐vs琉球
岐阜vs岩手

 2023 J3 第16節 各会場対戦カードは上記の通り
 首位に立つ富山は、ホームに鹿児島を迎えての一戦。鹿児島は第15節終了時点で勝点25・3位につけており、文字通りの上位決戦となるだろう。富山としては、八戸戦で失点を喫したものの、持ち前の堅守は健在。攻撃力のある鹿児島を抑え込めるかが、今後のJ3の行方を占う上でも非常に重要になってくる。対する鹿児島も、攻撃陣にタレントが揃いながらも攻撃陣の活躍に安定感が生まれてこない。ホームゲームでは2試合連続の無得点となってしまったが、長野戦同様にアウェイで攻撃陣が活躍してくれることを期待したい。
 2位につける愛媛は、アウェイで松本との一戦に臨む。松本は第15節終了時点で勝点24・4位とこちらも上位同士の対戦となる。勝点差は4であり、今節で順位をひっくり返すことはできないが、勝点差を詰めるor引き離すタイミングとしては絶好の試合である。今季の愛媛は、富山と同様にロースコアながらも試合をものにする強さのあるチームに仕上がっている。対する松本は、試合を動かせるチームである。静と動の上位対戦がどのような結末を迎えるかに注目したい。

再起のきっかけになる勝利を

 それでは、我らがAC長野パルセイロの第16節を深掘りしていく。長野は第15節、アウェイ北九州戦に臨み、先制される展開ながらも、後半は北九州を圧倒する攻撃の厚さを見せ終盤に同点に追いついた。ドロー決着という形ではあったが、公式戦5連敗・リーグ戦4連敗を何とか止めることに成功した。
 公式戦の連敗を止めたものの、北九州の現状や現在地を鑑みると、同点決着には納得のいかない声も多くあるだろう。実際にJ3優勝という大きな目標を掲げている以上は、前進ではなく足踏みと捉えられかねない。信州ダービー以降、リーグ戦では5試合未勝利と文字通り足踏みが続いている。この状況を打破するためには、とにかく結果にこだわって勝点3を掴みにいきたいところだ。
 長野の第16節の対戦相手は、FC今治。2020シーズンのJ参戦以降、各シーズンで長野と鎬を削ってきたクラブである。元日本代表監督の岡田氏と繋がりがあることは周知の事実であり、独自の経営方針とともに強気の補強を年々見せている。今季は、セランテスやドゥドゥといった上位カテゴリーでも実績のある外国人選手を補強。昨季J3で猛威を振るったヴィニシウスや中川も健在である。粒揃いのチームに対して、どのように長野が挑戦していくのか注目していきたい。

マッチプレビュー

通算対戦成績

--2020--
今治1-1長野
長野1-0今治
--2021--
今治0-0長野
長野0-0今治
--2022--
長野1-1今治
今治3-3長野

 長野と今治の各シーズンの対戦成績は上記の通り。長野は今治に対して、J通算1勝5分0敗を記録している。同対戦カードで勝敗がついた試合は2020シーズンの1試合のみであり、他の試合は全てドロー決着となっている。また、2020シーズンの勝敗がついた試合も、試合序盤で今治に退場者が出て11vs10で行われた試合だった。そのため、11vs11の試合ではいまだに決着のついていない対戦カードと言える。
 長野のホームゲームに限定して数えると、通算1勝2分0敗となっている。全体通算で無敗であるため、ホームUスタで負けていないのは当然だ。唯一勝敗のついた試合は長野のホームゲームであり、3年前になるが良いイメージを持って試合に入りたい。
 そして、第16節での対戦は2シーズン続けての事象となる。昨季は夏場スパートのきっかけとなったドローゲーム。今治戦の後、4連勝を達成し一気に昇格戦線手前まで復帰したことが記憶に新しい。昨季は今治戦直前で勝利を掴んだ状態だったが、今季はそうではない。上向きの兆候が結果として現れていない中でも、浮上のターニングポイントにすることはできるだろうか。

昨季対戦振り返り

2022 J3 第16節

2022 J3 第33節

勝点獲得推移

 上図は今季の両クラブの勝点獲得推移のグラフ。
 長野は第4節終了時点まで、J3優勝という目標に向けた勝点積み上げペースとしては若干遅れをとっていた。しかし、第5節から連勝を達成し、1敗を挟んで5勝を積み上げた。この間に2度J3首位に立つなど、目標に向けて照準を合わせるかのように勝点を積み上げていった。ただ、第10節の信州ダービー以降4連敗、前節に北九州と引き分け連敗をストップした。勝利から遠ざかっている状況に変わりはなく、難しい時期が続いていると言える。
 今治は第5節終了時点まで無敗で順調に勝点を積み上げていった。第6節に今季初の黒星を喫したが、その直後は調子を崩すことなく勝点を順調に積み上げていった。第11節までを3勝1分1敗の良いペースで駆け抜けたが、第12節・第13節で連敗を喫した。前節に第11節以来の勝点3を掴み復調傾向にあると言える。

