齋木カズアキ

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ボクが今戦っているモノ

①真相。 2022.02.01 「報告①この度諸般の事情により創作活動を自粛して生活の為の労働に注力することとなりました。よってしばらくの間Twitterは超低浮上になります。が、決して止める訳ではありません。生活ペースが落ち着きしたら時々皆さんの会話に口を挟む予定です。 報告②創作活動も決して止める訳ではありません。カクヨムに連載中の小説もありますし、今後文学賞に応募する予定もありますので、地道に続ける予定ですので見かけたら応援よろしくです。それではしばしのお別れです(っ

    • RICO-君と生きた青春 00 あらすじ

       それなりに不自由なく暮らせる日々は、僕を怠惰にした。夢の存在を忘れ かけている冴えない中年男性冴木実は、仕事帰りの路上でいきなり『ボクと セックスしない?』と誘惑をする長身の美少女梨子と出会う。  冴木が中学時代にふられた初恋相手華奈子の娘だという彼女が気になり、 一晩自分のアパートに泊めることに。お礼に何でもすると宣言した梨子は出 会ったその晩からセックス経験の乏しい冴木を自らの容貌と、明朗快活な性 格を駆使して、健康的で淫靡なセックスの世界へと引きずり込む。一晩の約 束

      • RICO-君と生きた青春 あとがき

         この物語の主人公二人には実在のモデルがいます。  RICOこと及川梨子は私、齋木カズアキの妹。そして冴木実は私自身で あります(と言っても、決して近親相姦の話ではありませんので、あしからず。汗)  お互いの現在の境遇を重ね合わせ、この小説は完成しました。  妹は現在、物語にも登場した難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し 療養生活を送っています。  主人公の梨子は亡くなってしまいますが、妹は存命です。梨子の母、華奈 子の告白にあるように、妹は人工呼吸器により命を永らえ

        • RICO-君と生きた青春 22 これからも

           その後の僕は毎日の仕事をそつなくこなし、プライベートは執筆活動に集中した。寝る間も惜しんで努力した。パワー全開の君と暮らしていた日々に比べれば、辛いと思える時間も充足感が満たしてくれた。  華奈子とは梨子の月命日の墓参りや、法事の時に、会うようになった。それがいつの間にか、梨子を口実にすることなく、不定期ではあるが年に数度顔を合せる仲へと発展した。けれど、二人の間には何もない。長い間離れ離れでいた親友同士が空白の時間を埋めるように、親交を深めていった。それでも僕が抱く華奈子

          RICO-君と生きた青春 21 梨子からの手紙

           梨子の四十九日の法要に参加した。華奈子の実家から近い、丘陵地帯に作られた新しい分譲墓地への納骨も立ち会った。そこは華奈子の両親も眠っている。賑やかが好きな君に相応しい場所で僕は安堵した。  後日、華奈子から手紙が届いた。それは梨子が亡くなる少し前から、人の手も借りて記し、プリントアウトした僕へのメッセージだと言う。 親愛なる実クンへ。    この手紙が実クンに届く頃、もうボクは天国に行ってる。……じゃなくて地獄かな(笑)。  この何ヶ月かの間、ボクには色

          RICO-君と生きた青春 21 梨子からの手紙

          RICO-君と生きた青春 20 号泣。~君と生きた青春~

           華奈子の職場は、実家から直線距離で北へ二〇キロ以上離れた総合病院で神経系疾患や呼吸器系疾患、回復期リハビリテーションの拠点として多くの患者たちの支えになっている。住いは、そこから三キロほど南下した高層マンション五階西側の2LDK。床はバリアフリーでリビングの入口は引き戸になっていた。全て梨子のために改装したことが窺える。中央に小さな祭壇が設けられ満面の笑みをたたえた梨子の遺影が、部屋に入った瞬間すぐ目に付く場所に置かれていた。写真はベッドの上で撮られたもの。まだ少し身体が動

