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フリマアプリ

もともとは、断捨離をしようとしていたのである。昨年の、年末の話である。

いや、もっと遡ると、結婚以来、長年の、悲願。家の片付けの延長線上に、この話は、ある。

家内のこだわりポイントは、ポイ活と、クーポンと、節約である。最近、このこだわりポイントが、多数追加されたが、実はもうひとつ追加するとすれば、フリマが、そもそも、好きなのである。

昨年の断捨離のときに、かなり、捨てるものを積み上げたのだ。そして、ダストハウスに持っていこうと腰を上げかけた時に、家内が、

勿体ない。売れる。これたちは。

そう、言い出したのである。

それを機に、特に、緊急事態宣言が出されて自宅で過ごすことが多くなった時期から、家内と、フリマアプリを使って、協力して一緒に出品をするようになった。

家内と私の目標は、私が、勤続30年での失態で失った、9万円の回収である。

家内の計算では、ようやく5万円の回収に寄与しているという。

家内は、

ほら、言ったでしょ。お金になるって。

と、鼻高々だ。

一方、心の中のリトルkojuroは、

でも、片付いていないけれどね。相変わらず。

と、ちょっと斜に構えて小声で囁いた。

それはそれとして、最近、家内が、フリマアプリの違う使い方をしている。

それは、おいしいみかんの購入である。

みかんどころは日本全国、数々あれど、家内は、今までに食べたみかんの中で、経験上は、今のところ、有田のみかんが一番おいしかったというのである。

そして、有田みかんを、ゲットした。

家内に言わせると、市場に出せないような不揃いのものが、フリマにでるのだそうだ。だが、既に人気商品になっていて、みんなが狙っている。出品の知らせをキャッチするや、スマホでボタンを連打し、あとは、神頼みなのだという。

苦労したんだからね。

私は、

ありがとうございます。頂きます。

と口に出して初めて、配給に与かる。

そして、今度は、全国のみかんどころを狙っていたが、ことごとく連打合戦に敗北し、恐らく今シーズン最後の出品であろうというものをゲットした。

それが、これだ。

箱いっぱいにあったはずが、一週間も経っていないのに、この有様。

味。これは、間違いない。美味である。小ぶりであったり、ちょっと大きかったり、少し傷があったり。だが、中身は、折り紙付きである。皮は少し剥きにくいが、甘くて、一度に2〜3個、食べてしまう。

家内が言う。

コジ君、最初、フリマのこと、馬鹿にしてなかった?

私は、

いえいえ。そんな、滅相もござりません。

そう答えつつ、同時に心の中のkojuroは、声を押し殺して、欧米人のように、両手を拡げ、両掌を上にして言うのだ。

でも、家は、一向に、片付いていないけれど、ね。

でも、とれたて発送の、みかんは、超絶美味であることは、間違いのない事実である。

我が家は、家内の、フリマアプリのみかんのお陰で、幸せなのである。これで、いいのだ。

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