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『NANA―ナナ―』の沼|不遇な彼女へ
ここ数日、私の脳内を支配している『NANA―ナナ―』は少女漫画です。
ナナと奈々が上京して夢を追う物語です。
スカパー!さんの企画「#ハマった沼を語らせて」にあわせて、私が20年近く溺れている『NANA―ナナ―』の沼についてお話しします。
『NANA―ナナ―』のあらすじ
彼氏を追いかけて上京する小松奈々と、プロのミュージシャンを目指して東京を目指す大崎ナナ。同じ年、同じ名前を持つ2人は、上京する列車の中で偶然出会い、その後思いがけない再会を果たす。2人のNANAの友情、恋、挫折、成長を描くマスターピース!
大崎ナナ(ナナ)と小松奈々(ハチ)をはじめ、男性陣はイケメン・女性陣は美人ばかり。
まるで天国のような環境で地獄のような出来事が積み重なっていく、非常に鬱になる作品です。
ナナの罪
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ここから文末まで、深い沼を与えてくれた矢沢あい先生に感謝と尊敬の気持ちを込めて、大好きなナナに思いのたけをぶちまけます。
父を知らず母に捨てられたナナと、父・母・姉・妹の5人家族で育ったハチ。
ミュージシャンになる夢を追うナナと、夢はお嫁さんになることと言い切るハチ。
相反する2人が出会い、結果としてナナは夢を叶えてレンを失いました。
ハチは理想とは違うかたちでお嫁さんになりました。
どちらも夢を叶えたけど、思っていた未来はつかめなかった。
出会うべきではなかった2人が出会ったことで、時空が歪んだのでしょう。
ナナが上京したことで、ミュージシャンになる夢を叶えたことで、奪われてしまったんだと思います。
ナナがミュージシャンになる夢を諦めて、トラネスとして上京するレンについて行っていれば。
ナナがハチと出会わず、ハチにタクミを会わせなければ。
そうすれば、レンが交通事故にあうこともなかった。
ハチは普通のお嫁さんになっていた。
なぜ、私達からレンを奪った。なぜ、自分からレンを奪った。
なぜ、自分で自分の幸せを奪った。
ナナがタクミを恨むなら、私はナナを恨みます。
「あなたが夢を追わなければよかったのだ」と。
大人になって理解したナナの不遇
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本当に最近まで、ナナを恨んでいました。
望まない結末に向かう雰囲気に堪えられない私にとって、「ナナが夢を諦めていれば」が最適解だったんです。
ただ、読者も年を重ねていきます。
さすがの私も32歳、さまざまな経験をしました。
死に別れた友人もいますし、生き別れた恋人もいます。
ナナよりも長く浅い時間をかけて、同じ程度の経験を積み重ねました。
(…生き別れた恋人というか、普通に別れただけですけど)
命は危うく、儚いものです。
「命は尊い」といいますが、私にとっては尊いのではなく、危うく儚いものだから尊く見えるだけ。
いつ奪われるか・失うかわからない、そのときは誰にも止められない。
「尊い」のひとことで済ませてしまうと、なんだかピンとこないんです。
尊いから大切にするんじゃなくて、危うく儚いものだから大切にするといわれると、繊細なガラス細工を扱うように慎重に取り扱いたくなるもの。
「レンが死んでしまったのはナナのせいではなく、命ってそういうものなんだ」と、ふと感じました。
本当になんでもないタイミング、ドライヤーで髪を乾かしながら布袋寅泰さんの「バンビーナ」を聞いているときに、ふと理解しました。
ナナは1人の女性として、1人の若者として、1人の人間として、ひどく不遇な人生を与えられました。
それはナナが選んだものではなく、与えてほしいと願ったわけでもなく、作者が押し付けたものでもない。
ただ、その流れのなかに飲み込まれてしまっただけ。
誰にでも起こりうる不幸と悲しみが、たまたまナナのもとに届いただけ。
長い長い時間をかけて、やっと理解しました。
リアルよりもリアルな大崎ナナと小松奈々の人生
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ナナの人生がどうなるのか・ナナが幸せを感じるかどうか。
多くの読者が、その答えを求めて連載再開を待ち望んでいると思います。
私は、幸せにならなくていいと思うんです。
失踪したナナの所在がわからなくても、ナナの本音がわからなくても。
誰にでも起こりうる不幸と悲しみが、たまたまナナのもとに届いただけ。
この結論が出てしまうと、あとはどうなっても受け入れる覚悟ができるんですよね。
何もかもを得て、大満足で人生を終えられる人なんて数少ない勝ち組です。
勝ち組が多い漫画の世界で、数少ない不遇を掴んだナナと巻き込まれたハチは、リアルの世界を生きる数少ない勝ち組よりもリアルな人間だと感じます。
「#ハマった沼を語らせて」
私がハマった沼は、どの沼よりもドロドロしていて、冷たくて、暗くて、深くて、不愉快で、抜け出そうにも抜け出すことが難しい沼でした。
スカパー!さん、びっくりするでしょうね。
こんなに重い記事が出てくると思わなかったと。
「NANAっておもしろいだよ!」って話かと思ったら、命の尊さとか言い始めちゃって。
沼にハマるって、こういうことですよ。
久しぶりにセブンスターを吸いたくなったところで、沼のお話を終わります。
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