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まみむめも

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記事一覧

【超短編小説】まちがいさがし

「ねぇ、私のどこが変わったかわかる?」
彼女から突如投げかけられた質問…。まずい、非常にまずい。全然わからない。

 今日は、生まれて初めてできた彼女との、四回目のデート。以前から彼女が見たいと言っていた恋愛映画を、二人で見に行く予定だった。約束していた時間の10分前に駅前で合流。ウキウキで映画館に向かっていた時に、予想もしていなかった重量級の疑問符をぶつけられたのだ。
 彼女からこの質問をぶつけ

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【超短編小説】見えないものは見ようとしても見えない

 大学の授業の一環で、美術館見学に行くことになった。美術館に行くのは別に良いのだが、現地集合かつ現地解散…しかも交通費は自分で負担しなければならない。その上、貴重な休みの日を潰されるのだから、たまったものではない。
 家からはそこそこ距離があったのだが、交通費を払いたくなかったので、自転車で行くことにした。家を出て10分経過したところで、この判断をした自分を殴りたくなった。夏の日差しがジリジリと肌

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【超短編小説】昔話

 むかしむかし、あるところに、おじいさんとおじいさんがすんでいました。
 おじいさんの2人ぐらしはめずらしく、まわりからはヘンテコな人たちだとおもわれていました。

「え、おじいさんの二人暮らしって珍しいの?」
健太は、不思議そうな目で私のことを見つめていた。
「いや、今は結構居るよ。これは昔の話だからね。」
そう言って、健太に微笑みかける。すると、家の鍵を、ガチャッと開ける音が聞こえた。
「大輔

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【超短編小説】めんどくさい

 あーもう、何もかもめんどくさい。彼氏には二股され、仕事では上司に叱られ、何もかも嫌になった。仕事で忙しくて、家族や友達とも最近連絡が取れてない。生きるのがめんどくさくなったので、私は死ぬことにした。もう、何もかもどうでもよくなった。
 だが、悩ましいのがどうやって死ぬかだ。首を吊るのは苦しそうだし、事故物件にしてしまうのは大家さんに申し訳ない。高所恐怖症なので、飛び降り自殺をする勇気はない。色々

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【超短編小説】問題

 俺は人間性に問題がある。十分自覚している。

 俺が3歳の時に両親は離婚。女手一つで育てられてきた。父親似の俺は、母にあまり好かれていないような気がしていた。仕事で帰りが遅いのは、生活費を稼いでくれているから仕方ないことなのだろうが、理由はそれだけではないと思っている。ずっと誰からも愛されていないような、そんな気がしていた。友達付き合いも、上手くできない。多分原因は俺にある。でも、どうしたら良い

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