わが闘魂の経営[アイアコッカ]        語録:決断、定年、妻を悼む、日本について

最後に、この本で思いがたまった言葉を綴っていくことにします。              ◆先ずは                               『1970年代、競争力を落としたフォード社で、経理と営業のバランスが崩れたていた状態について・・・』

「経理担当者が、会社の中でまともなのは自分らだけだと思い込んでしまった。「我々がブレーキをかけなければ、バカどもが会社を潰す」(車の世界の情勢変化の速さに気づかず) 彼らは「会社の競争力がみるみる落ちていくというのに、翌年の予算会議まで何一つ手を打とうとしなかった」        【👺】お金を預かる経理の役目は大事ですが、外を見て、売る部隊のパワーとバランスしないと、ですね。

◆続けて                              『決断の難しさについて・・・』                            (ハーバード大出身者に)「あそこでは、全データが集まるまで行動するな、と教える。ところが、95パーセントのデータが集まってるのに、残り5パーセントの収集にあと6ヵ月かかるというときがある。で、全部集まったときには、市場の情勢は変わってしまう。人生で一番大切なのは、タイミングなんだよ」                           【👺】「確証あるのか?」「だから無理。そんなことも知らないのか?」 こんなやりとり、言われたことも言ったこともありました。 今の時代、決断して先ずは動く、先手を打つ、ことの大切さを思い知らされる毎日!      

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◆高齢化の先陣を突っ走る日本! 喫緊の課題が                      解雇(する、される)の辛酸を数限りなく味わった彼が「だいたい、一律定年制そのものが、むごい制度である。65歳になるとピンピンしている人でも定年にしてしまうのを、私は実にバカげたことだと思ってきた。」「経験も知恵もある人を、なぜ追い出してしまうのか」             そして日本について 「日本では、年寄りは立派に企業を動かしている。最近、日本へ行ったとき、私が話をした相手で最も若い人は75歳だった」! 以前から日本ではリーダーの若返りが課題、との指摘がある一方、今後の日本は高齢層がリーダー役を含めて幅広く活躍できることも必要ですよね。       

◆「妻メアリ」                            この本では勝利だけでなく、大きな犠牲も描かれています。中でも「妻メアリ」は、心情にとげが食い込む思いを残します。            娘の大けがにも動転せず冷静に対処して家族を落ち着かせ、外に対しても気丈さとバランス感覚を失わない。あのフォード解雇の後、メアリ自身も古い友人を失いながらも彼を支え続け、「メアリこそ力の源泉だった」    もともと糖尿病で、合併症に苦しみ、フォード解雇の後に心臓発作。ストレスが最大のマイナスなのにその後もクライスラー経営危機の激震に見舞われてしまう。遂にクライスラー再建を見届ける前にこの世を去りました。                       最も震える思いは「死の2週間ほど前の夜、メアリはトロントの私の出張先へ電話してきて、私の手腕をほめてくれた」なのに、「それなのに、あの苦しい何年かの間に、一度も彼女の手腕をほめてやらなかったことが、私は悔やまれてならない」何度も自分を責めたかもしれません。                       彼は言います。「私はビジネスの世界で素晴らしい成功をおさめはしたが、そんなもの家族の幸福に比べたら、ものの数ではないのである」      

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日本のこと                              日本が「ナンバーワン」と評されるまで駆け上った階段。昭和生まれの世代は身をもって体験したことでしょう。彼はこう綴っています。      「私は日本人を心から尊敬する者である」「日本人は昔の状態を忘れず、現在の立場をよく考え、しっかりと未来を見据えている」          国が戦後復興を計りながら産業界とともに高度成長を歩んだ時代。    一方、当時の日米貿易摩擦に関連して「日本産業には強力な支援者がいる。産業界と緊密な連携を保つ通産省がそれで、同省は日本の将来にとって重要な産業を選別し、その研究・開発を援助している」「通産省や大蔵省は、政府の中で最も格式の高い役所とされているから、きわめて有能な人材が集まる」それが日本経済に及ぼす影響は「我々の想像をはるかに超えるものがある」 日本の輸出が「集中豪雨」とバッシングされ、”経済戦争”の手ごわい相手、しかもアメリカをノックアウトした、と揶揄された頃のこと。   外資規制、保護関税など、日本の主要産業は「真綿でくるんだような保護下におかれた」                              一方、「政府の後押しはあったが、日本の自動車メーカー自体の努力も、称賛に値するものだった」「彼らは保護下にあっても漫然としていなかった」

漫然どころではない。経営者、株主、政府、銀行、素材メーカー、下請け、労働者が、すべて一丸となった」「そして日本一流の芸術的な技術力を駆使し、世界のどこに出してもヒケをとらない製品を送り出した」                               【👺】きちんと仕上げ、きちんと売る、の姿勢は今も変わりないのでは? 海外製品のレベルが凄く上がってはいますが。

さらに日本を分析し「先ず、労働者が違う」「何をすればいいか」と考え、床が汚れれば「当然のようにホウキを取って掃く」「きわめて規律が正しい。不具合を発見すれば、すぐにそれを正す」「彼らは仕事に誇りを持ち、労働を天職と考えている」

経営者についても、「われわれから見れば不思議というほかない前提に基づいて仕事をし、それが日本産業の成功に役立っている」 その報酬は「一般に、お話にならないくらい低い。自社株オプションや追加報酬といった制度も、存在しない」 それどころか、「現場で働いた経験を持つ経営者が珍しくない」「日本の経営者は一般の労働者と同じ世界に住んでいる」   【👺】今は違うのでしょうか。今でも、仕事に誇りを持てたら幸福と思う気持ちに変わりないのでは?

プロローグ                               今となっては歴史の一部。でもその後の日本はどうでしょうか。バブル崩壊後はGDP順位、平均所得、企業の時価総額、など、ランキングで日本勢凋落の実態ばかり見せつけられてきたような。中国経済の台頭。せっかく招いたオリンピックは初の延期で今年も不明。コロナ禍対応では政治も不甲斐なく、感染者は増加し、経済は沈滞。                            でも、今も日本の労働、製品レベルは今も世界一品のはず。細かな改良を怠らない製造業。インバウンドが減っても日本品質、商品の信頼度は依然としてピカ一。高齢と呼ばれてもピンピンしている人は大勢。自分に合う仕事で誇りを持って働きたい気持ちは誰でも一緒じゃないですか?       久しぶりに広げたこの本、今も古くなく、この国を盛り上げていく要素ありかと思うのです。                       [完]

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