食から読むギリシャ神話〜農耕の女神で小麦の母チェーレレのはなし〜
今のイタリア料理に欠かすことのできない食材を持って来たのが紀元前8世紀の古代ギリシャ人。イタリアの食の歴史をたどってみてもその時代の記録はほとんどないので、文学やら絵画からうかがい知るしかありません。
そこでまず神話の中の食に関する話を探してみたいと思います。そこには色々な意味が隠されているので、しばらくの間お付き合いください。
「農耕の女神で小麦の母チェーレレのはなし」
麦を手にするチェーレレ
イタリアの食のを探っていると、原点が紀元前8世紀にイタリアに移住してきた古代ギリシャ人だということが分かる。
何が原点かというと、彼らは侵略ではなく移住してきた・・・つまり生活をそのまま持って来たのだ。例えばただオリーヴ油を持って来たのではなく栽培方法と搾油法も持ってた。さらにワインやアーモンドも持って来たというが、何よりも大きいのはパンやパスタを持って来た事だろう。つまり小麦の栽培と製粉技術と共に持って来たってコト。
では彼らにとって、小麦とはどんなものだったのだろうか。それを探るには神話を読むのが一番いいのですよ。日本神話が米を最上のものとしているように、ギリシャ―やがてそれは古代ローマに繋がるーの神々も命の源である食材と結構結びついているのです。
まずその筆頭に挙げられるのが農耕の女神チェーレレの話。
事の発端はチェーレレの娘ペルセーポネが地獄の神に連れ去られてしまったことーギリシャではその地がどこかは示してないが、イタリア側では「シチリアのあるペルグーサの湖」とはっきりと指定してある。シチリアの中心に位置するエンナ近くの小さな湖だが、水辺に行こうにも、周りを馬場で囲んであるので近づくことができない。感動するのを準備していたが、不発に終わった経験がある・・・
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