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岩手プチ旅:一ノ関から。

まただいぶ間があいちゃいましたが、東北への旅の記録、完結編。初の岩手旅行、最終日はお天気回復してきたので猊鼻渓に行ってみました。せっかくなので、大船渡線に乗ってみたかったというのが大きかったかな。だんだん乗り鉄化しています。

ホテルをチェックアウトして、到着時には真っ暗でなんにも見えなかった北上川沿いを散歩しながら駅に向かいました。

朝の川沿い、気持ちいい。とにかく岩手、どこも空が広いなぁーと思う。

素泊まりだったので、駅に隣接している「芽吹き屋」さんで朝ごはんを。せっかくなので餅膳ぽいものが食べたいと思ったのですが、それだけだとお腹すきそうな気がしたので、単品でとったつみれ汁がなかなかのボリュームでした。

ゴロンと大きなつみれが5つも!これでかなりお腹いっぱいになっちゃったんだけど、甘いものは別腹、ってことでお餅もしっかり食べてきました。

右上から時計回りに、ずんだ、ゴマ、クルミ、小倉あんです。一口サイズのお餅が二個ずつと、抹茶のセットに箸休めのお漬物がついて600円。おやつに丁度いい感じです。私はゴマが一番好きだったなー。

大船渡線は、何故かポケモン推し。一応、観光ガイドには大きく取り上げられてるし国の名勝、天然記念物のはずなんですが、猊鼻渓駅で降りる人はほとんどおらず、駅前にも食堂一つない無人駅なので、google先生を頼りに船着場へ

あまりの人気のなさに若干不安になってましたが、船着場付近まで来てみたら、大盛況でした。皆さんやはり車で来るんですね…。前夜は雨だったし、お天気次第では舟の運行もなくなるので敬遠する人も多いかなと思ったんですが、どの船もすぐ満席になり、臨時便が随時出てる状態。紅葉の時期とかもっと混むんだろうな、と思うとさすがの観光名所という感じです。

水は本来は透明で川底の石まで見えるんだそうですが、雨上がりで残念ながらそこまでの透明度はなかったです。

舟下りの舟はこんな感じの平たい舟で、一艘あたり70人ぐらいまで乗れます。かなり日差しがきつくなっていたので、晴雨兼用の日傘が役に立ちました。

船頭さんののんびりした語り口で見どころを案内してもらいながら川を遡っていくと、少しずつ周囲の崖が高くなっていきます。だいたい30分ぐらいかな?どん詰まりの「獅子ヶ鼻」にたどり着くと、舟を降りて高さ100メートルを超える「大猊鼻岩」まで近づくことができます。

崖はこんな感じ。手前の人物でサイズ感がわかるかと。ブラタモリ的な気分が味わえます。

洞窟みたいなところの脇の岩の穴に運玉という小石みたいな小さな玉を投げて、穴に入ると願いが叶う、というちょっとしたゲームも楽しめます。町内会のお祭りみたいでほのぼのします。

舟の中では魚のエサも買えて、ちょっと撒いてやれば小さな魚や水鳥が舟の後を追ってきておねだりしてくれるので、小さなお子さん連れでも楽しめると思います。実際、幼稚園ぐらいのお子さん、小学校中学年ぐらいのお子さんも何人か乗ってましたが、お魚がぴちゃんぴちゃんと跳ねる姿に子どもは大興奮でしたし、透明度がもっといい日ならもっとお魚が見えるので、さらに楽しめると思います。興奮して水に落ちないよう注意が必要ですが、あまり深い川ではないのでそのへんも安心。

帰りは船頭さんが歌を歌ってくれます。川の流れに沿って下っていくので、行きよりもずいぶん早く進むように感じました。

古くから地元に伝わる民謡なのかなーと思って聞いていたら、「大船渡線に乗りかえてどうのこうの」みたいな歌詞があって「!?」ってなりました。

船頭さんに聞いてみたら、やはり大正時代に大船渡線が通ってから作られた新民謡だということでした。猊鼻渓は明治期までは訪れる人もほとんどない秘境の渓谷だったんだそうで、明治の終わり頃から観光開発されたのだとか。

