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銭湯巡礼記④~福島県福島市「つるの湯」(23年3月)

東日本大震災13回忌にあわせて、震災直後以来、12年ぶりに福島へ赴いた。
法務を終えて、福島駅から一番近い銭湯を探したのがここ「鶴の湯」さん。駅から東へ徒歩15分弱。

15時から開けてくださるの有難い。開店すぐに伺うも、常連のご年配の方々がすでに数人。小奇麗な室内。ロッカーが低くてその上に荷物をパッと置けるの便利。

湯船につかっていると、視覚障害の方かな?と思わしき先客が、勝手知ったる様子で体を洗い、湯につかり、さっと出ていかれた。私も上がると、その方は着替えをすませ、脱衣所で携帯電話でお話し中。どうやらその方は仕事終わりで、ひとっ風呂浴びに来て、これから自宅に来客があるらしい。電話を切ると、電話をしていたせいで方向感覚を失ったのか、白杖をついてあらぬ方向へフラフラ。それを見ていた同年輩の方がすかさず介助に出、「出口はこっちよ」と暖簾まで案内。「ははは。どうもどうも。電話してたら(方向感覚)判んなくなっちゃって」「いいのいいの」で別れた。

ここに集う人にとっては何てことのない日常風景といった様子。介助に出た方はその後しみじみと、自分に言い聞かせるように

「、、いろいろだな。」

「、、、、いろいろだな。」

と呟きながら、着衣を進める。このシーンだけでこの土地がグッと心に刻まれる事となった。

脱衣所には往時を思わせるイラストなどが飾ってあって、それらを熟読。この「つるの湯」さんが市内に残る唯一の銭湯だとか。

大正3年(1914年)開業というと、今年(2023年)で109年目になる。どうか末永く続きますようにの一言に尽きる、人情深い銭湯だった。

つるの湯
福島県福島市北町4−18
TEL, 024-523-2645

満足度:★★★☆☆


<了>

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