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ディスり

家内は、私の悪口が好きである。というよりも、私をからかうのが、本当に好きで、ほとんど趣味なのである。

まずは、トイレの電気である。

トイレに行って、消さないことが多いのは、確かに、私が全面的に悪い。本来、言い訳のしようがない。だが、家内の場合、注意の言葉の後に、一言も二言も、いや、複数言、多いのである。

私は、それを、ディスりだと指摘している。

そして、もうひとつ、何かが見当たらない場合、必ず、そのありかを私に確認してくるのであるが、それが、最初から、私のことは、犯人呼ばわりなのである。

よくあるのは、テレビのリモコンである。どこに置いたのかを、問うてくる。私は、ほとんどテレビを見ない。だから、犯人になるわけがないのだ。

ほどなく、家内の周辺か、歩いた軌跡上に、必ず、みつかる。

私は、これを、冤罪ではなく、ディスりだと指摘している。


さらに、私が、片付けたであろう、何か、について、どこに置いたかを、問うてくる。


家の片付けや整理は、ほとんどと言って良いほど、私が、買って出て、している。私がやらねば、永遠に、片付かないので、仕方なしに、やっている。

だが、それについて、当初は機嫌よく、言うのである。

良きに計らえ。

と。


ところが、一度、捜し物リストに何かが載ろうものならば、途端に、私は、犯人扱いである。まるで、人質犯のように、扱われる。



家内の、ディスり語録を、いくつか、あげよう。

ほらね。断捨離は、人を傷つけるのよ。

売れるものを見捨てるのは、我が家の流儀に反するわね。

片付けるのは良いけれど、素人にもわかるように片付けてくれないと、本当の意味で片付けたことにはならないわね。

必要なものは、いつも、手元に無いと、困るのよね。

世の中は、片付ける人と、散らかす人で成り立っているのよ。

来世は、片付ける人と、結婚して、幸せになってね。

片付け上手でも、それがお金になる人と、それが人を困らせる人とが、いるのよね。


そして、私へのディスりの定番、トイレの電気を消し忘れた時の、攻撃の機関銃言葉は、もう、ここに、並べないが、ひとつだけ、書いておこう。

それは、こうだ。

独り暮らしをした人でないと、1円の重みは、わからないのよ。コジくんは、寮生活が長かったものね。光熱費、なんて言葉、知らないもんね。



心の中の、リトルkojuroが、涙を流しながら、言葉を絞り出した。

家族のために、滅私奉公をして、なおかつ、掛けられる言葉が、こんな言葉とは……。つくづく、哀しいな……。


またひとつ、ディスりの言葉をかけられ、不満げな顔を少し、表に出してしまったときに、家内に見透かされて、とどめの言葉を投げかけられた。

あなたの片付けには、どこか、そうね、愛が、足りないのよ。

そこに、愛は、あるんか〜って、とこなのよ。

そして、歌い出した。

そこに愛は、愛は〜……あるんかぁ〜

そして、不覚にも、少しだけ、プッと、吹いてしまったところを、今度は、心の中の、リトルkojuroに、捉えられて、こう、呟かれた。

お前さん、なにやってんねん。


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