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晴れの日も雨の日も#239 【創作SSタケおじシリーズvol.14】時

タケシくんがおじいちゃんの晩酌のお相伴をしている。

「はい、おじいちゃん。もういっぱいどうぞ」
「おお、タケシ。ありがとありがと。
 タケシにいっぱい注いでもらうなんて至福の時間じゃのう」
「そない言うてもろたらボクも嬉しいわ」
「こんな時間がずっと続いてくれたらええなあとしみじみ思うのう」
「ほんまやなあ。ドラえもんにそんな道具出してもらおか」
「時の流れを止める道具はドラえもんでも難しいかもしれんぞ」
「そんな事無いで。ドラえもんやったら、時を止めるのも巻き戻すのも未来に行くのも自由自在やで」
「そうか。そりゃやっぱりドラえもんはスゴイのう。タケシもそんな道具がほしいか?」
「ボクはそんなんいらんわ。だって楽しい時間はいつか終わりが来るから楽しいねんで。終わらんといつまでもいつまでも続いとったら、飽きたり疲れたりするやん」
「ほほう。タケシはそんなこと思うんや」
「楽しい時間が過ぎていくのは確かにもったいない気ぃするけど、逆にツライ時は時間が過ぎるからツラさもいずれ消え去っていくやん」
「確かにそうじゃ」
「良い時も悪い時も同じように時は流れてんねん。だからそれに抗おうとしたらあかんねん」
「ときのな〜がれに み〜をま〜かせ♬」ご機嫌で口ずさむおじいちゃん
「あなたのい〜ろに そ〜められ〜♬」タケシくんが続きを口ずさむ
「お、タケシもこの歌知ってんのか」
「だっておじいちゃんよう歌ってるやん」
「ジュリーの時の過ぎゆくままにっちゅう歌もあるぞ」
「知ってる知ってる。なんか、時って形も色もないもんやけど、形あるものよりよっぽど確かなものかもしれんねえ」
「そうじゃのう。形あるものはいつか壊れたり無くなったりするけど、時間はどんなことがあっても確実に絶対に1秒1秒過ぎていくからのう」
「それも、全ての人に等しく1秒やで。なんかスゴイよなあ」
「おまけに時はずっとつながっとるんや」
「せやのに、絶対時は巻き戻されへんし、突然先の未来が来たりもせえへんよね」
「過去があって現在がある。その積み重ねの上に未来があるんじゃなあ」
「おじいちゃん、前にもnoteでそんなこと書いとったやん」
「まだタケシにはわからんじゃろうが、男の方がいつまでも過去を引きずるっちゅう話もあるのう」
「そうなん?こないだお母ちゃんの週刊誌見とったら、過去に好きやった人を忘れられへん女の人の人生相談載ってたで」
「そんないらんもん読まんでよろし」
「せやけど、時はずっとつながってる、ということはボクもいつかおじいちゃんみたいになるんかなあ」
「それは知らんけど、ワシにもタケシみたいな頃があったのは間違いないぞ」
「ボクみたいにええ子やったかどうかは知らんけどな😂」
「タケシもなかなか言うのう。なあタケシ。時間って何じゃろなあ」
「そんなんボクわからへんわ。わからんけど、時間が何か、ということより今という時間をどう過ごすかということのほうが大事なんちゃうかという気がするわ」
「うんうん。その通りじゃ。じいちゃんに残された時間はそう多くないが、精一杯今を行きていくようにするわ」

おじいちゃんは目を細めてタケシくんの横顔を頼もしい思いで見つめていた。今日も酒が進みそうだ。

★単なる創作フィクションです。タケシくんは年齢不詳。ホンマにこんな出来過ぎクンがおったら、ちょっとキショいかも笑。

「時」といえばこの本、名著モモ。すべての人におすすめです。

今日も最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました♬ 長井 克之

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<予定(但し、臨時差し替え頻発😂)>
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(つづく)


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