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RICO-君と生きた青春 あとがき

 この物語の主人公二人には実在のモデルがいます。
 RICOこと及川梨子は私、齋木カズアキの妹。そして冴木実は私自身で
あります(と言っても、決して近親相姦の話ではありませんので、あしからず。汗)

 お互いの現在の境遇を重ね合わせ、この小説は完成しました。

 妹は現在、物語にも登場した難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し
療養生活を送っています。
 主人公の梨子は亡くなってしまいますが、妹は存命です。梨子の母、華奈
子の告白にあるように、妹は人工呼吸器により命を永らえています。もちろ
ん口からの食事は摂れず、言葉も話せません。ヘルパーさんにより24時間
体制の在宅介護を施され、終日ベッドの上で暮らしています。
 これだけを書き連ねると、辛い生活を余儀なくされているように感じます
が、決してそうではありません。身体の機能は失われましたが、それ以外は
健常者と変わりません。意識はしっかりしているし、自分の考えもハッキリ
訴えられます。日中或いは夕食後はベッドの上で身体を起こし、テレビや映
画鑑賞を楽しんでいます。
 妹は主人公梨子同様明るい性格で、わがままで、思ったコトをハッキリい
うタイプでした。健康な頃には筆者とよくケンカもしました。寝たきりにな
った今でもその性格は変わらず、彼女の物言い(話せませんが)にキレたり
するのも日常茶飯事です。(笑)

 妹の病名を宣告された時、私は絶望で目の前が真っ暗になりました。妹の
前で初めて号泣しました。ですがその時、妹は私たち家族に向かってこう言
いました。

「私、諦めてないから」

 梨子は妹そのものなのです。
 病気で自由が利かない現在も、妹は決して人生を投げ出してはいません。
毎日の生活を楽しくしようと、日々努力しています。

 そんな妹に対してエールも込めてこの作品を執筆しました。

 妹が病気を発症してから6年余りが経過しました。
 幸いなことにまだ生命の危機的状況は訪れていません。
 これも妹が『生きたい』と願う強い意志が為せる業だと感じています。
 生前の梨子を話す、母華奈子の細かいエピソードも、全て妹をなぞってい
ます。父は十数年前に他界しましたが、妹も父が大好きでした。

 そして現在の私は、梨子に出会う以前の冴木実そのもので、この物語のエ
ンディングの彼のように、残念ながら夢を叶えてはいません。
 その意味でも、この作品が夢を叶える突破口になればという強い願いを込
め、「創作大賞2022」に応募させて頂きました。
 
 筆者の趣味(?)で性描写が多く登場しますが、その奥には他人(ひと)
を思い遣る優しさがあります。この小説を読んで頂いて、皆さんの心の琴線
に触れる何かが見つかれば、筆者としては嬉しい限りです。

                          2022年1月吉日

#創作大賞2022

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