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ジャズ記念日: 12月19日、1959年@ニュージャージーRVG

Dec. 19, 1959 “I Love You” by Duke Pearson, Gene Taylor & Lex Humphries at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs for Blue Note (Tender Feelin’s)

1948 年に映画化されたミュージカル、 “Mexican Hayride”向けにコールポーターが手掛けた曲で、ビングクロスビーが歌い、ヒットしてスタンダード曲となった。

駆け足のようなテンポのリズムから始まり、ピアノのデュークピアソンの波に乗るかのような明快で軽やかなタッチとメロディー、それに寄り添うリズムセクションも軽快な終始明るいトーンで演奏が繰り広げられる。

ピアソンの明るく優しいスタイルに掛け合わせる、随所に現れるドラム、レックスハンフリーズによる「ダダッ」という変則的な即興のフィルインがこの演奏のミソ。

ベースは存在感が薄く感じられるが、ホレスシルバー等のバンドでドラムと絶妙な間合いでグルーブ感を醸し出している名手、以下の名演等で活躍しているジーンテイラーだから悪い訳が無い。耳を傾けると、寄せては返す活き活きとした波のようなベースラインで実に良い仕事をしている。

ピアソンは、ミュージシャンとしてのみならず、ブルーノートレーベルで、アイクケベック亡き後、1963年以降のA&R(Artists and repertoire)マンとして活躍した。A&Rマンの役割としては、タレントの発掘、録音過程及びプロモーションの支援を担う重要な責務。

ピアソンとブルーノートレーベル創始者の
アルフレッドライオン

また、ピアソンは作曲やライナーノーツも手掛けていて、その集合体がグラントグリーンのアルバム、”Idle Moments”。タイトル曲の作曲、ピアノ演奏に加えてライナーノーツをも手掛けている。

1963年11月4 & 15日収録

グリーンはケベックとの以下共演作もあるから、A&Rマンに愛されるキャラクター、だったのかもしれない。

ピアソンは、作曲にも秀でており、幾つかのジャズスタンダード曲も輩出した。

独特のテンポ感やメロディーを兼ね備えた名曲ですが、叙情的なのが共通項でしょうか。

ピアソンは、元々トランペット奏者としてキャリアを形成しようとしたものの、「ウイントンケリーのピアノに痺れた」結果、ピアノに転向する事を決意した、とデビューアルバム”Profile”(1959年10月25日録音)のライナーノーツに書かれている。一説によると、管楽器を演奏する上で歯に問題を抱えていたのも原因だったよう。管楽器を手にする前、幼少の頃にピアニストだった母親からピアノを習っていたそう。では、そんなにピアソンを虜にしたケリーのピアノに興味がある方は、こちらをどうぞ。

そのライナーノーツには、新人紹介的に、ベースのテイラーは、「レイブラウンとオスカーペティフォード」、ドラムのハンフリーズは、「フィリージョージョーンズ」が好み、と記載されている。それを見て、そういえば、名手のブラウンとフィリーの組み合わせを聴いたことがないから、両方の要素を組み入れようとすると、こういう人選になるのかも、と思ってブラウンとフィリーの共演作を調べてみた。

本当に少なくて、探し当てたのはビルエバンスのアルバム”Quintessence”(1976年5月27-30日録音)での以下演奏。

すこぶる良いですね。これだけ相性が良いのに、サイドマンとして多作家の二人の共演作が少ないのは何故なのでしょう。この演奏の相性からすると音楽的な指向の問題ではなさそうですが、いかんせん共演が少なさ過ぎる。そんな大物二人を共演させる事が出来るのもエバンスだからこそ、なのでしょうか。

では、最後に話をピアソンに戻して、先のジャズスタンダード化した二曲のオリジナル演奏をお楽しみください。

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