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ショートショート_悲願

秋桜が綺麗に咲く季節も、もう、過ぎようとしている。季節が巡るのは、結構早いものだと知らされる。特に、この季節に。

さて、小牧幸助さんの、シロクマ文芸部の最新お題は、木曜日に出る。

そして、今回のお題は、「秋桜」から始まる、小説、詩歌、エッセイということで。

今回は、自らの記事を書く前に、へいたさんの記事を読んでみた。


わたしは来年、還暦を迎え、定年となる。人生の大きな区切りを前に、妙に最近、涙腺が緩んできていて。孫とか、思い出とかいう言葉があるだけで決壊寸前になる。淡々として書かれているへいたさんのショートショートは、他愛のない日常なのだが。そこに詰まっている家族の姿が、なんとも言えず、愛おしくて。抱きしめたくなる。そして、自然に涙が流れてきた。

きっと明日は、いい日になる。


いつか、へいたさんのようなショートショートが書けるようになりたいと思うのである。


そして、たらはかにさんからのお題は…。

表のお題が「数学ダージリン」で。裏のお題が「枢軸マーガリン」ということだ。

お2人とも、膨大な数のファンの方、参加希望者を抱えていらっしゃって、お題を出すだけでも、大変だと思うのである。

それでもお題を出してくれる。毎週。ほんとうに、ありがたい限りだ。たらはかにさんは、今、インフルに罹っているという。どうか、大事にしてほしいと思う。


心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。

せっかく出していただいたお題を、小牧幸助さんの始まりの言葉と、たらはかにさんの裏表のテーマ、3ついっぺんに書くなんて、やはり、お二方に対して、だいぶ失礼なんじゃないかな。



うむ。むしろ、勿体ない。タイトルも勝手につけねばならないしな。


だが。私のサイクルは、日曜日がヘタな創作の日と決めている。小牧幸助さんのシロクマ文芸部も、たらはかにさんの毎週ショートショートにも参加したい。一方、自分のサイクルもできる限り守りたい。そして実力的に、1日に複数作書き上げる力量など無い。だから、昼からお題3つををすべて入れ込んだ荒技で、どうにか書き上げるしかないのだ。



心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、つぶやいた。

まるで悪ガキ、駄々っ子だな。



うむ。まさに。



そしてもう一度、心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、つぶやいた。

家族からのお題は、バックアップで書いたの?


まあ、ぼちぼち、な。


さて。それでは、本編にまいりましょう。今週の荒技、「悲願」約410字を、どうぞ。


☆         ☆         ☆

秋桜がゼミルームの窓から見えていた。

ホワイトボードに教授が板書をし始めたが、いずみのノートにはもう証明が書き上げられていて。

ゼミ生達は懸命に書写しつつ教授にいろいろと質問をしていて。いつもの時間が過ぎていった。


気付くと紅茶のいい香りがして。教授はお得意の手作りクッキーと共にテーブルに置き、ゼミルームは3時のおやつの時間になった。

休憩が始まると、泉は手招きされて教授室に呼ばれ。2人きりになった。

教授は、泉に問いただしたのだ。院に上がるつもりは無いのかと。教授としては、将来研究者として有望だと言って進学を強く勧めた。

だが。


泉には、秘密警察のエージェントになるという強い意志があった。

泉の父は、失踪ということになっているのだが。恐らく真実は、悪の枢軸テロ組織に抹殺されたのである。その謎をこの手で証明してみせる。それが悲願なのだ。


泉のノートの最後には、こんなメモが書かれていた。

マーガリン、お父さん、仇討ち。

……


Q.E.D.

☆         ☆         ☆


■追記■
面ゆるって、なに?
それは、これ。西尾さんはじめ、みんな、面白い作品をあげていて。
私は、だいたい土曜日の夜に、そこそこの過去記事をあげています。
もしも、お時間があれば、みんなの作品、読んで頂けたら幸いです。


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