#14 プロジェクト・アリストテレス(Google

【声優 佐原誠って?】

●アルビン!&しまっピーズ「サイモン」役
●カードファイト!! ヴァンガードoverDress「コイデ」役
●ぷよぷよテトリス2「スクエアス」役
●アサシンクリードヴァルハラ「オズワルド」役
●CallofDuty:ModernWarfare:Warzone「アズール」役
●ロシャオヘイ戦記「冠萱」役
●真心が届く「チェユンヒョク」役
等のボイスを担当しております。
宜しくお願いいたします!

*この動画のトークを「だいたいの形」で書き起こしました。
*動画を観る時間取れないよー!という超絶お忙しい方向け。
*あるいはテロップがわりとしてどうぞ。

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どうも、佐原です。
【声優 佐原誠のサハラジ!!】にお越しくださいましてありがとうございます!
ではさっそくサハラジオ、始めて行きますよ、というわけで今回のテーマはこちら

「プロジェクト・アリストテレス」

はい。14回目!!!いつまで続けるんだこの話!!その答えは簡単。終わるまで!!!もう引っ込みつかない所まできちゃっているんですよ、ははは。

というわけでさっそくやっていきますが…。

前回の最後は「なぜ、叱る時怒ったら上手くいかないのか?という問いがまだ残ってる」というところで終わりました。今回はそのお話をしていこうと思います。

ここに至るまでの13回の中で、何度も「前頭葉」という言葉を出してきました。正確にはその中でも「前頭前野」なのですが。

前頭葉は哺乳類全般が備えた脳の部位。その一部である前頭前野は、他の哺乳類の中でも人間が圧倒的に進化しており、肥大化している。人類に次いで2番目に前頭前野が大きいとされているチンパンジーよりも、圧倒的な差があるそうです。

というか、まず脳の容量が全く違う。人間の脳の容量はおよそ1350mlなのに対して、チンパンジーは400mlほどです。そもそもの大きさが3倍以上差があるのです。その上で、大脳における前頭前野がしめる割合は、人間は30%、チンパンジーは8%ほどだそう。

何が言いたいかと言うと、とにかく人間はほかの生物に比べて圧倒的に大脳が大きく、その中でも前頭前野が圧倒的に進化している、という事です。そしてこの前頭前野は、「理性や思考力」をつかさどっている部位である、と。今回のお話は、この事を前提としております。



まず「怒る側」のお話。

怒っている状態というのは、理性をつかさどる前頭葉が機能していない状態、という事。前頭葉が機能していないという事は、思考力が低下している状態という事です。思考力が低下しているという事は、怒りながら口に出している言葉は、根拠に乏しい感情論である可能性が増大します。そのような状態で叱っても、その内容は正当性に欠けるものである可能性が高いため、説得力に欠ける。それでは相手に納得してもらえないので、相手は変わらない。つまりその行為そのものが無駄である。

その「叱るや怒る」が「自分のストレス発散が目的」ならば一定の効果は認められるのでしょうが、こと「相手に改善してもらう事が目的」ならば、無意味である、そういうお話。



で、次は「怒られる側」のお話。今回のキモはこちらでございます。

こちらでも、「怒りながら叱る側」と同じことが脳内で起こります。
怒りをぶつけられると、その人は強くストレスを感じます。ストレスを感じると、人は「戦闘モード」に入ります。戦闘モードに入ると、前頭葉といった「闘う事に関係ない機能」は全般的にコストカットの対象となります。「理性」は迷いを生むため闘う上で邪魔ですし、「思考力」も一瞬の判断が求められる戦闘時には必要ないからです。ですから前頭葉の機能は積極的にコストカットされるわけです。これを用語で「闘うか逃げるか反応」と言います。(そのまんますぎて専門用語っぽくないですけども)んで、そのような状態では、何を言われてもまともに受け止められないし、考える事もできません。ですから、仮にどんなに大切な事を言われたとしても、「入ってこない」のです。入ってこなければ当然、理解もできない。のであれば改善もできませんので、つまるところ、怒られる事に意味はないということになる。

これは人間の仕組み上の話であって、性格の問題ではありません。生き物は構造上そういうものなのです。

そもそも論、何故「ストレス」を感じるのか、そこを考えてみるとわかりやすいかもしれません。ストレスって何かというと「身の危険を知らせる本能からのサイン」なわけです。「危険が迫ってるよ、警戒して!」という非常事態アラームなんです。つまりストレスは人間の生存戦略であり、防衛本能なんですね。

