見出し画像

ちかちゃん、あのね。①



『ちかちゃん、あのね。会社員辞めたんだ』





ちかちゃんと私の出会いは突然だった。


何気なく見ていたInstagramに、ちかちゃんが所属するピースワンコジャパンの広告が流れてきて、


その頃の私はもう、人生の半分くらいまでの月日を過ぎていた。そして、『人生の目的とは』について真剣に悩んでいた頃だった。

転職も数回しているし、会社員という社畜には飽き飽きしていたし。

「就職した先で長く勤めないで、何やってんの!」って、母親にもすごく迷惑をかけていた。でもそんな時期は、転職ニ回目までだったかな。今では当然だけど、もう口うるさく言わなくなった。こんな娘にうんざりしたのだろう。



私は長年、雇われて働くことに違和感を感じ、さらには現実社会で【自分】を見出せずにいた。


『私の魂の目的はなんだ…』

『私の人生はこれでいいのか…』

『私の魂の言いたいことはなんだ…』


…そう呟く頃には、身も心もボロボロになっていた。



ある日、休日出勤の休み時間に、またピースワンコジャパンの広告が流れてきた。


その内容というのも、どうやら今日の17時まで、会社の近くでイベントをやっているようだった。


私は、ピンっときた。

『この子に一目会いに行く!!』


そう、ピンときたのは私ではなく、私の魂だった。


私の魂が、こんなに直感で奮い立ったのは人生で一番か、二番だろう。


そこからこの広告に映っていたワンコの名前を知った。

この子の名前は、『ちかちゃん』だ。


そこからというもの、頭の中はちかちゃんのことでいっぱいだった。


ふと私自身が、私の魂に問いかけた。

「なんで、ちかちゃんだ!と感じたの?」

魂は応えた。

『行けばそこに答えがあるからだよ!』

と。


私は無心に、無我夢中で、17時closeまでに間に合うように走らせた。


『ちかちゃん、お願い!待ってて!』


なぜそう呼んだのかわからない。
そして、なぜこんなにも呼び寄せられてるのかわからない。

これが、魂同士の引き寄せ合いなのだろう。


だが、
私の肉体は、人間。
ちかちゃんの肉体は、犬。


人一倍苦労の多かった私と、
元野犬で山奥で生き抜いてきたちかちゃん。

魂同士が引き寄せ合う“何か”がそこにはあるのだろう。


こんなにたくさん人や犬はいるのに。
こんなにたくさん情報はあるのに。


“ご縁”って、本当に凄いなと感じ、奮い立った瞬間だった。


続く


この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?