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その1 ごく個人的な偶然に満ちた「哀れなるものたち」の読書メモとイングランド&スコットランド旅行記 (ロンドンからエジンバラへ 大都市から魔法都市へ)

■2024年の旅先はスコットランド。「きっと一生に一度しか来ることないだろうなぁ」と思いながら、スコットランドへ向かう途中、予備知識なく開いた本の1ページ目に、

「以下に綴ったドクターは1919年に死亡している。そしてスコットランドの医学がどれほど大胆な実験に彩られた歴史を持っているかについて何も知らない読者は、その記述をグロテスクなフィクションであると勘違いするかもしれない。」


と出てきたときには正直ぎょっとした。開いたのは、映画化されてエマ・ストーンが主演女優賞をとった「哀れなるものたちの」(アラスター・グレイ)の原作本。

単なる偶然ではある。
偶然ではあるけど、初めて出会った人とその場の流れで出身地を尋ねあって、出身県が一緒なところまでは盛り上がったけど、そこからさらに掘ってくと通ってた幼稚園まで一緒で逆にちょっと引く、そんな感じ。

ここから8日間の旅の間、「哀れなるものたち」とともにスコットランド旅行が続く。旅行記としても、読書の記録としても役に立たないだろうけど、とにかく奇妙な旅と読書の体験であったから、ランダムに書き残す。

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■今回のスコットランド旅行は、アメリカ人の夫の発案。彼が60歳になる記念のバケーションは、スコットランドからアメリカに移民してきた彼のおじいさんの住んでいた家をたずねる旅。おじいさんがアメリカに移民としてたどり着いたときの手書きの台帳に書いてあった住所だけが手がかり。

■我々が住むハワイ・ホノルルからヨーロッパはとにかく遠い。今回はホノルルの家からLAでの乗り換え含め、ロンドンのホテルまで丸々24時間。ぐったりホテル着。翌日は昼過ぎにすぐ電車に乗るのでロンドンのキングスクロス駅そばの小さなホテルにとまる。

キングスクロス駅


ホテル the gyle 。古い建物をモダンにリノベしたヨーロッパの小さめな安めいホテルはアクセントきかせてポップな感じのところが多い。



■2日目。ロンドンのキングスクロス駅から、エジンバラに向かう。4時間半の電車に乗って、ついにイングランドからスコットランドへ。ヨーロッパの大きな駅のターミナルはいつも旅が始まる感があって楽しい。

ちなみにどのプラットフォームから自分の乗る電車が出発するかは
ギリギリ直前に電光掲示板で発表されるまで分からない。

■ところでキングスクロス駅にはあのハリー・ポッターの9と3/4ホームのフォトスポットとショップがある。大行列。夫は大のファンタジー好きでハリー・ポッターも大好きなのですごく喜んでいた。フォトスポットとしてめちゃくちゃ長い行列。ショップスタッフが写真を撮ってくれて、店で買うこともできる。これから向かうスコットランドのエジンバラはJKローリングが「ハリーポッター」を書いた街。ケルトの民の住むスコットランドへ向かうのだ。

■電車がキングス・クロス駅を出発。ロンドンの歴史的な街はすぐおわり、あとは団地や郊外の家々、そして野原や菜の花ばたけ、自動車修理工場、バス、スーパーのある町、牛、などが次々に流れては消えていき、セルフ”世界の車窓から感”を味わう。

旅先の花満開はいつも嬉しい

◾️昼に出て四時半ごろ、エジンバラ到着。
エジンバラの町はエジンバラ城周辺のOld townと
お城の反対側の新しくまっすぐな道で整備されたNew townに分かれている。ホテルはNew townにあるおしゃれなサービスアパートメント Righ residence。New townといっても充分古いんだけど、古い方がとにかく古いから。

チェックインでまごつく。
同胞アメリカ人に助けてもらう。


ハイライトとなるエジンバラ城の訪問は明日なので、夕方、ぶらぶらと街を散歩してみる。魔法のパワーを秘めたみたいな異様な塔が出てきた。

遠くからでも異様な迫力の塔

近くまで来てみるとさらにすごい迫力。調べると「スコットランドの生んだ偉大な作家・詩人、ウォルター・スコット記念塔」。し、知らねえ・・・すみません・・存命中にヒット作を連発し、スコットランド外にも名を轟かせたスコットランドの有名人で、スコットランドのお札になるほどの人。イングランドがシェークスピアなら、スコットランドはウォルタースコット!と国を背負ってる人らしい。(1771-1832)

すんごい威圧感

文学者の記念碑としては世界二番目の高さ、のこと。にしても、形といい、高さといい、やりすぎ感は拭えず。”権威大好きぃ!”って感じのオラオラ感、この塔の真ん中に本人の像がちんまりと座っていた。こんなのに囲まれてご満悦なんて。(スコットとは仲良くなれそうにない‥)と思った。もし今生きてたらフォロワー数追いかけて、血眼になってたタイプに違いない。

このウォルタースコット記念塔のあるプリンスストリートからは、エジンバラ城が遠景に見える。ちょうど四月の終わりは八重桜が満開で、とても美しい。

■この夜、初めてのスコットランド料理を食べに近場のパブに行く。
英語圏の国を旅しているのに、驚くことに、一文字も意味がわからないメニュー名がでてきた。
”Wee Haggis Neeps & tatties ”

答えは、ミニサイズのハギスというスコットランド料理+ターニップというオレンジ色のカブのマッシュ+マッシュポテト、の盛り合わせだった。
ハギスは茹でたヒツジの内臓ミンチ、オート麦、たまねぎ、ハーブを刻み、牛脂とともに羊の胃袋に詰めて茹る(もしくは蒸す)詰め物料理の一種。とのことで、臭みがあり、臭みがあるから胡椒もめちゃめちゃ効かせている。
名物料理なのに、盛り付けがどう見ても一瞬unkoに見える。
それでいいの・・・?
だれかもうちょっと考えようよとか言い出さないの?

まじでunkoにみえる

□その夜、ホテルに戻り、「哀れなるものたち」の続きを読む。
数ページめくったところで、ロシア人の登場人物のセリフ
「ぼくたちの文学はプーシキンから始まりました。あなたの国のウォルター・スコットと同じ時代の人間です。」がでてきて、今日二度目のぎょっとするタイム。人生で一回も知らなかった人の名前を、一日で二回も連続して聞く・・・・ウォルター・スコットはこのあともなにかとこの旅に絡んでくるのだった。


■エジンバラは3年住んでいれば魔法が使えるようになりそう。名物料理はUnkoでも。

面白すぎるスコットランド。暗いし、きれいだし、変だし、魔法は使えそうだし、やたらと歴史はありそうだし。夢中で本を読みながら、夢中でスコットランドのことを調べてる。

その2へ続く。明日はいよいよエジンバラ城へ。


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