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プロダクトマネジメントにおける無骨なデスクリサーチ

こんにちは、カミナシでUXデザインとリサーチをしている渡邊 (@nabetaro_san) です!

カミナシのプロダクトマネジメントでは、PMがそれぞれの要件に応じてデスクリサーチを行うようにしています。
あまりデスクリサーチに関する記事を見かけなかったこともあり、今回はカミナシ視点でデスクリサーチについて書いてみました。

誰のためのnote?
プロダクトマネジメントに関わる方
UXリサーチをこれから取り組みたいと考えている方
カミナシのPMチームに興味がある方

なぜ”無骨”なのか

今回はタイトルにある通り、デスクリサーチを「無骨」という言葉で表現してみました。

特に深い意味はないのですが、このnoteを書く前にPMチームでタイトルを考えていた際、デスクリサーチを表現する上で「無骨」という言葉がなぜかみんなしっくりきました。笑

そこで無骨の意味を調べてみると...

引用:グーグル日本語辞書

”素朴で、作法や趣味を身につけていないこと。”
”スマートでないこと”

良い意味なのか悪い意味なのか分かりませんが、デスクリサーチは「作法がなく、スマートでない」とは言えるかもしれません。
今は一次情報であろうと二次情報であろうとごちゃ混ぜに大量の情報がある時代ですが、そんな中をとにかく調べまくるという手法のひとつがデスクリサーチです。

ただ、調べまくると言っても包括的な情報が多いため、目的の情報にたどり着くまでにはそれなりに時間がかかります。
そして綺麗に体系化されているわけでもないので、まさに作法がなく、スマートに調査することができません。(誰か教えてください)

そんな無骨さを持つデスクリサーチを前提に、カミナシでの取り組みをもとにデスクリサーチの目的や向き合い方などを具体的に紹介していきます。

デスクリサーチのゴール

デスクリサーチのゴールは、プロダクトや事業フェーズによっても大きく変わりますが、多くの場合は「仮説を立てること」だと考えています。

デスクリサーチで調べた情報は、調べて終わるものではなく、それらの情報から最終的にどのような仮説を立てるかが重要です。
仮説を立てる→デスクリサーチする→仮説を立てる→…とデスクリサーチで素早く仮説検証し、学習のサイクルを回すことで仮説の妥当性を高くしていくことができます。

もし仮説を立てずにデスクリサーチをすると、検証すべき項目が不明瞭なことからクリティカルな結果が出ない場合があります。そのため最初のステップでは包括的な情報を調べ、そこから仮説を立てて段階的にデスクリサーチをしていくことがおすすめです。(ただし時間がかかるため、予算との相談になります。)

また「仮説を立てること」が重要な一方で、デスクリサーチを行わずに仮説を立てると人の解釈に依存することになり、仮説の妥当性があるかどうかがわかりません。

例えば、調べてきた情報をKJ法で分析しようと思った際に、類似するものをグルーピングしていきますが、何を基準に類似していると言えるか難しいところです。
そのため、デスクリサーチで前提となる情報を整理しつつ仮説立てを繰り返すことで、適切な解釈にいたる可能性が高くなります。

ここまでデスクリサーチのゴールとなる仮説立てについて書いてみましたが、肝心なデスクリサーチそのものについては作法や手法などの特効薬的なものがあるわけではなく、無骨にデスクリサーチに向き合う必要があるのかなと思います。

どこまでの情報を得るか明確にしておく

無骨に向き合うための一つの方法としては、まずはデスクリサーチでどこまで情報を得るかを明確にするというのがあります。
明確にせずにデスクリサーチを進めると、どこまでも深掘りできてしまうため、まとめる時や仮説を立てる際に苦しくなります。

そのため、デスクリサーチを始める前に

  • デスクリサーチによって達成される状態目標

  • デスクリサーチというリサーチ方法が適切かどうか

  • その目標にはどこまでの情報が必要か

  • その目標に必要ない情報は何か

を決めておくと良いかもしれません。
達成される状態目標は、例えば何がわかったら議論できるのか、何がわかったら仮説が立てられそうか、何がわかったら意思決定できるのか、などです。

そして、その状態目標に対して適切なアウトプットを作成します。
例えば、チームメンバーで意思決定をしたいという場面で、膨大な詳細資料を作成しても説明と理解で終わってしまうため、調査の結論と意見などを簡潔にまとめる方が良いという場合もあります。

カミナシでは、社内リソースとして半永久的に活用できる情報はしっかりめに作成したり、チーム間でスピーディーに共有する場合は、Notionの1ページで結論をまとめるなどしています。
テキストで伝わりきれない部分は、口頭説明している動画をZoomで録画し共有するという方法も試してみました。事前に動画を見ることで、その後の議論ではチームメンバー全員が解像度が高い状態で議論を行うことができました。

つまり、アウトプットの形は状態目標に合わせながら、工夫していくというのが良いのかもしれません。

一次情報と二次情報を掛け合わせて活用する

実際にデスクリサーチを始めてみると、一次情報と二次情報の2つの属性の情報が出てきます。
これらの情報にはそれぞれメリットとデメリットがあります。

一次情報では公的書類や統計レポートから、信憑性が高く正確なデータを確認することができます。その一方でデータを解釈する際に、都合の良い形で解釈してしまう事や、最悪の場合データを読み違えていたということも起こり得ます。

二次情報では執筆者が既に一次情報を解釈している場合が多いため意思決定を進めやすい一方で、前述の通り都合の良い解釈になっていたり、そもそも一次情報の信憑性が低かったりということがあります。

そのため、どちらか一方に偏ったデスクリサーチではなく、二次情報で包括的に情報を集めて解釈がどのように行われたかを整理し、それを根拠づける一次情報を集めていくという、掛け合わせでデスクリサーチをすると良いかもしれません。

ただし、これはあくまでも丁寧に時間をかけるならという話であり、必ずしも掛け合わせをする必要はなく、プロジェクトのスピード感や予算、状態目標に応じて決めるべきだと思います。例えば、デメリットを考慮しつつも二次情報のみで完結することもまた手段の一つだと思います。

デスクリサーチを継続することが重要

無骨にデスクリサーチに向き合うためには、

  • 仮説を立てて、デスクリサーチで検証することを繰り返す

  • デスクリサーチで達成する状態目標を決める

  • 一次情報と二次情報を掛け合わせる

ということを紹介してきました。
これらはカミナシで実践して見えてきたものですが、まだまだ模索段階だったりします。

デスクリサーチをしたからといって、完璧に理解することは難しいです。
そのためデスクリサーチだけではなく、ヒアリングなど他のリサーチ手法も合わせながら、以下の図のように「知っていることを知っている」ようにする。そして「知らないことを知っている」ようにするという活動を目指すべきかもしれません。

Donald Rumsfeld

カミナシのプロダクト開発では、デスクリサーチは常日頃、地道に継続していくものだと考えています。
デスクリサーチを綺麗にプロセス化して行うことも目指すべき姿ですが、まずは手法などにとらわれず”無骨に”チームで学習を継続していく文化こそ最も重要な事なのかもしれません。

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