大正時代に岩手県で最初の国指定名勝となり、同じ頃に大船渡線の一ノ関〜摺沢間の鉄道が開通して(猊鼻渓駅はまだ存在せず)、観光地として発展したんですね。それで歌詞にも鉄道の名前が入ってると。なるほど。

船着場のあたりに食事処もあるのですが、ローカル線の旅の私にはあまり時間の余裕がなく、次の電車に乗るまでのわずかな時間を使って、手漉き和紙の店で和紙づくり体験をしてきました。

乗りたい電車の時間を告げると、お店のおばさん、おじさんが「間に合うかしら」「頑張って!」と心配しながら大慌てで作業を教えてくれましたが、特急でやったら少し時間が余ったので、ソフトクリームを食べて、お茶をご馳走になりながら一休みすることが出来ました。

時間ないなりに頑張ってみました…素材の花びらや葉っぱは本物です。ちょっと紙をかけすぎちゃって、色がうまく透けなかったなー。

ここの店はお団子買うと駐車場を無料で使わせてくれるらしく、車のお客さんが時々顔を見せていましたが、紙漉き体験してたのは私だけでした。できた和紙は乾燥させて、後日郵送してくれます。子供と一緒にやったら結構楽しいと思うので、諸々考えると猊鼻渓って高齢者向けっぽい名前のわりに、お子様向け観光スポットとしてなかなか優秀だなと思いました。自然の中で空気もいいしね。

さて、再び大船渡線に乗って一ノ関へ。中途半端な時間だったし、朝のつみれ汁とお餅も効いてたので、食事は帰りの新幹線で食べることにして町中を歩いてみました。

徒歩圏内に、カフェやレストランも備えた酒蔵、世嬉の一があります。クラフトビールも作っているそうで、餅膳やビールに合うつまみ類もあって、昼酒を楽しんでいる観光客の姿が見られました。一ノ関の駅周辺って案外カフェとかが少なかったので、貴重な休憩どころです。

古い蔵を使ったミニ博物館も見学できます。でもとりあえず蔵にあったものをズラッと並べたみたいな感じで、博物館というより骨董屋さんみたいな雰囲気だった。それはそれとして面白かったですが。

東北旅行をしながらも、あまり震災の爪痕が色濃く残る地域は見てこなかったのですが、こんなところにも震災の傷跡が見られます。本来ここは左右観音開きの扉がついていたのだそうですが、右側の扉は震災の時割れてしまったとのこと。

井上ひさしゆかりの蔵でもあるそうです。

一ノ関は内陸部なので、震災の影響がそこまで大きかったという印象はなかったのですが、駅の大きさに対しシャッターを下ろしている店の割合が、これまで旅してきた地方都市と比べると、かなり有意に目立つ感じがして、経済的な影響を感じました。これは微力でも協力せねばと思い、お酒とかお菓子とか買ってきました。

気仙沼のキャラクター、ホヤぼーやの大船渡線柄のグッズは可愛くて使いやすいのでおススメです。この小銭入れ、旅から戻って来ても交通カード入れたりしてよく使ってますよー。

一ノ関ではもう一箇所、すごくおススメのスポットがあります。上の酒蔵から歩いて4〜5分のところにあるジャズ喫茶、ベイシー

入り口はこんな感じ。

ジャズ愛好家の中では伝説的なジャズ喫茶だそうで、私は中途半端な時間に訪れたせいか、すんなりいい席に入れたんですが、夕方過ぎからお客さんが増え始め、途中から相席になりました。嬉しそうに店内の写真撮りまくってるお爺さんとかもいて、なるほど有名喫茶なんだな、と思いました。

