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眠りについて ~うまく眠りにつくための方法~

もう何年も前の話になる。

眠れない日が続いた。

理由はいくらでもあった。

将来の不安や人間関係。自分の不甲斐なさ。


それを全て認めたくなかったから「言いようのない不安」としてひっくるめて僕を取り巻いていた。


そんなことだから誰に相談するでもなくただ「最近寝付けが悪くて…」なんて言葉で周りも自分も誤魔化していた。

眠りとは自分の精神状態と密接に関わっていて、ストレスを抱え込みすぎると寝れなくなる。20代前半の頃は寝る時に電気を消すのが嫌でいつも付けっ放しにしていた。電気をつけたまま寝るというのは脳が休まらないから、余計眠りが浅くなるのだけどそんなことは知ったこっちゃなかった。おかげで睡眠負債が溜まっていった。睡眠は足らなくなると負債となって蓄積されていくのだ。詳しくは「最高の睡眠」という本を読んでほしい。


20代半ばになり電気をつけながら寝るということはなくなったがそれでも寝付けは悪かった。


そんなときに僕はある方法を考えた。


自分が今まで眠たくなった時の経験を思い出したのだ。
それは学生時代の授業中だ。


まるで催眠術のように多くの生徒が睡眠へと誘われた国語の授業。

全くの無音の空間よりも意味のない雑音の方がぐっすりと眠れることに気づいたのだ。そしてこれがとても気持ちいい。気づいたら寝ている。つまり寝落ちができるのだ。


だから同じような環境になれば眠ることができるのだと思った。そこで色々な動画を見た。


意味のないとは書いたものの興味のないものは見る気がしない。そして映像を見ると、どうしても光によって脳が活性化するから音だけで楽しめるもの。そんなものを探した。
漫才を見ていたのだけど好きな芸人の漫才はあっという間に見尽くした。そもそも漫才はテンポが速すぎて目が覚めてしまう。かといってオーディオブックはやたら陰気臭く気持ちが沈んでしまう。


そこで僕がたどり着いたのはラーメンズというコント集団のコント動画だった。


僕はいつしか寝る前にラーメンズを見るのが日課になっていた。おそらく3年程ほぼ毎日見ていたと思う。もちろん音声だけでなく動画としても全て見た。



ラーメンズは今まで僕が知っているコントとは全く違っていた。

1つのコントの中での世界観、設定が秀逸すぎた。そして見る側に委ねるところがとても質の良い小説を読んでいるみたいなのだ。行間を読ませる、その言葉がよく似合う。


例えば、僕が今まで見ていたコントは、コンビニ強盗とコンビニの店員という設定だとすると、

コンビニ強盗は変装をしてナイフを持ち店の前に立つ。

コンビニ強盗「今からこのコンビニに入って強盗をするぞ!」

と店頭で独り言を言ってあらすじを伝える。

そしてコンビニ強盗が店内に入り店員との掛け合いをするという流れである。
これはこれで分かりやすい。キャッチーで瞬時にどのような状況かが分かる。口であらすじを伝え、服装で強盗と店員という世界を作り上げる。

では、ラーメンズの場合はどうか。

ラーメンズの場合は基本的に衣装や小道具がない場合が多い。あったとしてもそれは最低限に留まる。

コンビニ強盗が店員に入る場合も最初はコンビニ強盗かなんなのかは分からない。しかし会話のやり取りから見る側は「あぁ、これはコンビニに強盗が入ってこの人は店員なのだな」と認識する。
そのように見る側に世界観を委ねている。

そして、強盗犯と店員の二人だけのやりとりの中に突如、客Aや店員Bといった登場人物が現れる。一人で二役も三役もこなしていくのだ。

そんなコントは今まで僕は見たことがなかった。

「言いようのない不安」で眠れなかった僕だがいつしかラーメンズのおかげで不安が拭い去れたのだ。

コントの構成、言葉の使い方、どれも想像を掻き立てられる作品ばかりだ。

僕はおかげで寝る前に動画を見ようとせずともすんなりと眠りにつけるようになった。

今日は久しぶりにラーメンズを見ようかと思う。

何から見ようか、とりあえず「不透明な会話」から。


次回は「勉強について」


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