順位推移

 上図は両クラブの今季の順位推移グラフ。
 長野は勝点の積み上げに苦戦した第4節まで思うように上位に浮上することはできず。第5節からの3連勝を通じて、今季初めて首位の座に立つ。首位で迎えた福島戦は、ホームで逆転負けを喫し首位堅持は達成できず。しかし、その後の連勝の影響で今季2度目の首位の座を手にした。ただ、直近のリーグ戦5戦未勝利が響き、第11節から第15節終了時点の間は徐々に順位を落としている。
 今治は、開幕スタートに成功した形が見て取れる。第4節終了時点では今季最高順位の2位を記録。長野を含む他上位クラブの好調もあり、第6節終了時点では10位まで交代したが、着実な勝点の積み上げもあり大きく順位を下げることはなかったと言える。第12節から第14節の未勝利期間は勝点を伸ばせず、再び10位まで後退したが、前節の勝利の影響で6位まで浮上。徐々に首位グループとの勝点差も気になりだす頃だが、まだまだ巻き返せる位置にいると言える。

その他データ比較

長野 | 今治
---1試合あたり勝点---
1.40 | 1.53
---1試合あたり得点数---
1.53 | 1.33
---1試合あたり失点数---
1.27 | 1.20
---1試合あたりシュート数---
11.87 | 16.93
---1試合あたり被シュート数---
14.87 | 11.33
---1試合あたりゴール期待値(xG)---
1.22 | 1.62
---1試合あたりボール支配率---
45.20 | 51.20
---1試合あたりパス成功数---
268.80 | 326.47

 両クラブの細かなデータ比較は上記の通り。
 1試合あたりのシュート数が多く、1試合あたりの被シュート数が少ない今治の方が、勝利に近づくサッカーをしているとも取れるが、結果に関しては相関関係がないとも見える。得点数は長野の方が多く、失点数に関しては誤差の範疇で大きな開きがない。ボール支配率やパス成功数を考慮すると今治の方がボール保持を得意としている傾向はあるが、ゴール期待値やシュート数の割に得点に結びついていないともとれる。長野としては、シュタルフ監督が戦い方の軸に掲げる"賢守猛攻"を改めて体現するために、もってこいの相手ではないだろうか。

予想スタメン

 ホーム長野の予想システムは3-5-1-1。GKはキム。3バックは右から池ヶ谷・大野・佐古。WBは右に船橋、左に西村。アンカーは宮阪。IHは近藤・三田。トップ下は安東。1トップはと予想した。前節から大きな変更はないが、おそらく北九州戦後半の後方3-2ビルドアップを志向するのではないかと推測。また、タレント揃いの今治FWに対抗するため、DFラインに大野を配置すると予想した。
 アウェイ今治の予想システムは3-4-2-1。GKは伊藤。3バックは右から市原・照山・冨田。ボランチは楠美・三門。WBは安藤・近藤。シャドーはヴィニシウス・山田。1トップはドゥドゥを予想した。今治は今季4バックと3バックを使い分けているが、3試合ぶりの勝利を手にした前節の3バックを基本として臨むだろう。3バック+ボランチのビルドアップと個で打開できる前線のメンバーによる多彩な攻撃に注目したい。

まとめ

 今治はシーズン開幕前鹿児島と並んで今季J3優勝の筆頭候補であったが、その前評判通りの結果を残せているとは言い難い状況だ。しかし、システムや配置も様々試み、離脱者の復帰なども併せて徐々に戦い方が固まってきているようにも思える。特に、楠美・三門の安定感は超J3級であり、ゲームを作ることに長けた2人が中盤の底を形成していることが強みだろう。
 3バック+ボランチのビルドアップで相手プレスを引き付け、DFラインが手薄になったところを個人の力で手数をかけずに攻略していくことを得意としている。今治のFWは今季これまで実績から考えるとやや不完全燃焼状態と言えるだろう。アウェイの地で得点力を爆発させ、今季初の連勝を掴み取ることができるだろうか。
 長野は第10節までの勢いは衰え、J3優勝という目標に向けて早くも黄色信号が灯っているとも言える状況。得点を全く取れないわけではないが、当初想定していたよりは、得点ペースが落ちてきていることを認めなくてはならない。北九州戦で第10節以来の先発復帰となった進、J3屈指のサイドアタッカーである森川・音泉といった個人の質で打開する力も求められていくだろう。
 志向するスタイルは現在の今治と長野で似通った部分があると感じる。後方での保持を放棄せず、ギリギリまで相手プレスを引き付け、手薄になったDFラインを素早く攻略するスタイル。ただ、長野の現状を見る限り、熟成度はまだまだ。シーズン中盤戦の巻き返しに向けて良いイメージで勝利を掴み取りたい。

 獅子よ、千尋の谷を駆け上がれ。


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