          RICO-君と生きた青春 20 号泣。~君と生きた青春~

          RICO-君と生きた青春 19 本当の梨子

           君が去った後の僕は、すぐに出会う前の生活リズムに戻り、タイムスケジュールも全く変化がなかった。しかし一日一日を無駄にしないという意識が以前とは大きく変わっていた。  その中でずっと梨子のことを考えていた。君を想う僕は驚くほど冷静だった。君と過ごした時間はどんなことも刺激的で胸が高鳴った。ずっと一緒にいたら、いつか心臓発作で死を迎えるのではと恐れるくらい僕の脈拍は上昇を継続していた。とりわけ君のテクニックは超絶だった。そのお陰で僕も負けじと腕を磨いた。思い出すだけでイッテしま

          RICO-君と生きた青春 19 本当の梨子

          RICO-君と生きた青春 18 穏やかな別れ

           静まり返った部屋は、ここだけ空気が薄くなったように感じ、息が詰まりそうだった。  君がいなくなると、この空間は広すぎるし一日は長過ぎた。  最初の三日、寝覚めは最悪だった。思考も肉体も全く機能しない。その間僕は会社を休んだ。外にも出ず、呆然と過ごした。生きるため、食べ物を口にしたり、排泄したり最低限の行動をむりやり実行はするけれど、何かをする度に君の仕草、君の声が纏わりついた。四日目の夜、気持ちの変化が何一つないまま、仕事をこれ以上休めないという義務感だけで、五日ぶりに湯船

          RICO-君と生きた青春 18 穏やかな別れ

          RICO-君と生きた青春 17 秋は突然。

           夏休みの季節は楽しく過ぎて行った。  社会人だから学生に比べたら休暇の日数は少ないけれど、仕事をしている平日も、僕には楽しい日々だった。梨子がいるだけで、自分を慕う異性がそばにいるだけで、明日が来るのが待ち遠しかった。平日の昼間、君が部屋で何をしているのか、或いは外出しているのかは全く気にしなかった。間借りしているからって掃除や洗濯なんてしてもらう必要もない。帰ればいつも君はいる。僕のために何もしなくていい。夕食だって本当はどうでもいい。だからこのままずっといて欲しい。親子

          RICO-君と生きた青春 17 秋は突然。

          RICO-君と生きた青春 16 夢のような戯れ。Part-5 ~真夏の大冒険?~

           次の日。  トイレの中の、あの時のスリルと快感が忘れられず、君は色んな場所のトイレでヤッてみようよと、馬鹿げた冒険を提案した。瞳の輝きは、まるでセックス覚え立ての十代男子が、妙案を思い立った瞬間のようだった。考えたら君はまだその『十代』。青春時代にしかできない突拍子もない遊びを思いつくのも不思議ではない。しかしなぜ、梨子のような美少女が?と首を傾げもするが、頭の中でへりくつを並べながら、僕はやってみようかと二つ返事で頷いた。  この壮大な悪ふざけを実現するに際し、移動時間の

          RICO-君と生きた青春 16 夢のような戯れ。Part-5 ~真夏の大冒険?~

          RICO-君と生きた青春 15 一瞬の輝き

           ずっとそばにいるのに、いつも新鮮で新しい発見と驚きを見せてくれる梨子に、今時の少女らしくない、頑なに拒む行為がある。  それは写真を撮ること。昨今はSNS全盛で、若者は街中の至る所で何かにつけて写真を撮り、それを自らのインスタグラムなどにアップしイイね!を欲しがる。御多分に漏れず梨子も、彼等、彼女らの一員だと勝手に思い込んでいた。  映画鑑賞でもそうなのだが、僕は楽しかった思い出はプログラム購入などで確実に記録したい性格なのだ。だから君といる今を留めておきたいと望む感情が沸

