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晴れの日も雨の日も#217 【創作SSタケおじシリーズvol.6】タラレバ物語

タケシくんは太極拳の他にミニバスケットボールチームにも入っている。なかなか忙しいのだ。
ミニバスの練習から帰ってきたタケシくん。早速今日のミニバスでの出来事をおじいちゃんに話し始めた。

「ボク、今日頑張ってんで」
「ほうそうかそうか。ええプレーができたか」
「相手ディフェンス、ボクより上級生で、
 身体もボクよりずっと大きいんやけど、
 逃げずにドライブしてレイアップシュートに
 持ち込んでん」
「ほうほう。
 自分より大きい子に向かっていったか」
「残念ながらシュートは落ちてんけどな、
 そういう向かっていく姿勢が大事やって
 コーチにめっちゃほめられてん。
 それもみんなの前で。
 ボク、もう、めっちゃ嬉しかったわ」
「そりゃ良かったのう。嬉しいのう」
「ほんでボク、「ザンネン。今のシュートが
 入ってたらなあ」って言うたらコーチが
 オモロイこと言いはってん」
「なんじゃなんじゃ。聞かせてくれい」
「『結果はええねん。タラは魚屋。レバは
 肉屋や』って言いはってん」
「ん??どういう意味じゃ」
「魚のタラと肉のレバーに引っ掛けて、
 タラは魚屋が売るのが仕事、
 レバは肉屋が売るのが仕事、
 ボクの仕事は結果を恐れずチャレンジする
 ことや、っていう意味やねん。
 あのシュートが入って「たら」とか
 入って「れば」なんて言うても
 しょうがないってことやねん」
「なるほど〜。たしかにそうじゃのう。
 結果は自分の努力以外のもんも作用して
 くるし、結果ばっかりみてタラとかレバとか
 言うとってもしゃあない、それやったら
 次自分ができることに集中せいっちゅう
 ことじゃな」
「そうそう。自分が今できるベストのプレーを
 することが一番大事やねん」
「なかなかええこと言うコーチじゃのう」
「せやろ。ちょっと頭ハゲてるけど、オモロイし
 アツいし、ボク、コーチのこと好きやねん」
「さっきのセリフ、じいちゃんも
 バージョンアップ版を考えたぞ」
「なになに?教えて教えて」
「タラとかレバと同じようによう使う言葉に
 「もし」っちゅうのがあるじゃろ」
「うんうん。もし〜〜やったら、なんて
 セットで使うことも多いよね」
「それそれ。この「もし」も考えても
 しゃあないことじゃろ?」
「そうやね。だって現実が全てやもんね」
「そうじゃ。だから、
 タラは魚屋、レバは肉屋、モシは燃してしまえ
 じゃ。
「『燃し』で『もし』って読むの?
 『もやし』じゃないの?」
「まあ、言わんこともないじゃろ」
「ふ〜〜ん。ま、でも、意味としてはええよね。
 まあ合格点あげよか」
「ホイホイ。おおきに」

「ところで、じいちゃん。
 こないだ「いもたこなんきん」っていう
 朝ドラでご主人を亡くした奥さんが
 もし生まれ変わっても私はあの人と一緒になる
 って言うてたけど、じいちゃんも、もし生まれ
 変わってもおばあちゃんと一緒になる?」
「ブッ(お茶を吹き出し)。
 なんじゃいきなり」
「なあなあ、どうなん?」
「じゃから、「もし」は無しじゃと
 さっき言うたじゃろ」

とおじいちゃん、ほとんどしどろもどろ。
そこにおかあさんの声が聞こえてきた。

「タケシ、おじいちゃん、ご飯ですよ〜」
「お、タケシ。メシじゃメシじゃ。
 さ、はよ行こ」
「ちぇ〜。せっかくええとこやったのに」

とブツブツ言ってるタケシくん。ホッとした表情のおじいちゃん。続きは食後にごゆっくりどうぞ〜。

近隣の柿の木。実の色づきが深まってきた。

今日も最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました♬ 長井 克之

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<予定(但し、臨時差し替え頻発😂)>
#218 ツナガルって?
#219 【おでん屋シリーズ#12】やさしさ
#220 こわいひと
(つづく)

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