食から読むギリシャ神話〜オリーヴはアテナの贈り物〜
前回の「農耕の女神で小麦の母チェーレレのはなし」に引き続き、ギリシャ神話に出てくる食べ物のはなしです。
「オリーヴはアテナの贈り物」
使われなくなってから久しいが、昔のイタリアの100リラの図柄はアテナとオリーヴの木だった。そのシンプルな構図に好感は持ったけれど、何しろ100リラ・・・いったい何が買えただろう。
イタリア料理を知るにつれて、もし古代ギリシャ人がイタリアにオリーヴ油をもって来なかったら、想像できないくらい違うものになっていたということが分かってきた。だってオリーヴ油はただの油ではなく、その強烈な風味からイタリア料理の味に欠かせない調味料としての役割を請け負っているのだから。
オリーヴが神話に登場するのは、正義と知の神アテナと海神ポセイドンのストーリーだ。
このお二人、アッティカの地の所有権を争っていた。そこに天上の神々が仲裁に入り、与えた解決法のお題は「人間の役に立つものを出してごらん」というもの。それによって。どちらがこの地の持ち主にふさわしいかというということを決めようとしたのだ。そこでポセイドンは馬に引かれた戦車を出したとも、海の神なので塩水の泉をだしたともいわれている。一方のアテナは、かよわそうなオリーヴの木だけ。
右がアテナ、左がポセイドン、真ん中はオリーブの木
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西欧の神話にはオリーヴ、月桂樹、アーモンド、小麦などがシンボルとして描かれていて、どんなストーリーがあるのか。
リゾットの歴史と地方性やニョッキはどこから来たのか。
そして過去に書いたエッセイなどを掲載します。
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