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【6000字】マネージャーにとって一番大事なこと

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はじめに

今回はマネージャーにとって一番大事なことだと私が考えていることを書いてみようと思います。
そのために、今から8年ほど前のある出来事について考えてみようと思います。
ちょっと長くなってしまい6000字なのですが、お付き合いいただけると幸いです。

成果を出さなければと思っていること自体がバカバカしい?

8年前、DeNAの提携先である某メガベンチャーの創業者Aさんと食事をさせていただける機会がありました。そこでこんな会話がありました。

上司「Aさん、こいつ(長村)悩んでるんですよ、アドバイスしてやってもらえませんかね」

Aさん「何に悩んでるの?」

長村「とにかく成果が出ていなくて、成果出さないとまずいのですが・・」

Aさん「はっはっはっはっ!!成果を出さなければと思ってること自体がバカバカしいね」

長村「えっ・・・?」

それから何年も、この言葉に引っかかってました。

どういう意味かさっぱりわからなかったのですが、何かものすごく大事な言葉な気がして、何年も何年も頭から離れずに残っている言葉でした。

最近、ようやく意味がわかるような気がしてきたのでそのことを書きたいと思います。

辛いお昼休み

Aさんからいただいた言葉の真意を解き明かすために、少し自分の高校時代の話をしたいと思います。
僕の高校時代はコンプレックスと劣等感にまみれた黒歴史、決して良い思い出ではありません。

クラスで友達もできず、軽音楽部ではバンドをクビになり、重症のニキビで人の目を見ることもできずずっと下を向き、気づけばお昼休みは1人でお弁当を食べていました。

なんだそれくらい別にそんな辛くないだろ、他にもっと辛いことなんて世の中いくらでもあるだろ、今ならそう思うこともあるのですが、高校という本当は小さなはずですが当時の僕にとっては世界そのものと言えるコミュニティの中で自分の存在感の薄さを感じ、本当に辛かったなという思い出です。

僕の通っていた高校は共学だったのですが、そこで存在感を示す方法としては

①顔がかっこいい
②スポーツができる
③勉強ができる

この3つしかないのではと当時は思いました。
器が大きいとか気が利くとか何かに詳しいとかそういうわかりにくい価値ではなかなか存在感を示せないのではと思いました。

ではどれで突き抜けるか?①と②は先天的な要素がかなり強そうで、簡単にはリカバリできないだろうと思ったので、後天的な努力で勝負できる③にフォーカスしました。

とにかく勉強しました。テストでは常に上位だったし、浪人はしましたがその高校の偏差値からすればありえないくらい偏差値の高い大学に入ったと思ってます。

大学に合格した頃、すでに高校卒業から1年経ってましたし、高校の同級生で連絡を取っていた人など1人もいませんでしたし、当時はSNSもなかったので同級生のみなさんの近況を確認する術もありません。

もうそのコミュニティからは完全に抜けているはずなのに、そのコミュニティでの生活は終わったはずなのに、なぜかそのコミュニティで存在感を示せた感じがして嬉しかった。

「存在感を示すにはそのコミュニティの中で存在を認めてもらえるような大きな成果を残さなければならない」

こういう考えが強烈に自分にインプットされました。

社会人になっても一番大事なのは「存在感」

コミュニティの中で認められたい、もう一人でお弁当は食べたくない、常に人に囲まれていたい、注目されていたい、そのためには成果を残さなくては。この考えは社会人になってからも続きます。

リクルートを選んだ理由は「みんなから羨まれる一流企業なんだけどちょっと尖っててかっこいい」という理由です。それ以外ありません。

新卒で入った時は仕事ができなさすぎて年俸下げられ、会社では何の存在感も出せなかったのでせめて世間では存在感を少しでも出そうと、リクルートの社員証を首からぶらさげたまま電車に乗ったり、リクルートの紙袋は会社のロゴがわざと見えるように持ち歩いたり、飲み屋で平気でリクルートの名刺を配り歩いたり、今考えると相当な、相当なイタイ野郎ですね。自分でもドン引きですが、過去の事実であります。

1社目のリクルートを辞めた理由はシンプルで、「チームリーダー」という存在感のあるポジションをしばらく得られなさそうだったからです。
チームリーダーは部会(参加者100人くらい)でみんなの前でプレゼンします。
チームリーダーは何かにつけて部の意思決定に関与します。
チームリーダーが何を考えているかはみんな気になります。

キャプチャ

これは大学の時にリクルートに内定した体験記を書いてくれと言われて書いたものです。存在感への渇望が僕を動かす原動力でした。

成果を出さなければ自分は終わるんだ

DeNAに転職した理由は、今でも僕が人生で一番尊敬しているBさんと出会ったからです。DeNAで存在感があったのはもちろん、20代にしてDeNAの執行役員という、社会においても強烈に存在感あるポジションにいたBさんは、僕にとって憧れでした。

Bさんに一晩中懇願し、メガベンチャー前夜のDeNAに入ることになります。

DeNAに入った後は死ぬ気で仕事をしました。
年収も思いきり下げて入ったし、リクルートよりもブランドのない会社だし、その会社で存在感を発揮できなければ人生が終わると思いました。
毎日が全力コミット、とにかく懸命に仕事をしました。

DeNAに入って1年、大きな成果を残せ、上半期の全社MVPにもなりました。この成果をもって、念願のチームリーダーを任せてもらえるようになります。

成果に執着するマネージャー

僕の一番の関心事は「成果」です。
成果を残さなければDeNAからも、社会からも、自分の存在感が無くなる。
もう高校時代のような存在感を感じられない生活は送りたくない。
自分は成果を残さない限り価値ある存在として認知されないんだ。
そういう強烈なコンプレックス、劣等感が自分を突き動かしていました。

いろいろな部署を経験させてもらいました。マネージャーとして担当した仕事は、広告営業マネージャー、広告事業部長、AMoAd取締役、中途採用マネージャー、経営企画マネージャー、PMIチームのリーダー、もう1回広告事業部長、ペロリ人事部長など。

どのチームでもとにかく成果にこだわりました。それなりに成果も残せたとは思います。

マネージャーを外される

一方で自分のチームの成果に執着するがあまりメンバーにひどいことを言ったり、深く傷つけてしまったり、部内で不正が起きたり、他部署との連携を軽視して迷惑かけたり、上司にまともに報告しなかったり、こんな状態が続きました。

こんな状態が続きました、と平然と書いてますが、これは今振り返って言えることであって、当時は上記のような状態であることを認識しておらず、成果残してるんだから文句ないよね、というスタンスで仕事をしていました。

ある時、Bさんに呼ばれました。前置きなく、一切の忖度なく、

「外すから、もう決めたので」

と言われました。

もう泣きながらなんでなんですか成果残してるじゃないですか他の人にできるんすかこれがと感情丸出しで訴えました。

結局そのチームのマネージャーは外されはしましたが他のチームで再起を図れとのことでほどなく他のチームのマネージャーになりました。

僕の知らないところでBさんに大変なフォローをしていただいたんだと思います。
この出来事で何に気づいたのか?目が覚めたのか?覚めかけてはいましたが、根本的にはまだ変われなかったと思います。

更なる存在感を求めて転職

DeNAではこれ以上は活躍できなさそうだから、もっと存在感を発揮できる場所に行こうとハウテレビジョンに転職しました。
取締役として入社をしましたので、ハウテレビジョンという小さなコミュニティでの存在感は初めから用意されました。
ただ、ハウテレビジョンの中だけではもう満足できません。社会に存在感を発揮できる人間になろう、その想いが上場への原動力になります。

自分は何をしてるんだろうか

根本的に変われていない自分は、相変わらず成果だけに執着します。
2年という短期決戦で業績を一気に伸ばし上場まで持っていけたのはもちろん自分のお陰だけではありませんが、成果に執着する自分の存在も大きかったのではないかと自負しています。

ただその過程で、本当に大事な仲間に絶望され去られたり、本当に大事な仲間を深く深く傷つけてしまったり、また同じことを繰り返していました。

これでいいんだろうか。
自分は何をしてるんだろうか。


たしかに求める成果は残したのかもしれませんが、成果を残せばそれでいいのか。自分にはものすごく大事なものが欠けている感じがして、上場後しばらくすると仕事にあまり力が入らなくなり、空っぽになりました。

ここから、自らをじっくり振り返ることになります。

良いマネージャーではなかった

自分はどんなマネージャーだったのか?

