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晴れの日も雨の日も#296 立場変われば

約四半世紀ほど前に東京から今住む宝塚に引っ越してきた。
当時、東京勤務は既に約15年。もういつ異動になってもおかしくない、いやむしろ長すぎるぐらいだった。
私の所属部門の本部は関西。私も細君も関西人で、関西勤務を希望する空気が拙宅の中に生じていた。

という矢先に、関西に住む義父(細君の父)の体調が悪化した。娘#1が中学にあがる時点で、細君は子どもたちと共に関西に移り、私は東京で逆単身赴任をする決心をした。年度替わりの3月末での引っ越しをイメージし、年末年始に帰省したあたりから関西での家探しが始まった。

事業部門をまたぐ異動はまずない。私は一生その部門にいるだろうと見通せた。となると、勤務地は東京・関西、あるいは名古屋。子どもたちがこれから続々と中学・高校に進学する状況下、我が家は関西をベース基地とし、私は転勤の際には単身赴任で良いと腹を括った。

仕事はたぶん全国区の営業が今後もメイン。関西の本部拠点からも大阪空港(伊丹)からも近く、最寄り駅も徒歩15分以内。これが家探しの条件だった。おまけに値段も手の届く範囲で。となると、必然的にエリアが絞られてきて、今のところに落ち着いた。

このあと、私は通算約16年の単身赴任を過ごす結果となり、この見立ては概ね的を射ていたと言える。大阪空港を利用する頻度が高かったのだが、空港からタクシーで約2000円。最適のところに家を見つけたと長年満足してきた。

で、一昨年。サラリーマンを辞めて自宅で仕事をする個人事業主の道を選んだ。こうなると、空港に近いなんて、もはやどうでも良い。むしろ楽しみにしている朝ドラの時間に飛行機の音が邪魔でしかたない。
普通の天候であれば騒音を感じるのは朝夕だけで、日常生活に支障があるほどではない。しかし、気になりだすと楽しみな時間のこの音の耳障り感が増す。

もちろん空港の位置も拙宅の場所も変わっていない。飛行機の飛び方や離着陸回数もそう変わっていないだろう。変わったのは私の置かれた状況だ。朝夕のその時間帯は家におらず空港利用の利便性を享受していた日々から、自分の楽しみへの障害感だけを感じるようになってしまった。


ホントに人間は勝手なモノである。「うるさいなあ」とブツブツ言っていたある日ふとそんなことに気づいて、苦笑を禁じ得なかった。


立場変われば、という言葉をこれでもかと描いているのが「渡る世間は鬼ばかり」だ。橋田壽賀子先生原作の長寿番組で、昭和の典型的ホームドラマだということぐらいは知っていたが、これまで見たことも見る気もなかった。それが時間的に余裕のある生活となったことから、ふと見る気になった。
描かれているのは、親と子、嫁と姑、夫と妻、など家族の中の相克だ。特に、嫁姑問題、もしくは妻が働くことについてなどは、テーマそのものがもう笑けるくらい昭和なのだが、お互いが自分の立場から一生懸命モノを言い合い、時に罵り合う。それが自分のとらわれた視点から少し離れることができた時にお互いの関係性が変わってゆく。
「渡鬼」のタイトルは「相手のことを鬼だと思う自分がすでに鬼なんだ、自分が鬼でなかったら相手のことも鬼だと思わない」ということらしい。これにはなるほど〜とうなづかされる。

ところで、最近のドラマは、刑事モノや病院モノが流行り筋だとか聞く。「北の国から」とか「渡鬼」のような家族のあり方を掘り下げて描くドラマはずいぶん減ったような気がする。。人の関心の移ろいを表しているのかしら?しらんけど

稲の穂発現。新米が楽しみ♬

今日も最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました♬ 長井 克之

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