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七夕

家に、次女が小学校1年生のときに書いた短冊が残されている。

うまくなって、しあいにでられますように。

そう、書いてある。子供というのは、なかなか可愛いものだ。素直に本心をそこに書く。大人ならば、なかなかそうはいかない。

次女は、今でもスポーツをしている。本当の意味でそう言えるかどうかはわからないが、一応、アスリートの端くれだ。小学校の頃から比べれば心身ともに逞しくなったと思う。そう考えると、この幸運に私は素直に感謝したい。

次女の試合デビューは、小学校2年生の冬だった。準硬式戦。既に勝負の決まった後半終了間際に交代で出てきた。心を込めてプレーしたが、ミスになりそこで試合終了。

その場で次女は号泣し、うずくまって立てなくなった。何人もの上級生が駆け寄り抱きかかえるようにして連れて行ってくれて、ようやく列に並ぶことができた。

ほろ苦いデビューだった。

何の因果だろうか。小学校の最後の試合も、中学の最後の試合も、高校の最後の試合も、次女のミスプレーが試合の幕を引くことになった。

その度に、次女は号泣し泣き崩れ、誰かに補助してもらって整列した。私は、そのすべての試合の応援に行ったが、試合が終わってもなお泣き続けてひとりうずくまっている次女に、かける言葉は残念ながら思いつかなかった。

ただ、遠くから見守った。

私と家内と、恐らく次女もそうだと思う。健康で生きていて、そしと卒業できたらそれで良いじゃないか。本心で、いつもそう思っている。

またいつか、最後の試合を迎える。それでも今度は、上を向いて終わってくれればと思う。勝っても負けても。泣いていても、笑っていても。

その時にかける言葉は、私の心の中に大切にしまってある。


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