このような本能は、基本的に人間の意識でどうにかなるものではありません。どうにかなったら本能の意味がないからです。

ストレスを感じた段階で、人は自然と「闘うか逃げるか」のどちらかをするモードに入ります。人だけでなく、他のどの生物も、ストレスを感じると必ずこのどちらかを行います。

が、人間はほかの生物と違い「理性」を、そしてそれに付随する「社会性」という物を持っています。また、「想像力と思考力」も備えています。ストレスで思考力や理性が低下するとはいっても、0になるわけではありません。人間の場合は、低下しながらも残った理性や思考力が、他の生物にない第3の選択肢「その場で耐える」という選択を取るせることが多くあります。パワハラモラハラが横行する職場環境で働き続ける、というのはその典型だと思います。

パワハラモラハラというのは、人間の構造から考えると、他者を攻撃する行動だと言えます。なぜなら、それをする人の認知構造は「攻撃している時のそれと同じ」ですし、それをされた人の内部で起こる反応も「攻撃された時に起こるそれ」だからです。

そのような理由で、パワハラモラハラされた人は「戦闘モード」に入るわけですが、しかし人類の進化により発達した前頭葉が「闘うor逃げる」という生き物が自然と取る基本的な選択を踏みとどまらせます。

「パワハラ上司に反発して、さらなる嫌がらせを受けたらどうしよう」という理性。
「反撃して職場の雰囲気悪くなったりしたら他の人たちに申し訳ない」という社会性。
「今逃げても明日にはまた職場に戻ってこなきゃいけないから…かといって会社辞めても他の会社に再就職できる保証はないし」という思考力。
そうしたものが「その場で耐える」という選択を取らせます。

しかしこれは、先に述べた理由で、動物として極めて不自然な選択なのです。

身体はストレスを与えてくる対象を前にして「闘うか逃げるか」の準備をしている。が、なけなしの理性がそれを踏みとどまらせる。しかしながら踏みとどまった所で、実際問題として「ストレスがなくなっていない(問題解決していない)」わけですから、その状態(職場環境や、パワハラしてくる相手の前にとどまる事)でいる間中、本能はずっと「ストレス」というアラームを送り続けています。

このように異常な状態に長く身を置くと、人は心や体に異常をきたします。非常事態下での緊張状態でいることは、それほどまでに人の心と体にダメージを与えます。例えば戦争状態の場所に長くいると「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」になりますが、これなどはその典型例だと思います。

心だけでなく、体にもとても悪い影響がでます。

戦闘モード…つまり「闘うか逃げるか反応」が起こると、それに必要ない能力はコストカットの対象になる、と先ほど申しました。コストカットというのは何かというと、シンプルに、そこ(臓器)に流れる血流が少なくなるという事です。健康を保つために必要な血液が不足した状態が続く事で、シンプルに臓器がやられるんですね。ですから、ストレスはこのように、ストレートに身体に悪いんです。

そのような「構造上の問題」があるので、他人に「いい仕事」をしてもらいたいのならば、「圧をかける事」は逆効果であるわけです。人間は、パワハラモラハラや「無駄な圧」をかけるとストレスを感じてパフォーマンスが下がる構造だからです。


じゃあ、他人に対してどうすればいいのか(どう接すればいいのか)。叱るや怒るじゃなくて、何をすればよい結果を生み出せるのか。これに関しては、とある複数の研究が参考になります。

「プロジェクトオキシジェン」
「プロジェクトアリストテレス」

というものがあります。これは「Google」という企業がおこなった、とある実験の名称なんです。

2009年頃から非常に長い年月をかけて行われた研究なのですが、その目的はなにかというと、生産性の高い「効果的なチームの条件」を調査して、定義づけることでした。つまるところ「どういう環境を整えると、人やチームは高いパフォーマンスを出せるのか」。Google社はこれを明らかにしたかったわけですね。

細かく説明すると長くなるので割愛しますが、この2つの研究の結果はどんなものかというと……「人がその能力を発揮するためには、心理的安全性が担保されている事が重要である」というものでした。

「心理的安全性ってなんじゃらほい?」って思いますよね。これまたざっくり説明すると……

●「何かミスをしてしまったとしても、このチームならば大丈夫、解決できると信じられること」
●「このチームメンバーはけっして自分をバカにしないし、罰したりなんかしないと信じられること」

これらを心から信じられる事が重要だ、とそういう事です。この「信頼」が、人のパフォーマンスを引き上げるのだそうです。

こう言われると「そりゃそうだろう!」などと思わず突っ込みを入れちゃいたくなる感じもありますが、いわゆる「GAFA(ガーファ)」…IT業界のトップに君臨する4つの巨大企業の頭文字をとった略称ですが、そのうちの1社であるGoogleが会社をあげて、長い時間とお金と人材を投資して行った研究の結果がこれ、というのは非常に興味深いです。


