「初恋、ざらり」 世界で2人だけだったらいいのに。
感想2️⃣9️⃣本目
「初恋、ざらり」(U-NEXT視聴)
最終回まで見終えたので、私なりに感じたことを書きます。
※感想部分に一部ネタバレを含む場合がございます。
~あらすじ~
コンパニオンとして働く上戸有紗ちゃん。
軽度知的障害として生まれ、日々「普通」の人生を望んで生きている有紗はダメ、嫌と分かっていながらお客さんに関係を求められると「自分にできることはコレくらいしかない」と応えてしまう。
「普通」を求めて昼職をしようと転職を始める。
そんなある日、ある運送会社に受かり二人は出会う。
障害を隠して働く有紗に対する風当たりは強く、仕事も人間関係もうまくいかず有紗は悩んでいた。
自分がなにがわからないかわからない。「普通」でいたいのに「普通」がなにかわからない。
そう悩む有紗の前に岡村は現れた。
失敗続きの有紗に怒ることもなくフォローし続けてくれる岡村に一方的に恋心を寄せてしまう。
真っ直ぐな有紗の想いに心を打たれ惹かれ合う二人だが、進めば進むほど現れるのが”障害”という壁だった。
---二人に待ち受ける愛しくも儚く切ない物語---
~キャスト~
・上戸有紗…小野花梨
・岡村龍二…風間俊介
・上戸冬美…若村麻由美
・岡村龍彦…尾美としのり
・岡村靖子…熊谷真実
・岡村龍之介…浜中文一
・天野久美…西山繭子
・湯川祥子…尾上紫
・田口麻耶…うらじぬの
・向井香織…西慶子
・植村友子…高山璃子
~スタッフ~
・原作…ざくざくろ
・脚本…坪田文、矢島弘一、池田千尋、紡麦しゃち、藤沢桜、上野詩織
・監督…池田千尋、七字幸久、倉橋龍介
・音楽…元倉宏、小山絵里奈
・オープニング…a子「あたしの全部を愛せない」
・エンディング…ヒグチアイ「恋の色」
・チーフプロデューサー…祖父江里奈
・プロデューサー…北川俊樹、廣瀬雄
~放送~
・放送局…テレビ東京
・放送期間…2023年7月8日~9月23日
・放送時間…毎週金曜深夜0時12分-0時52分
・放送枠…ドラマ24
・話数…12
~感想~
軽度知的障害。
残念ながら軽度であろうと重度であろうと世の中では”知的障害者”というひとくくりにされてしまいます。
受け入れてほしいわけじゃない。
理解してほしいだけなのに理解されることがどれだけ難しいことか言うまでもないと思います。
見た目だけで判断がつかないからこそ関わったあとにがっかりされることが悲しく悔しく、虚しいことか…
知的障害だからどうとかじゃないんです。
どんな人間にも心があります。
傷つく言葉は障害問わず同じです。
苦しみ悩む数はみんなよりも少し多いかもしれない。
それでも懸命に生きている有紗はとっても立派だと思います。
生きてるだけで全員偉いです。
大したことを成し遂げられているわけじゃないけど昨日も今日も生きている自分が偉すぎて泣けてきそうです。
以前、転職した知り合いが初出勤当初「自分の仕事のできなさを痛感して病む」と言っていました。
考えたこともありませんでした。
私もアルバイトを含めて職を転々としてきた人生でした。
向き不向きがある中でミスをしたことも迷惑をかけてきたことのほうが多かったことと思います。
どんなに怒られても「仕事ができない自分に病む」ということができませんでした。
そんなことより「毎日出勤してる自分偉いな」という感覚で生きていました。
社会人としてどうなの…とも思いますが、要は一回一回気にしていたら自分が持たないということです。
私に関してはもう少し気にしたほうがいいと思いますが、気にしていたら病むたびに辛い思いをして仕事が終わった後も考えてしまって身も心も休まらないんです。
全員が同じ感覚で生きていないことも理解しています。
私のように生きれたら楽だよねと言われたこともあります。
仕事も人間関係もなににおいても言えますが、自分一人にできることなんてたかが知れているんです。
出来ないことが人間誰しもあるからこそ人間がいるんです。
誰かができないことは誰かができます。
誰かができないことがあなたはできるかもしれない。
仕事でも勉強でもできる範囲のことをやればいいんです。
そしてできないことを克服しようとしてる人を努力家だと私は呼びます。
仕事ができないと悩んでいた知人も私は努力家で尊敬します。
心から尊敬します。
同じようにこのnoteを読んでくださっている方でなにかに努力している方を私は尊敬しています。
がんばれーーーーーーーーーー!!!!!
誰に対しても優しい岡村さん。
堅実で真面目で大人な魅力が詰まった岡村さん。
障害を持っていようが変わらない気持ちでいてくれる岡村さんの優しさが有紗ちゃんには辛かった。
いい人である岡村さんが報われないなんて世界がおかしいだろという気がしますが、私はあの終わり方がきれいで儚くて好きでした。
誰が悪いとかじゃないんです。悪いのは”障害”そのものなんです。
よく障害を持っていると「神様があなたなら乗り越えられると思ったから試練を与えたの」と耳にします。
そんな言葉きれいごとすぎて笑えてきます。
神様がそんな不平等なことをするわけがない。
そんなことをするのが神様ならこの世の中に神様なんていらない。
障害を持っているというだけで心無い言葉を言われることもあるかもしれない。
でも傷つく回数が多いからこそ人の痛みを理解できる人が多いと思います。
(捉えようかもしれませんが)
病気や障害は目に見えないからこそその人の良さを見つけられるような人間になれるように精進したいと思います。
有紗ちゃんの素直で一生懸命で無邪気なピュアさ。
真っ直ぐでとってもかわいくて大好きでした。
大好きだからこそ絶対に幸せになってほしいし、守ってあげたいという変な親心さえも芽生えてしまうほど小野花梨ちゃんの演技がとっても自然でびっくりしました。
このまま岡村さんに包まれながら穏やかに生活を続けることもできたはずなのに自ら自分の力で生きていこうと決めた有紗ちゃんは間違いなく私よりも何倍も強いし、眩しく見えました。
唯一引っかかったのは岡村さんのお母様の障害差別でした。
見ているときは「そんなことあえて本人たちに言う?」というモヤモヤが強かったけどこのnoteを書きながら考えていると子供の幸せを誰よりも願っている親だからこその発言だったと思います。納得はできないけど理解はできます。
ただ息子が障害を持っている彼女を連れてきたとしても
=幸せになれない
というわけでもなにかが変わるわけでもないと、どうにかお母さんの考えを変えられることはできないものかと模索していました。
お母さんの気持ちが間違っているわけではないからこそ、人の気持ちって難しいですね。
つくづく実感しました。
恋愛のお話でしたが、それ以上に考えさせられるものが大きすぎてたくさんの方と感想を共有したい作品の一つでした。
個人的に若村麻由美さんの役の幅広さにびっくりでした。
タイトルにも書きましたが、世界に2人だけだったらいいのに。
二人の気持ちが重なっていくたびに苦しくなっていくようなそんな作品でした。
自分を含め障害を持っている方は共感できる点も多いと思います。
「初恋、ざらり」で検索した時候補に出てきたのが「気持ち悪い」でした。
気持ち悪いところなんて一つもありませんでした。(個人の感想です)
ネットの情報に惑わされず、まずは自分の目で見てから感じたものを大事にしてほしいななんて思います。
決して明るいお話ではありませんでしたが、二人の恋模様が気になる方はぜひ見てみてくださいね👀
どなたかの目にこのnoteがとまりますように。
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