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働き方のお話(士業のキャリア)

こんばんは、のんです。
今回はここ1年くらい考えているテーマについて、思考の整理も兼ねて掘り下げてみたいと思います。働き方、士業のキャリア関連のお話です。

簡単に経歴紹介

私は23歳で大学卒業後、1年間ほぼ専業で受験勉強をして、24歳で司法書士資格を取り、現在司法書士法人で勤続4年目です。
昔から周りに合わせることに苦手意識があり(協調性がゼロではないけど高くもない)、就活をする年齢になっても民間企業の一員としてやっていける気が全然しなかったため、資格を取って働く道を選びました。
(法律の専門家になりたかった、働き方を自分で選びたかった、という理由もあります。あと、司法書士は平和産業と言われますので、自分の性格に合っているのではないかなと一応自己分析していました。)

そんな経緯ですが、司法書士試験に合格後、諸事情から地元関西ではなく東京で社会人をスタートすることになり、しっかりした法人で働きたい(個人事務所で人間関係に躓くとすぐに路頭に迷う)という思いから、今日まで4年間法人勤めをしてきました。言ってみれば士業版会社員です。

小話:司法書士には長らく個人事務所の形態しかなかったのですが、平成14年の司法書士法改正により「司法書士法人」の設立が可能になりました。
従来は「個人事務所で修行、独立」or「合格後即独立」2パターンが主流だったところ、「司法書士法人で勤務司法書士(=代表司法書士が全責任を取る、法人から給与を受け取る)を続ける」という第3の選択肢が生まれたことになります。150年続く司法書士の歴史の中ではかなり最近の話です。

会社員になることを避けていたはずなのに…?

皆さまお気づきかもしれませんが、なにやら自己矛盾が生じています。
組織で働く自信がないから資格を取ったのに、気づいたら大手法人(無資格者を合わせて100人程度所属、司法書士業界では大手に分類される)に4年間も在籍してしまいました。
(実は次に転職予定の先も少し規模は落ちますが、中規模の法人です。)

法人で働いてみた結果、(ある程度予想できたことだし、おそらく士業特有ということでもないですが、)やはり随所に「やりづらいな」と思うポイントがでてきました。具体的には、「上長との関係性」(決定権は上長にあるが、判断に不服がある)とか、「コストベースの価値観」(組織が大きいので、コストカット&利益の最大化が重要だが、自分はヴァリューベースでいたい=最良のアウトプットに重きを置きたい)など、「組織で仕事をする上で無視できないあれこれ」vs「プロフェッショナルとして顧客と向き合いたい気持ち」が衝突・抵触する機会が増えてきました。

「プロフェッショナルとしての生き方」は自分の職業人生において重要なテーマで、絶賛模索中です。波頭亮さんの『プロフェッショナル原論』(ちくま新書)を繰り返し読んで、心を燃やしています。

じゃあ独立して自分の好きなように仕事すれば良いんじゃないの?と思われると思うんですが(本当にその通りです)、「今はまだそのときじゃない」と思っています。理由はいくつかあります。

法人で働く理由その1:法人の持つ尖った専門性を自分のものにしたい(修行したい)

司法書士法人の経営戦略として、司法書士の業務分野のうち特定の分野に特化しているところが多く(例えば相続手続きに強い、不動産登記全般、企業法務に強い、等)、その年間の受任件数が個人事務所とは桁違い(単純に規模の差)なため、経験できる案件の幅や深さは当該特定分野においては相当なものになります。(その代わり、特定分野以外はほとんど経験を積めないのが短所)

なお、「大手は分業しているから偏った経験しか詰めないでしょ」という反論も(主に同業の方から)聞こえてきそうですが、私が所属している法人は比較的自分の裁量で案件を進められるし、クライアントとの関係構築も任されるので、積める経験の幅と深度はそこそこあると思っています。(むしろ単純事務はもっとアウトソーシングしたいところです…)

つまり、得意分野の異なる法人に転職することで、「尖った専門性の掛け算」が見込めます。自分の武器を身に着ける感覚です。
(大手法人で業務のマニュアル化が進むのもあるあるですが、その分無駄が省かれ洗練されており、大規模プロジェクト・特殊案件に携わる機会もあるため、やはり大手法人で修行するメリットは大きいと思います。)

法人で働く理由その2:自分ひとりでお客さんに向き合うより、チームで取り組んだ方がサービスの質を上げられる

これは私がまだまだ未熟者ということも大きいですが、やはりその道20年、30年の大ベテランや、他事務所で他分野を修行してこられた先輩方とは出せるアウトプットに大きな差があります。
ありがたいことに、「〇〇さんにお願いしたい」とご依頼に際しご指名いただくことも増えてきましたが、やっぱり自分の案件としてではなく、お客様のためにもチームでやらせてもらいたいなと思っています。
これは経験の蓄積とともに考えが変わるのか、変わらないのか、自分でも予想できないところです。

法人で働く理由その3:単純に自分で全部やるのは大変

独立するとなったら、当たり前ですが固定給がなくなりますので、事務所の経営に頭のキャパシティを大きく割くことになると思います。独立している司法書士の同期合格者の中には、それが楽しい(仕事内容はそんなにこだわらない)という人もいます。
一方、私の場合は、現状、ひとつのご依頼に対し、最良の結果が出せることに喜びを感じています。(お客さんが喜んでくれるのがうれしい)
変な言い方ですが、自分の生活がかかっていないから、一人のお客様に死力を尽くせるところがある、と思ったりもしています。(組織の一員として量産型の案件もたくさんこなすので、体力は必要だなと思いますが…)
純粋に「お客様に向き合うことに集中できる環境」はありがたいなあと思います。

最後に、大きな声では言えないですが、今後(まだ予定は全くないけど)妊娠出産のときに育児休業給付金をもらいたいな(会社員としての地位がいる)という邪な心もあります(小声)

そんなところで、たぶんこれからも葛藤は感じつつですが、しばらくは勤務司法書士を続けることになると思います。春からは別分野の法人で修行させてもらいます。(でもいつかふと決心して独立するかも)

今回はいくぶん士業に特化した内容になってしまいましたが、最後までお読みいただいた方ありがとうございました。それでは。

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