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恋人との連絡頻度で悩むあなたへ

異性の恋人(以下,恋人)からどれくらいの頻度で連絡がきたら嬉しいですか?毎日ですか?週に3〜4日ですか?あるいは月に1回ですか?

一緒に住んでいて毎日連絡がきたら「帰ったら会えるのに」と思うかもしれませんし,「いつも連絡が取れて嬉しい」と思うかもしれません。

遠距離なのに月1回の連絡しかなかったら「私たち本当に付き合っているのかな」と思うかもしれませんし,「信頼してくれてありがとう」と思うかもしれません。

連絡頻度は人によりけりで,なかなか難しい問題です。だからなのか「恋人から連絡がこなくて不安」「恋人から頻繁に連絡がきて面倒」という真逆の相談を受けることがよくあります。

せっかくなので心理学の知見を紹介しつつ,私なりの考えをまとめてみます。

男性は早めにのめり込み,女性は慎重な姿勢

まず前提として,気持ちの盛り上がり方には男女差があると言われています。一般的に,男性は恋愛関係の初期から後期にかけてだんだんと気持ちが盛り上がっていく一方,女性の気持ちは初期の間はあまりのめり込まず,後期になるとグーンと上がります(図1)。すなわち,女性の気持ちは男性と比べてゆっくりと盛り上がります。

恋人からの連絡頻度で悩むあなたへ

図1. 気持ちの盛り上がり方の男女差

そして,人間は絶対値を認識することが苦手です。たとえば,ウェーバー・フェヒナーの法則をご存知であれば了解していただけるかと思いますが,100gの重りを110gに増やしたときに「重くなった」と気づく場合,200g の重りが「重くなった」と気づくには220gまで増やさないといけません。絶対値(10g)ではなく,変化量(10%の増加)が大事ということです。

この「絶対値の認識が苦手」と「気持ちの盛り上がり方の男女差」とが合わさると,恋愛後期の女性はいちまつの不安を覚えることがあります。「あれ?今までは向こうからグイグイ連絡とかも来ていたのに,なんか最近私の方が好き好きアピールしていない?」という不安です。いわゆる釣った魚にエサはやらない状態です。

恋愛の後期で女性と男性の気持ちは同程度になっているにもかかわらず,変化としては女性の増加分が男性の増加分に比べて大きい(女性は+3,男性は+2)ことで,先に紹介した不安が生じやすくなります。

逆に男性からみると,自分は特に変わったつもりもないのに,恋人の女性から「なんか昔に比べて連絡してくれなくなったよね」などと言われたりすることもあるのかもしれません。(女性の気持ちが盛り上がったことに安心して,本当に連絡をこまめにしなくなっている可能性もありますが…あるいは,蛙化現象?)

関係の親しさとコミュニケーション量のJ字カーブ

また,このようなコミュニケーション量は関係が親しくなるにつれて徐々に増えていきます。ただ,相手を深く知るようになっていくと少し減ります(図2)。初期の頃は相手のことを知る必要があるのでたくさんコミュニケーションを取り合うのですが,親しくなってくると相手の情報を多少は知っているので,その分のコミュニケーション量が減るわけです。

J字カーブ

図2. 関係の親しさとコミュニケーション量のJ字カーブ

「恋人からの連絡頻度が減った」のは,恋人があなたの情報をある程度手に入れたと思っているからかもしれません。逆に,「恋人から頻繁に連絡が来る」のは,あなたの情報を恋人がまだまだ欲しているからかもしれません。

半数の恋人たちは毎日連絡

そもそも恋人同士はどのていどの頻度で連絡を取り合っているのでしょうか。

2016年に行われた調査によると,毎日何らかの手段(電話,メール,SNSなど)で連絡を取り合っている恋人たちは約5~6割でした。SNS(LINE,Facebook,twitter 他)で月に数回しか連絡を取らない恋人たちも約5%はいました。すなわち,半分くらいの恋人たちは毎日連絡を取り合っている一方,残りの半分はそうではないということです。

ちなみに,この調査は「結婚の意思決定に関する意識調査」でしたので,連絡頻度と結婚願望との関連も調べられていました。20代に限定されますが,毎日恋人に連絡している男性は「近いうちに結婚したい」と思っている割合が高く,恋人への連絡頻度が週1回以下の女性は「近いうちに結婚したい」と思っている割合が低いことが示されていました。ただし,連絡頻度と「将来的に結婚を考えている」との間には男女ともに関連はありませんでした。

他者への信念がネガティブだと連絡頻度は減少

そして連絡頻度は他者への信念と関連しています(正確には,他者についての内的作業モデルと言います)。他者への信念とは,他者が自分の援助や保護の求めに対して応じてくれる人物なのかどうかという信念です。これがポジティブ,つまり,他者は自分の求めに対して応じてくれるであろうと思っていると,親密な関係を重要だと考えます。一方,これがネガティブ,つまり,他者は自分の求めに応えてくれると思えないと,親密な関係は大事ではないと考えます。

この親密な関係の重要性を過小評価してしまう他者への信念がネガティブな人は,恋人への連絡(電話や携帯メール)頻度が減ります。相手との関係が重要だと思っていないので連絡頻度が減る,あるいは,相手は自分の求めに応えてくれないと思っているのでなかなか連絡できないのかもしれません。

絵文字を使う人は恋多き人

ただし,連絡頻度よりも重要なのは,絵文字の使用の方とも言えます。

2019年に発表された論文によると,絵文字を使用する人ほど,別々の人とのデートの回数やセックスの回数が多いことが示されました。それも連絡頻度に限らずです。すなわち,連絡を頻繁にする人であろうと,あまりしない人であろうと,絵文字をよく使う人は異性とのデート回数が多く,セックス回数も多かったわけです。

気にするべきは頻度よりも絵文字?

「恋人から連絡がこなくて不安」な人は「恋人が自分のことが好きではなくなったのではないか?」と感じているのかと思います。でも,そもそも約半数の恋人たちは連絡頻度はそこまで多いわけではないですし,親しくなるにつれてコミュニケーション量は減るわけなので,そこまで連絡がこないことを不安視する必要はないのかなと思います。むしろ,絵文字に変化はないかどうかに着目した方が「別の人に気が向いている」=浮気の可能性に気づけるかもしれません。

一方,「恋人から頻繁に連絡がきて面倒」な人。恋人の女性は,釣った魚にエサはやらない状態になっていて不安な恐れがあります。あるいは,恋人の男性は,「僕だけがあなたのことを好きなのではないか」と思って不安なのかもしれません。その不安を解消してあげると頻繁な連絡は落ち着きます。もしくは,「もっとあなたのことを知りたい」と思っているから連絡をいっぱいくれるのかもしれません。面倒かもしれませんが,その気持ちに寄り添えると良いのかなと思います。

余談という本題というか

いろいろと心理学の知見を使って考えてみました。これから本題の個人的な考えに入っていきたいと思っていたのですが,思いのほか長くなってしまいました。

ですので,私の考えはまた別の機会に譲って,今回はここで締めたいと思います。

(以上はブログの再掲)

# 続きを書きました。(2020.8.28追記)

恋愛相談はじめました

 恋窓-koimado-という「恋愛相談窓口」をはじめました。恋愛の悩み,愚痴,迷いをお聞きしています。よろしければ,ぜひご活用ください。(2020.08.28追記)

参考文献

Bartholomewらの4分類愛着スタイル尺度(RQ)の日本語版の作成

結婚の意思決定に関する分析


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