また、これとはまったく別の研究で、「高い生産性をほこる優秀なチーム」と「そうでないチーム」について調べた研究があります。その結果、この両チームの間に、ある「意外な差」があることがわかったそうです。それは何かというと、

●高い生産性をほこる優秀なチームは「ミスの数が非常に多い」のに対して
●そうでないチームは「ミスの数が非常に少ない」のだそう。

あれ?「優秀なチームはミスが多くて、そうでないチームはミスが少ないの?逆じゃない?」そう思っちゃいますよね。これどういうことかと言うと…

優秀なチームはお互いを信頼している、つまりGoogleの2つの研究で言う所の「心理的安全性」が担保されているので、
●「ミスした場合は、どんな小さなものでも報告する。何故ならばそれがチーム全体に響くミスの可能性があるから」
●「そしてこのチームはどんな問題も解決できるから、早めに報告しておこう」
という事で、ミスの報告数が非常に多くなるそうです。そうすることで、それが致命的なものになりえると判断した場合は全員でそのミスのフォローに入る事ができる。

ですからはたから見ると「なんかミスばっかりなチーム」なわけですが、結果としては全体のクオリティは非常に高い物になり、優秀な結果を残す事になるそうです。何よりも、メンバーひとりひとりのモチベーションがとても高い。幸福度や仕事の満足度も非常に高いのだそう。つまり「活き活きと仕事をしている」という事です。

しかしながら「そうでないチーム」の方は、「心理的安全性」が担保されていない。つまりミスがバレるとリーダーやメンバーから叱られたり罵倒されたりするので、誰もミスを報告しない。その結果、はたから見ると「ミスが非常に少ないチーム」になるので、ぱっと見「順風満帆なチーム」であるが、その内情は、実は悲惨な事になっている。そして出された成果物も、非常に低いクオリティになっている…そういうお話です。何よりもメンバーがいつも戦々恐々としているので、意識が非常に低い。仕事に対するモチベーションもチームや会社に対しての好感度や忠誠度も非常に低いのだそう。場合によっては互いの足を引っ張りあったりもするのだとか。

この「優秀なチーム」と「そうでないチーム」をわけるものは何かというと、「リーダーの人柄」なのだそう。優秀なリーダーは、メンバーを叱ったり怒ったり恫喝したり圧を掛けたりせず、寄り添って真摯に対応する。しかし優秀でないリーダーはそうでなく、自分の保身のために、パワハラモラハラや無駄な圧をかけ続けるのだそう。

そのリーダーの立ち振る舞いの違いが、チームの中に「心理的安全性」を生み出すか否かをわける。その結果、成果物のクオリティが全く違う。と同時に「ミスの報告数」も全く違う、そういう研究でした。



こうした研究をいくつか並べてみてみると、「怒る行為」がデメリットだらけである事がみえてきます。世界的一流企業もこうした研究結果を残しているわけですから、ある一定の信ぴょう性はあると考えられます。マネしない手はありません。

具体的にどうマネをするかというと、これはGoogleが行った「プロジェクトオキシジェン」と「プロジェクトアリストテレス」における、とある結論が参考になります。

それは「みんなが少しずつ互いを気遣う事が大切だ」というものです。

「いやそりゃそうだろう」again。

しかしながら、Google社が時間とお金と人材を投資して研究をつづけた結果が「気遣いが大切なんだ」というのは、とてもとてもとてもとても興味深い。
まさかこんなシンプルな結論に至るとは…(

しかしながら、言葉にすると当たり前なんですが……実現するのがいかに難しいかは、世の中を見渡してみるとわかってきますよね。でもこれを実現できるととても良い結果が生まれるようなので、是非ともできるようになりたいものです。

「気遣いができるようになる。」

社会がそれを実現できなくても、他の人がそのように変われなくても、自分がそれを目指さない理由にはなりません。佐原さんは他人に気遣いができる人になりたい。いや、なります!!ここで宣言いたします、私はそういう人になると。突然なぜ!?そんなことはいいんです、とにかくわたしはがんばりまーす!!!



そんなわけでして、まさかの14回まだ膨らみましたが、これにてようやく一段落…と言いたいところですが…まだこのお話をする上で重要な議題と向き合っていない感じがするので、もうちょっと続きます。

というわけでまた次回!
今回も最後まで聴いて下さってありがとうございました!
それでは、またね!!







佐原誠のTwitter
https://twitter.com/this_is_makotoS

佐原誠のYouTube
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