ここの店は「とにかくいい音でジャズのレコードが聴きたい」というジャズファンから《ジャズの聖地》とも呼ばれる喫茶店だそうで、とにかく音が素晴らしいです。

私は聴神経腫瘍が出来てから、左耳の一部の音域が聞こえづらいのですが、普段の生活では慣れてしまって、左右の聴力差が気になることはあまりありません。でも、いい音を聴くとこれが気になりだします。立川のシネマシティでの極音上映会なんかに行くと、俄然聴力差が気になりだすんですが、それと同じような感覚を味わいました。腫瘍できる前に行きたかったなー。

でも、薄暗い店内で音に身を委ねる感じは猛烈に気持ちいいです。県内外、ときには海外からもファンが訪れ、ジャズの大御所のライブも催されることもあるとか。私はジャズは詳しくないけど、この音の気持ち良さは癖になる。近所にこういう店がある一ノ関の住民の方は羨ましいなぁ、と思いました。

メニューは少ないですが、コーヒー頼むと、こんな山盛りのお菓子がついてきます。

このお菓子をぽりぽりかじりながら古いソファ椅子に身を沈めていると、本当に帰りたくなくなってしまいます。東北に行くときは、是非また寄りたい店です。

東京に戻ってからいろんな記事を読んでみたら、お店臨時休業の日とかも結構あるらしくて、するっと入れたのはラッキーだったみたい。タモリもプライベートで来ることがあるそうで、そう言えばカッコいいタモさん表紙のSwitch(雑誌)も飾ってあった。

私が入店した時は、隣の席に30代ぐらいのお父さんと、小学校の高学年か中学1年生ぐらいかなーという感じの男の子が2人座ってました。たぶん生まれて初めてのジャズ喫茶で、生まれて初めてのコーヒーに、たっぷりのお砂糖とミルクを入れてちびちび飲んでいる男の子に、お店の人が「お兄ちゃん、これもっと食べる?」とお菓子をサービスしてあげてて微笑ましかったです。

お父さんが初めて「大人の趣味」に息子を連れてきた感じなんだろうなぁ。昔、子役時代の柳楽優弥くんが出演していたホンダのバイクのコマーシャルで、「ねぇ、母さんとも来たことあるの?」と柳楽くん演じる少年が父親に質問すると、父親が「ここまで連れて来たのはお前だけだよ」と答えるというのがありました。少し鼻を膨らませて「ふーん」と言う柳楽少年の誇らしげな表情が可愛いのですが、ふとそれを思い出しました。

おそらくジャズファンのお父さんの方が若干そわそわしていて、少年のほうは神妙な顔つきで、でも堂々とミルク入りコーヒーをすすっている姿が印象的で。いつか彼が大人になって親元を離れる時とかに、この時のことを思い出したりするんだろうなぁって思ったら、なんだか胸が熱くなりました。

近くには、こんな染物屋さんもあります。使いやすそうな手ぬぐいハンカチと、手ぬぐい素材のコースターを買いました。普段は工房見学もできるらしいんですけど、この日は工房がお休みだったので、残念ながらながらお買い物だけ。オーダーメイドの法被や暖簾などにも対応しているそうで、通販もあります。

新幹線での晩ご飯のお弁当は、ちょっと豪華なお肉系にしました。駅弁ブログ検索して見つけたひふみ弁当。最後の1つだった。

ハンバーグ、炙り焼き、すじ煮込みと三種の牛肉を楽しめます。

このハンバーグ、お弁当バーグにありがちなボソボソ感がなくて、確かに手ごね風のしっとり感があります。ご飯にフライドオニオンが散らしてあったりしてなかなかの完成度。でも私は和風のすじ煮込みが一番好きだったかなー。

と言うわけで、三連休パスを活用しての二泊三日の東北の旅を堪能してきました。三連休パス、来年2月までまだ4回使える連休があります。興味が出た方は是非。私も今回行きたかったけど回りきれなかったとこ沢山あるので、また行きたいです。

各記事へのリンク
*1日目…遠野まつり
*2日目午前…花巻観光
*2日目午後…カッパ淵へ

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