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逃げられると思うと、逆に踏み止まれる

 大学の1年生の夏、同じ部活の同学年の文科一類(将来、法学部に進学するコース)の学生が、いきなり鉄道に飛び込み自殺をして、すごくびっくりした記憶があります。

 葬儀にも行きましたが、その葬儀で、その亡くなった学生の両親は、「どういう表情をしたらいいのかわからないといった表情」をしていたのを鮮明に覚えています。

 私も、大学に入学して結構悩んでいましたが、自分以上に悩んでいるヤツがいるんだ、と、非常に打ち明けにくい思考ですが、逆に悩む力が抜けたものです。

 今となっては、少々わかるのですが、悩んでいるんなら、同じような境遇にいる人とつるんで、多少の愚痴を言い合うという関係もあっていいと感じるのですね。

 あんまり、完璧を求めると、疲れますし、また、現実に完璧にはなれないものです。
 ※完璧は、「神の領域」です。

 それから、相談できる専門家を頼るというのも手だと思うんですよね。みなさんの中にも、思い当たる人がいたら、それもそうだよなと実行に移してくださいね。

 日本人は、「逃げる」ことを「恥」のように思っているところがあります。

 太平洋戦争のとき、陸軍大臣東条英機が全陸軍に発した戦陣訓せんじんくんの中で、「生きて虜囚りょしゅうはずかしめを受けず」という戦場の心得を伝えていますが、これは「敵の捕虜になっては恥だ、捕虜になるくらいなら自決しなさい」という意味であり、この教えが、今の日本人の中にも、どこか残っているのではないかと感じるのですね。

 「逃げる」くらいなら、「自決」しよう、そんなふうに追い込まれる人が、戦後80年近く経ってもいるのではないか、そんな感じがいたします。

 私は、精神世界の本などもそれなりに読んでおり、生まれ変わりはあると感じていますが、ただし、「自殺すると、天国には行けない、暗くて、臭いところである地獄行きになる」という表現に触れたことがあり、自殺は止めた方がいいなと思っています。

 生まれ変わりとは、人生に課題があるからこそ起こるものですから、自殺をすると、人生の同じ課題を最初からやり直ししないといけなくなるのですからね。それって、「とっても、楽しくないし、悲しくないかい」と思いますよ。

 こういう考え方は、人によって好き嫌いがあるので、置いておくとしても、自殺に逃げるのではなく、別の逃げ方があるんじゃないかと思うんですね。

 学校だって、「留年する」とか、「休学する」とか、やっていくうちに、何とか芽が出る方向もあるかもしれません。

 人生、それなりの長さがありますから、数年の遅れなどなんとでもなりますからね。

 ちなみに、J-WAVEの人気ナビゲーターのグローバーさんは、東京大学卒業資格を勝ち取っていますが、留年と休学をかなりはさんだようで、でも、その分、今や、人情の機微のわかる押しも押されぬ人気DJです。

 思うんですけど、会社でも学校でもですが、逃げる選択肢があると思うと、逆に腰を落ち着けて、闘うことができるように思います。

 会社ならば、「辞める」というのが最後の逃げる手段になりますが、いざとなったら辞めればいいと思うと、逆に「そういうことであれば、もうちょっとだけ頑張ってみよう」とか、「職場の異動を申し出てみよう」とか、正常な知恵が働いてくるものです。

 何も、「すぐに退職する」ばかりが、逃げることじゃありませんから、知恵を使って、少しだけマイルドに動くこともできますよ。

 そういう知恵も働かないと、思い詰めて「自殺」なんて、考えられる中で最悪の「逃げる手段」を使ってしまいますからね。上手に逃げる知恵を働かせて、生き残りましょう。

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