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休職日記 - