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晴れの日も雨の日も#225 【創作SSタケおじシリーズvol.8】水のように

「ボク、もうのどがカラカラ」
タケシはよく冷えた水を美味しそうにのどを鳴らして飲んだ。

「暑い外から帰ってきて冷たい水を飲むと、
 生き返る気がするのう」
「ホンマそれ。
 ボクもそんな水みたいな人になりたいねん」
「ほうそうか。タケシはそんなことを思うのか」
「だって、水は全ての生き物に
 絶対欠かせへんやん」
「うんうん。植物も含めて全ての生き物、な」
「そうそう。
 きれいな花かって水がないと咲かへんやん」
「そうじゃそうじゃ」
「人間の暮らしも、お金だけじゃなくて
 潤いって大事やん」
「潤いか。
 タケシもなかなか難しいことを知っとるなあ」
「カラッと乾いた秋の空、も爽やかでスカッと
 しててええんやけど、毎日ずっとカラカラ
 だけでは、なんか飽きると言うかツカレル
 というか。しっとりするのも必要やん」
「確かになあ。タケシの言う通りじゃ」
「ほんでさっきボクが水飲んで生き返る思いした
 みたいに「おまえのおかげで元気を
 取り戻せたわ」なんて言ってもらったら
 サイコーやん」
「なるほどなるほど〜。
 それこそ水もしたたるいい男じゃ」
「それに、水って、言うたら形がないやん」
「ん?どういうことじゃ?」
「四角い器に入れれば四角いように、
 丸い器に入れれば丸いように、
 どんなとこにもそのままおさまるやん」
「ふむふむ。変幻自在っちゅうわけじゃな」
「オレは絶対四角!なんて意地張ってへんやん」
「そうか。タケシは意地っ張りはキライか」
「実は、ボク、自分ものすご意地っ張りやと
 思ってんねん」
「ほうほう。タケシは意地っ張りか」
「もっと素直な自分でありたいんやけど、
 すぐ意地になってしまうねん。ほんで意地に
 なってる時は、なんか変に力が入りすぎてて、
 ホンマの自分の力が出せてない気がすんねん」
「そうか。そんなこと思ってんのか」
「だから、ボク、水の自由なあり方ってとっても
 憧れてんねん」
「なるほどなあ。タケシもそうなれたら
 いいなあ。
 ところでタケシ、水は流れ流れて最後はどこに
 行くんや?」
「えー?雨から川になって、海に行くんやろ?」
「そうじゃ。タケシは海のことはどう思う?」
「ボク、海、大好き。
 どこまでも広くて、見てたら気持ちが
 安らぐし、それに生命の源なんやろ?」
「そうじゃ。タケシの言う通り穏やかな海は
 ものすごく和ませてくれるのう。
 しかし、いったん荒れたらどうじゃ」
「そら、荒れた海で遭難して命を落とした人も
 数限りないし、津波みたいに町を壊してしまう
 恐ろしい力も秘めてるよねえ」
「そうすると、人の渇きを癒やしたり、
 和ませたりするだけじゃなくて、
 もともと水にはすごいエネルギーが
 隠されてるのかもしれんじゃろ。
 タケシが水になりたいと思うんじゃったら、
 そんなとこまで見てくれると、じいちゃんは
 嬉しいなあ」
「うん、わかった!ボク、そんな人になるわ!」

メタセコイア並木道。神戸市森林植物園にて細君と。

今日も最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました♬ 長井 克之

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<予定(但し、臨時差し替え頻発😂)>
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#227 【創作SSタケおじシリーズvol.9】時
#228 而今

(つづく)

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