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「心の声」が語る物語は真実とは限らない
こんにちは、心理士のなべたです。
ぼくたちは「本当の自分」という言葉が大好きです。
自分は何を求めているのか、本当は何がしたいのか、どうすれば自分らしく生きられるのか。
みんな、自分に正直に生きたいと思っています。
だから心に問いかけ、その答えに耳を澄ませます。
この記事では、自分の心の声との付き合い方を考えてみます。
参考にした書籍はこちらです。
心の声は真実とは限らない
ぼくたちの思考はとても高度で、さまざまなものをリアルに浮かび上がらせます。
例えば、メロンソーダについて考えてみてください。
氷がたっぷり入ったグラスに、メロンソーダが満たされていきます。
ストローで一口飲むと、甘い味が口の中に広がり、炭酸のシュワシュワとした感覚が喉を通り抜けていきます。
このような文章を読んだだけで、あなた頭のなかにはそのイメージがリアルに浮かび、口の中には甘さや冷たさを感じたかもしれません。
ただの短い文章なのに、あなたの心は、視覚や嗅覚、味覚に訴えて、まるでメロンソーダを実際に体験しているかのように感じるのです。
なんて高度な能力なのでしょう。
でもあなたが、今感じたメロンソーダは存在しません。
心が作り出したニセモノに過ぎないのです。
実際に起きたことでも真実とは限らない
実際に起きたことでも、心の声が語る内容が必ずしも真実であるとは限りません。
何か事件が起きたとき、メディアは取材をして、報道します。
その報道内容は真実に思えますが、起こったこと全てを伝えているわけではないですよね。
記者が「ここをメインで報道しよう」と編集するため、伝えられるのは事実の一部だけなのです。
心の声が語ることも同じです。
「私は大事なときに必ず失敗する」と心の声がささやいたとき、過去の失敗の映像がリアルに思い出すかもしれません。
その記憶は実際にあったことでしょう。
しかし、それは過去の事実の一部にすぎないのです。
メディアの報道が「事実の一部にすぎない」ことは理解できますよね。
しかし、なぜか心の声は、まるごと信じてしまうのです。
心の声を信じすぎてはいけない
心の声はいろいろなストーリーを作るのが得意です。
それはあなた自身のことだけでなく、家族や恋人、友人、さらには知らない人についてさえも物語を作り上げます。
心の声に耳を傾けることは悪いことではありません。
心の声が重要なアドバイスをくれたり、慰めてくれることもあるからです。
ただし、心の声が語る全てを真実と受け取り、そのストーリーに囚われてしまうことは避けなければなりません。
心の声のせいで、「せっかくのチャンスを逃してしまった」「酒におぼれてしまった」「学校に行けなかった」など、マイナスな行動をとってしまうことがあれば、それは大きな問題です。
心の声を聞き、その声に従うことが全て悪いとは思いません。
しかし、心の声が作り出すストーリーには真実でないものも多く、役に立たないものもあります。
心の声をあまり真面目に受け取らなくても大丈夫です。
それは結局のところ、ただの言葉にすぎないのですから。
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