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人間ドック後、映画『怪物』を観ました

 人間ドックが、コロナ罹患で、延期になり、この度、リベンジで受けてきました。

 人間ドックの日を、水曜日にしたのは、可能であれば、人間ドックの後のその日の午後、映画を観ようと企んでいたからです。

 何となれば、水曜日は、私が会員になっている映画館が、サービスデイで、安く映画が観られるからです。

 人間ドックは、どういうわけか、空いていました。対応してくれた看護師の方に聞いてみたのですが、コロナ後は、受診者の動きが変わり、受診の波がよく読めないのだとか。

 私は、コロナ禍の間、人間ドックは受けていましたが、胃の内視鏡は避けていました。

 というのは、経口的な胃の内視鏡は、コロナ禍以後、鎮静剤処方による内視鏡が禁止されたため、私には、正常意識下の内視鏡は大変辛く、かといって、バリウムによる撮影もイヤで、胃の内部を覗く検査そのものをこの3年間、止めていたのです。

 ところが、予約段階で、経鼻的な(鼻からの)内視鏡は、多分、楽かもよ、と勧められたため、トライしてみることにしたのです。

 鼻の手術等はしたことはなく、弊害はないのですが、果たして鼻からの内視鏡は…。

 結論から言うと、向き不向きはあるようですし、医師の腕もあったのかもしれませんが、経口的なものより、はるかに楽でした。

 そうは言っても、身体に一定の(強い)ストレスが加わった日の午後、人間ドックの後に、映画館に立ち寄りました。

 正直、時間の都合が合えば何でもいいや、という感覚でしたが、いいタイミングで、映画『怪物』の上映時間に滑り込めました。

 予告編の放映で、「怪物、だ~れだ」という印象的なフレーズと、この3月に亡くなった坂本龍一氏の印象的な音楽が、イヤに耳に残っていましたので、気になっていました。

 ただ、15秒ほどの予告編からは、何の映画かさっぱりわかりませんでした。

 この映画は、是枝裕和監督、坂元裕二脚本、坂本龍一音楽で、なんと、この5月に行われた第76回カンヌ国際映画祭の脚本賞とクィア・パルム賞の二冠を受賞した作品です。

 この映画は、登場人物の三者の視点からの三部構成で、非常に緻密に計算されており、最初から最後まで不穏な雰囲気を醸し出しているのですが、最初からの伏線が、最後になると、全て回収されていく非常に高度な作りの脚本だなと感じました。

 脚本賞というのは、まさにそのとおりだなと思います。

 クィア・パルム賞というのは、独立部門で、LGBTQ+を取り扱った優秀な作品に贈られる賞です。

 日本人の作品に、同賞が贈られるのは初めてのことであり、登場する生きにくさを抱える二人の少年の微妙な関係が、その賞の理由となっているのだと思います。

 鑑賞後、爽快感がある映画とは言えませんが、不思議な納得感があり、「うーむ」とうなってしまいました。

 ただ、先にも書いたとおり、三者の視点からの三部構成の映画になっているのですが、それぞれ互いに矛盾はなく、全てつじつまが合った形で、話が終わるというのは、本当に「脚本」自体の勝利だなと思いました。

 主演の安藤サクラさんは、『万引き家族』に続く出演であり、また、もう一人の主演の教師役の永山瑛太さんは本当はいい人の役だったんだと、映画が終わる頃わかりました。

 内容は、複雑で一言で伝えられない映画ですが(言ったとしたら、ネタバレになりますよね。)、不思議な感慨がある映画です。

 ストレスのかかる人間ドック後、一つの休憩材料になればいいなと思いましたよ(^^)。

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