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晴れの日も雨の日も#224 【創作会話】カラオケ

「カラオケなんか来たの、
 めっちゃ久しぶりやわ」
「よっしゃー、歌うぞー!」
「ほんなら、まず、長渕剛の
 しあわせになろうよ、いってみよー!」

初めて出逢った場所に も一度戻ってみよう
そして二人で手をつなぎ しあわせになろうよ

長渕剛 しあわせになろうよ

「オレも昔そう思ったことあるけど、
 それ、やっぱり違うな」
「ん?どういうこと?」
「初めて出逢った場所には、
 今更戻ってもしゃあないねん」
「おまえ、身も蓋もないこと言うなあ」
「出逢ってからこれまでの間に、お互い
 変わっていったり積み上げていったり
 してんねん。
 それを、ご破算で願いましては、みたいに
 無かったことにはできへんねん」
「それはそうやな」
「だから戻るんじゃなくて、今あるところから
 何を始めて何をやめるのか、何を積み上げて
 いくのか、それしかないねん」
「その通りやけど、
 とりあえず前奏始まったから、歌うわ」
「ほな次はオレやな。バスストップでいこっと」

何を取り上げても 私が悪い
過ちつぐなうその前に 別れが来たのね

平浩二 バスストップ

「えらいシブいの歌うなあ。
 でも、ホンマはそう思ってないやろ?」
「そりゃまあ、一から十まで全部オレが
 悪いっちゅうことはないわな」
「そうや。こっちが8悪いとしても、
 その悪い8を招いたんは相手かもしれんし」
「相手がそんなこと言わんかったらこっちも
 言わんかった、ほんなら揉めんかったのに
 っちゅうことか」
「そうそう」
「ほんでも、相手に言わせたら、その2を
 言わせたのは結局アンタやんかということ
 かもしれんで」
「そうなると、やっぱり歌の通りか」
「いや、二人の間のことは二人で起こし
 てるんやから、どっちかが100%悪いと
 いうのはないんちゃう?けど、自分に
 矢印を向けたり、眼の前に鏡があると思って
 考えることは必要なんやろな」
「なんかおまえとカラオケに来たら、歌より
 ヤヤコシイ話ばっかりになるなあ」
「よっしゃ。ほんなら気分変えて
 次はテレサ・テンの別れの予感や」

身体からこの心 取り出してくれるなら
あなたに見せたいの この胸の想いを

テレサ・テン 別れの予感

「ほほう。なんか訳ありの感じやな」
「ていうか、赤心の思いを相手に届けたいって
 よく思うで」
「なるほど〜。
 ところで、なんか湿っぽい歌ばっかりやな。
 なんかもっと前向きな歌ないんかいな。」
「よっしゃ、ほんなら「海その愛」でどうや」

海に抱かれて 男ならば
たとえ破れても 燃える夢を持とう
海に抱かれて 男ならば
たとえ一人でも 星をよみながら
波の上を行こう

海よ おれの母よ 大きなその愛よ
男のむなしさ ふところに抱き寄せて
明日の希望(のぞみ)を おれたちにくれるのだ

加山雄三 海その愛

「いいねえ、十八番♬」
「あたりまえや。やる時はやるで〜」

ケッタイなカラオケコンビの夜はふけゆく。。

晩秋の空。絵に書いたような鱗雲が広がる

今日も最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました♬ 長井 克之

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本メルアドは皆様の「心のゴミ箱」でもあります。グチ、やり場のない思いやイライラ、悩みなどもどうぞお気軽にお寄せ下さい。しっかり受け止めます。「心のオアシス」を感じて頂ければ誠に幸甚です

<予定(但し、臨時差し替え頻発😂)>
#223  【創作SSタケおじシリーズvol.8】水のように
#224   助けを求める
#225 【創作SSタケおじシリーズvol.9】今日はどうでしたか

(つづく)


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