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ジャズ記念日: 9月22日、1965年@ニュージャージー/ハーフノート

Sep. 22, 1965 “Unit 7”
by Wes Montgomery, Winton Kelly, Paul Chambers & Jimmy Cobb at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey for Verve (Smokin’ at The Half Note)

フュージョンに路線変更する直前のウエスの絶好調な純ジャズ演奏。三年前の以下クインテット演奏を機にレギュラーバンドとなった相性抜群でノリノリのウイントンケリートリオとの息もピッタリ、場数を踏み、進化・成熟して名人芸的な一体感に溢れる、かといって手加減しない刺激的なアドリブのコンビネーションが味わえる。

先ずはケリーのピアノの何処までも果てしなく聴いていたいソウルフルなソロから始まり、これまたとめどもない雄大でブルージーなウエスの管楽器的なソロ、メロディーの上下運動でグルーブを絶えることなく安定的に送り出すチェンバース、ジミーコブによる機械仕掛け的になりがちなビートを微妙なテンポの揺らぎと音の強弱を刻む事で飽きることの無い、かといって嫌味の無いグルーブするリズム、これらが合わさって考える事なく約七分、純粋に音楽にのめり込むことができるという、まさにご機嫌な音楽。

特に4:52秒からのウエスとケリーの一心同体のようなアドリブの掛け合いから始まるバンドの疾走感は類稀なレベル。そしてケリーのソロ中のウエスのさり気無いバッキングが秀逸。ウエスを聴く密かな楽しみの一つは、このバッキングにある。

この作品は偉大なる現代ジャズギターの第一人者、パットメセニーが厳選した一推しアルバムのひとつ。

アルバム”We Live Here”のジャケット内に、
各奏者の”一推しアルバムリスト”が記載
パットは上から二番目に本作が記載されている
ウエスとはまるで異なるプレイスタイルだが、
アドリブ的な観点で精神的に通じているのかも

ジャズクラブ、ハーフノートでのライブというアルバム名とアルバムジャケットではあるが、本曲はルディヴァンゲルダーによるスタジオ録音で、所謂ブルーノートサウンドに類似してはいるものの、プロデューサーが後にフュージョンを開拓したクリードテイラーだから、ウエスの左スピーカー寄りの配置や構成面等は商業的に工面された印象を受ける。

Half Noteジャズクラブは、1957年から74年までマンハッタンで営業した老舗のジャズクラブの一つ。コルトレーンやアートファーマーによるライブアルバムが遺されている。

ハーフノートにおけるコルトレーンカルテット
狭くて天井が低くて密度が高そう

テイラーはこの録音に立ち会いつつ、モンゴメリーとヴァンゲルダーを起用した、二年後に設立するCTIのフュージョン構想を育んでいたのかもしれない。その代表的な作品はこちらからどうぞ。

作曲は、ウエスとも共演歴のある名ベーシスト、サムジョーンズによるもの。ジャズミュージシャンとしては珍しいフロリダ出身、サムジョーンズの作曲。こちらにもドラマーのジミーコブが登場していて良い仕事をしています。

最後に、ウエスのデビュー作品からの一曲をどうぞ。この時点で既にジャズギターの王道のスタイルが完成している事に驚きます。

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