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22時半のドバイ行き

時間というのは
急に出来たりするから
わたしはコートだけ引っ張り出して
成田空港まで車を走らす。
フライト情報は便が少ないけど
行ったらどうにか少しは見れるだろう。

この公園には何回も来た。
初めて連れてきてもらった日は10年前くらいだけど、覚えている。
どーでも良かった人のお決まりのコースみたいな。
ドヤった顔で、綺麗でしょ、と言っていた。
確かに夜の滑走路は綺麗だし
こんなに間近に飛行機を見たこともなかったから
それからわたしのお気に入りの場所になった。

一人で来るのは初めてだ。

いちゃつくカップルたちの少し離れた
一番後ろのベンチに座る。
ぼんやりオレンジが広がる空港。
あぁ、目が良かったらもっとよく見えるのか。

飛行機はフライト情報を無視して
どんどん飛んでくる。
結局10機くらいは見た。

同じ場所、同じ角度で見ていても
低く飛んできたり
高く飛んできたり
角度が凄かったり、JALかANAか
わけのわからないでかいやつとか。

フライト情報を見てると知らない国がたくさんあって、その度に調べては
遠い異国に行く飛行機を眺めた。
今から何十時間も空を切っていくのだ。

飛んで行く人の幸せと飛行機の無事を
祈りながら。何回も見送る。
こんな私の声は知らずに
轟音は突然響いて
空に吸い込まれて消える。
空港は止むことなく機械音を立てる。

だだっ広いオレンジの灯りと
いろんな人の笑い声を聞きながら
煙草の煙りを見つめて
飛行機に乗りたかったなあと思った。
最後に乗ったのはいつだったかな、

パイロットはどんな気持ちなんだろうか。
異国へ向かう乗客はなにを考えてるのだろう。
どっちにしろ私には関係ないけど

寒いなあ。
笑いたいなあ。
涙が止まらないけど
次々と飛んでくる飛行機に祈っていたら
なんだかどーでもよくなってきて

私は日本から出ないまま終わるのかと
22時半のドバイ行きを見送って
公園を後にする。

若い子たちが楽しげに坂を駆け上がってきた。
すれ違いざまに
若かりしころの香りのごちゃ混ぜが
鼻をついた。

幸せそうで、良かった。

あのドバイ行きの飛行機に乗れるような
人生ではなかったけど
なんとなく、もう少し生きてみようかと
あったかい缶コーヒーを買って帰った。

ブーツの音が冬を迎える。


お久しぶりの投稿です。
最近死にたい欲がすごくて、昨日病院に行って
最近また自殺未遂をしたこと、今来る時も前の車に突っ込もうかと思ったら自動ブレーキがかかってしまったこと、高速道路でどうしてもハンドルをどっちかに切りたくなること、常に死が目の前にある…と
普段なら大丈夫です。と言って薬だけ貰って帰る私がこんなに正直に話をしたのに、

薬をちゃんと飲んでください。

で診察は終わって、もう私の気持ちは
医師には伝わらないんだな、と。
医者は医者で仕事を真っ当してるだけ。
もし私が死んでも、薬は正確に処方しました。
の一言で終わり。次の患者を見るだけ。

なんだかいろんなことに絶望してしまい、
もう最近いろんなことを最後だと思って
行動しています。
そうすると、凄い行動力。笑

そんな感じで急に飛行機が見たくなって
行った感想の日記を。

いつまでこの病気と闘わなきゃいけないのだろう。

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