          RICO-君と生きた青春 15 一瞬の輝き

          RICO-君と生きた青春 14 ありふれた日常へ。そしてPart-4 密室の熱戦

           世間がお盆休みの最中に野球観戦の予定があった。相手は阪新だ。この時期、叔父は行かない。名はないが永く続いた家系の現当主という立場であるため、千葉県の生家でご先祖様の里帰りを見守っている。だから東後ドームへは毎年一人で足を運んでいた。叔父も根っからの巨陣ファンだから二人で観れば確かに盛り上がるが、意見が食い違う場面も、偏った考えを披露することも多々あった。他球団で永年活躍したライバル選手を嫌いだからという理由で『あいつは二流だから』とか『俺は認めない』などと毛嫌いする。僕は純

          RICO-君と生きた青春 14 ありふれた日常へ。そしてPart-4 密室の熱戦

          RICO-君と生きた青春 13 夢のような戯れ Part-3 真夏の昼下がりに

           週が明けると夏休みまでの高校の授業は残り少なくなってきた。君は勉強していると言い張るが、部屋では教科書を開けるのすら見たことがない。訊ねると期末テストも先週既に終わっていたと言う。学校本当に大丈夫なの?と軽く問い詰めると、ボクは影で努力するタイプなのと涼しい顔ではぐらかす。 「だって、実クンといる時は、実クンだけ見てたいの」 と、涙が出るようなセリフを潤んだ瞳で訴える迫真(?)の演技を見せられ心を惑わされた僕は、簡単に言いくるめられてしまう。  その後、一学期の学校生活が滞

          RICO-君と生きた青春 13 夢のような戯れ Part-3 真夏の昼下がりに

          RICO-君と生きた青春 12 初恋の思い出

           翌土曜日。  二人の朝は遅かった。通常の週末に起床する午前十一時を時計で確認しても、ベッドを出る気になれなかった。その理由は、ハイテンションな大きな子どものお守りをした前日の疲労が、普段だらけているおっさんの身体では容易に解消されなかったせいなのだが、その他に、梨子がまだ懐の中で寝息を立てているのも大きく関与していた。  大学生時代、実家で飼っていた猫が惰眠を貪る僕の枕元で、いつまでも一緒に寝ていた記憶がよみがえる。今日はこのままベッドにいて、目を覚まさない君のもとで、猫の

          RICO-君と生きた青春 12 初恋の思い出

          RICO-君と生きた青春 11 夢のような戯れ Part-2 野球観戦 ~寝顔~

           六回には一番金井が2ランホームランを放ち、点差は四点に広がった。先発須賀野は悪いなりにも投球が尻上がりに良くなり、七回を二失点にまとめてマウンドを降り しかし僕にはまだ試合展開に於ける懸念材料があった。『逆転の紘島』と言われるくらい相手チームが気を許してからの反撃には定評がある。ほんの少しの綻びに紘島打線は付け入ってくる。梨子にもそんなレクチャーをした。それからの君は守備につく巨陣ナインも応援した。ピッチャーがストライクを取る度に精一杯拍手をし、野手に向け、君は大きな拍手を

          RICO-君と生きた青春 11 夢のような戯れ Part-2 野球観戦 ~寝顔~

          RICO-君と生きた青春 10 夢のような戯れ Part-2 野球観戦 ~熱戦~

           階段を上がる前に、一階正面入り口の脇に設置されているシーズンシート購入特典交換所で、球団のロゴ入りオレンジタオルを二枚受け取り、一枚を梨子の首に素早く掛けた。君はきれいな色だねと微笑む。  長い階段を上がり切り、荷物検査のテーブルを素通りした。二階席入り口手前でチケットにあるバーコードを読み取られ、回転扉で中に入ると場内アナウンスが聞こえる。入場した試合開始三十分前にはスターティングメンバーの発表がある。場内の盛り上がりを考えると、どうやら後攻の巨陣の先発メンバー発表の最中

          RICO-君と生きた青春 10 夢のような戯れ Part-2 野球観戦 ~熱戦~