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日々、流されて生きている。
映画を観るのは好きなのだが、観るまでに時間がかかってしまう。1時間半から2時間という長さに躊躇ってしまい、再生ボタンを押すかどうかついつい悩んでしまう。悪い癖だ。面白くなかったら時間の無駄になるなー、とネガティブなことを考えてしまう。
タイトルや出演する俳優などの情報をみて、これ面白そうだなって直感的に思っても星の数やレビューをみて、観るのを辞めてしまうことだって多々ある。その人にはつまらなく映っても、自分が同じとは限らないのに…。
日々時間に追われ、誰かの意見に流されて生きているような気がしてしてしまう。
だけど僕は知っている。1本の映画が自分を大きく変える程の影響力を持っていることを。
線は、僕を描く
大学生の青山霜介はアルバイト先の
絵画展設営現場で運命の出会いを果たす。
白と黒だけで表現された【水墨画】が
霜介の前に色鮮やかに拡がる。
深い悲しみに包まれていた霜介の世界が、
変わる。
巨匠・篠田湖山に声をかけられ
【水墨画】を学び始める霜介。
【水墨画】は筆先から生み出す
「線」のみで描かれる芸術。描くのは「命」。
霜介は初めての【水墨画】に
戸惑いながらもその世界に魅了されていく―
水墨画との出会いで、
止まっていた時間が動き出す。
これは、喪失と再生の物語。
再生ボタンを押してから10分も経たずに「これは面白い!」と確信した。他の映画と比べて圧倒的にセリフが少ない。だが、真っ白な紙に墨で絵が描かれていく迫力に魅力された。(出演者たちのビジュアルにも目が奪われた)
話の構造自体は、水墨画を通して主人公が成長していくという極めてシンプルでありきたりな内容である。ありきたりなのだが、106分間スマホの画面に食い付けになった。
「不幸は僕を待ってくれない」と呟く霜介が抱えていた闇が、誰に訪れてもおかしくないものだったからこそ共感でき、この作品にのめり込むことができた。
人は急に何者かになれるんじゃなくて、湖峰が「何かに変わっていくもんかもね、人ってのはさ」というように日々の中で少しずつ移ろっていくものなのかもしれない。
なんとなく過ぎ去っていく時間の中で、自分と向き合えずに生きている。あまりの出来の悪さに自分の醜さと正面から対峙したら自暴自棄になってしまうかもしれない。だけど逃げずに立ち向かい僕も自分の線を見つけたい。そう思わせてくれた作品だった。
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