コンプレックスや劣等感に飲み込まれ、とにかく成果を出すことの1点だけを見つめ、成果の代わりに大きな代償を払うことを良しとするマネージャーでした。
組織を消耗するマネージャーであり、成果という大義の下大きな傷を残すマネージャーでした。
そんなマネージャーは短期的に見栄えの良い成果は出せるかもしれませんが持続的な成長は実現できないでしょう。
僕は「良い」マネージャーなんかじゃなかった。

DeNA時代は1年程度で頻繁に異動していたので、短期的な成果で評価は一定されたのでしょう。
ハウテレビジョンでも上場まで2年だったのでその短期では成果が出せたのでしょう。
そして何より、短期的な成果でしか自分を測定できない業務の連続では自分の欠点に気づけなかったのでしょう。

5年、10年、もっと長く、持続的に成長し成功し続けるチームを作る力が自分にはあるのか?今の自分のスタイルを続ける限りおそらく無理でしょう。それを「良い」マネージャーとは言わないでしょう。

内省を経て自分に欠けてるものがわかった気がしました。

「良い」マネージャーって何だろうか

DeNA時代、Bさんにふと言われたことがあります。

「長村さ、とにかくメンバーを大事にすべきだよ」

その時は「成果を残すために必要なら、ですね」と心の中で呟いていたと思います。

内省中、そのことがふと思い出されました。

「成果を残すために必要なら、ですね」じゃなくないか?

メンバーが自分の能力を最大限活かせる仕事にアサインされて、その仕事で最大限のやる気を発揮し仕事に臨む、そして成果を残し成長して、もっと大きな成果を残す、全メンバ-がそんな風に成功すれば、チームの成果は勝手に残ります、しかも、持続的に。
そして、誰かが絶望したり深く傷ついたりすることもありません。

成果「だけ」に執着して、成果という大義名分の下メンバーを犠牲にして残した成果は、持続性のない偽物の成果なのではないか。
メンバーの本質的な成功・成長に執着した結果残るのが成果であって、そういう成果こそが持続的で本質的な成果というものなのではないか。

そして、何よりBさんに常にそうしてもらっていたことにも気づきました。

もちろん、メンバーへの執着以外に、「野心的な目標設定」「正しい方針策定と運用」「状況に応じたチームビルディング」「ピープルマネジメント」・・・・など、マネージャーとしての技術を高いレベルで発揮することは重要です。
ただ、それもこれもメンバーの本質的な成功・成長に執着するという根本的なスタンスがなければ大して威力を発揮しないでしょう。

「成果を残さなければと思っていること自体がバカバカしい」という言葉の僕なりの解釈

Aさん、こういう意味ではなかったでしょうか?

成果にしか執着してないでしょ?成果を出すためには何をしてもいいと思ってるでしょ?
そんな執着の仕方で本質的な成果なんて残るわけないでしょ。
まずは目の前のメンバーに執着しなさい。
成果を作るのはマネージャーではなくメンバーです。そのメンバーを大事にする、そのメンバーの本質的な成功・成長にコミットする、まずはそこ。そこだけ見て仕事をしてみなさい。
それがない状態では、何をしようが本質的な成果なんか残るわけないでしょ。

いつか機会があれば、答え合わせをさせていただけますと幸いです。

さいごに

起業家が生んだサービスを、短期的にではなく、持続的に成長させるのがベンチャーマネージャーです。
ベンチャーマネージャーがいるから、良いサービスは成長しやがて日本を・世界を変えます。

ベンチャーマネージャーの仕事は、テクニックだけでは務まりません。
私のように成果だけに執着してしまい、成果を上げる主役であるメンバーの成長・成功にコミットしていないマネージャーでは、どれほどテクニックを身に付けたとしても大した成果は残せないでしょう。

私が残した成果の陰に、絶望させてしまったメンバー、深く深く傷つけてしまったメンバーがいます。

自分のようなマネージャーではなく、本物ベンチャーマネージャーを育てたかった。そして、その人と一緒に働くメンバーの方々に成功して幸せになってほしかった。

僕はベンチャー企業が大好きです。ベンチャー企業で働くことこそが自分の人生を刺激的で感動的なものにしてくれると信じています。

だからこそ、ベンチャー企業で働く全ての人が成功できるように、そして、全てのベンチャー企業が素晴らしい成果を残せるように、そんな願いを込めてEVeMという会社を作りました。

▼ちなみに

僕が何度も通い内省した場所、岐阜県郡上市でのワーケーションも第2期のプログラムに組み込んでいます。

それでは、おつかれさまです!

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