見出し画像

東日本大震災後、どう経済を立て直したかについて振り返ってみよう。

どうも、やまもっつぅんです。

アフターコロナについて早く語りたいのですが
日本に大きな影響を与えた過去事例がもう一つありましたね。

そう!東日本大震災です!

東日本大震災」がリーマンショックと比べて
全業種に影響を与えたという点で
今回のコロナショックに似ており、
今後のアフターコロナを想定する際に良い例となると思ったため
前回のリーマンショックに引き続き、
「東日本大震災後」についても書くことにしました!

東日本大震災後、倒産件数が少なかったワケ

東日本大震災も、東北地方において
住む場所を失ったり、仕事がなくなったり
多くの被害者が出ましたね。

しかし、倒産件数を見てみると、
東北地方においても、全国においても件数は増加しておらず
東北においては震災後においても
2018年まで増加傾向は見られません👀(図4)

画像1

その理由は大きく4 つです。

1.大きな悪影響を受けた地域が「限定的」だった

日本全体で見ると
震災後の急落期においても、
全国では、顕著な景況感の悪化は見られなかったことから(図5)
大きく影響を受けたのは東北地方だけで他の地域には波及しませんでした

画像2

2.だから、国からの支援がちゃんと行き届いた

悪影響を受けた地域が、
東北地方だけで限定的だったため、
人やお金のリソースを県外から支援してもらったり、
当該地域の充分な支援のための財政出動をすることができました。

※ 日本全体に占める
東北地方のGDP割合は約6.3%(約31兆円)
実際に行われた財政出動(一般会計の第1次~
第3次補正予算、特別会計の当初予算合計)は
18.8兆円(財源のうち復興債による収入が14.2兆
円)であり、東北域内の年間GDPの約60%にもな
る額が投入されました。

ちなみに、
コロナショックの際の第1次補正予算は25.7兆円
(財源のうち赤字国債が23.4兆円、建設国債が2.3兆円)です。

政府が事業規模117.1兆円と称しているものには、
税金猶予等の26兆円や、
民間金融機関の融資見込み額等も含まれているため、
狭義の財政支出は50兆円にも満たないと言われています(50兆円として年間実質GDPの約9.3%規模)。

3.金融機関も、積極的に支援してくれた

融資に関しても、
津波で設備が流されたような企業に対する融資に関しては、企業の設備投資資金としての名目(最新設備になる事で将来効率が上がり業績改善に寄与するという可能性)があり、金融機関として積極的に支援をしやすかった点もあります。

上記のように
・地域が限定されていたこと
・充分な資金が供給されたこと
・復興についても全国から東北地方に人が集まる事が 
 可能であったこと
という理由で、
東日本大震災の場合は
企業が倒産という事態にならずに経済再開が可能となりました。

4.震災後の経済回復の2つの条件を満たしていた

経済回復のための2つの条件とは
① 過剰債務の解消
② 落ち込んだ利益を補填する

の2つです。

震災後に、どんな方法で上記2つの条件をクリアし
経済回復を図ったのかを見ていきましょう。

① 過剰債務の解消
震災後、平成24年2月22日に
株式会社東日本大震災事業者再生支援機構(呼称:震災支援機構)が設立されました。

▼震災支援機構とは?
『震災時に設備が津波で流れた』
『売上が落ちた』等々で借入をした際、
過大債務(二重債務)となってしまった企業に対し
震災前の金融機関債務を買い取り
・支払猶予(リスケジュール)
・利子の減免
・劣後債権化(Debt Debt Swap:DDS)
・債務の株式化(Debt Equity Swap:DES)
・債務免除
を行い、企業継続が可能な状態にまで直接当機構が支援することを目的としたものです

当機構では、2020年3月末までに
・累計支援件数は743件(うち債権買取708件)
・元本買取額1,322億円(うち債務免除額660億円)
を実施しており、

当該債権買取のうち
・1件当たりの債権買取額2,000万未満が371件(52.4%)
・2000万~5000万未満が151件(21.3%)
中小・小規模事業者を主な対象としております。

上記のように、
中小・小規模事業者などの**
**財務体力が脆弱な企業を支えた
ことで、
震災後の倒産件数も低位で推移している事が示唆されます。

② 落ち込んだ利益を補填する
これは特別な例ですが、
東日本大震災の際には、
福島第一原子力発電所事故を起こした東京電力から
賠償金」という資金を得る方法がありました。

その賠償金があるおかげで
数年生き延びられた会社も多く、
震災直後はそこまで倒産件数は増えませんでした。

以上が、
震災後に倒産件数が増えなかった理由です。


アフターコロナは東北地方での倒産件数が増えると予想

先ほどいったとおり、
震災直後数年においては、
東北地方の倒産件数はあまり増えていませんでした。

しかし、2019年には
全国の倒産件数は前年比マイナスで推移する中、
東北においては前年比9.8%の増加となっています。

これは、
東京電力等からの賠償金の支払いが減額してきた事(図6)より、事業CFのマイナスを補填できなくなり
法的整理になった先が増えてきた可能性があります。

今後はコロナショックの影響も重なり
東北地域における倒産件数が増える可能性があると考えられます



画像3

これまでのまとめ

▼東日本大震災後の経済への影響
① 地域限定(東北)で規模に拘わらず、
  全業種に経済的悪影響を与えた。
② 経済規模が限定的であったため、
  充分な財政出動(融資等も含む)及び
  他地域からの人員調達により
  労働力確保も可能であったため、
  実態の復興は別だが、経済回復は早かった
③ 経済回復期においては、
  二重債務に苦しむ中小企業・零細企業のための
  震災支援機構が過剰債務のカットを含めた支援を
  実施した事で二重債務を苦にした倒産件数が増加
  しなかった
④ 東京電力に関する賠償金が入ったことで、
  回復期における事業の落ち込み分を補填できたた
  め、倒産件数が増加しなかったが、賠償金が減額
  してきたため、2019年より倒産件数が増加傾向に
  なった

以上


この記事が参加している募集

#スキしてみて

528,758件

誰かサポートしてください(´;ω;`)