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新規事業をアジャイル型UXリサーチで探索してみた

UXリサーチ/デザインリサーチ Advent Calendar 2022 の18日目の記事です。

こんにちは、カミナシでUXデザインとリサーチをしている渡邊 (@nabetaro_san) です!

今回はプロダクトではなく、新規事業を創出するためのUXリサーチについて書いてみました。
プロダクトを生み出す前はもちろんですが、すでにプロダクトを世に送り出している企業は、常に変化する市場に向けて新たな価値を生み出すことが必要になっていると思います。

カミナシでもすでにプロダクトがありますが、中長期に向けた新規事業をUXリサーチで探索しています。
BtoBのノンデスクワーク領域でどのようにUXリサーチを進めていったかを紹介していきます。

誰のためのnote?
新規事業に関わる方
UXリサーチをこれから取り組みたいと考えている方
BtoBのUXリサーチが気になる方

アジャイル型UXリサーチとは

アジャイル型UXリサーチは、小規模なUXリサーチを繰り返し実施していくプロセスのことです。
中長期で大規模なUXリサーチを計画し実施する方法とは異なり、リソースやスピード感に応じて、リサーチ結果のマイルストーンを積み重ねていくスタイルが特徴です。

カミナシでは、製造業界などに対して紙をデジタル化するプロダクトを展開していますが、業界全体がDX化による変化で加速しており、中長期でのUXリサーチだと、調査している間に顧客の状況が変わってしまったり、新たな企業が参入したりと変化に対応できないため相性が悪いなと感じました。

そのため新規事業においては、変化をキャッチアップしたり、状況に応じて軌道修正ができるアジャイル型のUXリサーチを採用することにしました。

BtoBのノンデスクワーク領域では、業界ごとに関係性があったり、業界のTierの階層やステークホルダーが複雑だったりと全体像や関係性を明らかにするだけでも結構大変だったりします。

そのため全体像や関係性を素早く把握し、課題を発見するために問いを立てて、UXリサーチの結果をもとに軌道修正して繰り返していくという進め方が今のところカミナシではしっくりきています。

ではアジャイル型のUXリサーチをカミナシではどのように進めているか、もう少し具体的に紹介していきます。

業界の全体像を把握する

カミナシはBtoBプロダクトということもあり、まずは業界の全体像を把握することから始めていきました。

もし自社内に既存サービスやプロダクトがある場合は、ユーザーと関係を持つ業界についてリサーチを始めていくと良いかもしれません。
例えば製造業の場合、物流業界、小売業界などの複数業界が連携してサプライチェーンを構成しているというケースがあります。
サプライチェーンから顧客のヒト、モノ、カネ、情報の流れや仕組みが明らかになっていくため、新たな価値をつくる機会を発見できる可能性があります。

製造業界の例

カミナシでは、このように全体像を把握することで状況を理解し、徐々に細部をドリルダウンするようにしています。

全体像を把握するためには、デスクリサーチを基本にして進めていき、それでも時間がかかりそうな事や、わからない部分を専門家にヒアリングすることで素早く把握するようにしています。

ちなみに専門家のヒアリングには主にビザスクを利用しています

デスクリサーチについてはこちらも読んでみてください

UXリサーチによって業界の全体像を把握していくことで、課題となるポイントを見つけられやすくなり、問いを立てられるようになると思います。

問いを立てる

業界の全体像が明らかになったら、どの部分を深掘っていくべきなのか問いを立てて検討していく必要があります。

カミナシで問いを立てる際は、チームメンバーがそれぞれUXリサーチした結果を共有し、全体像をアップデートしたり、関係や関連性を見つけながら、どのような問いが立てられるかを議論しています。

この関係や関連性という点では、ヒト、モノ、カネ、情報の軸で明らかになっている課題や、どの部分の課題の声が大きいのかを整理していくと、問いが立てられやすいなと感じました。
(まだまだ問いを立てる枠組みは模索段階です)

このように探索する中で得られた情報から問いを立てて、それについて深掘って検証していくというサイクルを回していくのがいいかもしれません。

カミナシでは、業界の全体像を把握できた段階で、UXリサーチの1サイクルを完了させ、次のリサーチフェーズの計画を行っています。計画では具体的に、これまでリサーチした内容をさらに深掘るのか、それとも問いを立てるかなど検討しています。

この検討する時間を週一の定例ミーティングなどを設けることで、まるでスプリントプランニングのようにUXリサーチのサイクルを回すことができます。

ただ週一で回してみると、スピードが速い分、アウトプットを作り込めない部分もあるので、アジャイル型を採用する場合は、どのフェーズをどのくらいの頻度で回すか、どのようなアウトプットを期待すべきかを、毎回のリサーチ計画時に明確にしておく方が良いかもしれません。

チームで学習サイクルを回す

カミナシでは基本的にUXリサーチはチーム単位でサイクルを回しています。

以前は個人がUXリサーチを進めて、結果を共有するという進め方をしていたのですが、いくつか課題も見えてきました。

  1. 情報が属人化しやすい

  2. UXリサーチの結果が偏り情報が不足する

  3. チームメンバーの理解と納得感をつくることが難しい

これらの課題から、チームで行う方が

チームをはじめ組織としてナレッジを蓄積できる
幅広い観点を役割分担しリサーチできる
チームメンバーの納得感を醸成できることで意思決定が進めやすい

というメリットがあると思います。

ただ、チームで行うとスピード感は個人でやるよりも落ちると思います。そのため、プロジェクトの目的に合わせながらスケジュール感を全員で意識していく必要があります。

スピード感を落とさないためには、チームメンバー全員でやる必要はなく、スケジュールと達成したいリサーチ目標をもとに最小限の適切なメンバーで行う方が良いと思います。

カミナシでは、基本的に新規事業の探索は、現在4名のPMチームで行っているため、スピード感を落とさずにサイクルを回すことができています。またPMチームには、デザインや開発のバックグラウンドを持ったメンバーがいるため、実現可能性などを考慮しながら議論することができています。(たまたまですが)

上記はカミナシの場合ですが、もし大きいチームで取り組む場合は、異なるバックグラウンドを持つメンバーをアサインしたリサーチチームをその中につくり、必要なタイミングでステークホルダーやチーム内で共有する方がスピード感という点ではいいかもしれません。

さいごに

新規事業の機会を発見するのは、かなり探索的なので、時間はかかります。が、様々な観点を持つメンバーで学習し議論しながら、小さくアジャイル型でUXリサーチを回していくことで、クリティカルな課題を特定できるのではないかと考えています。

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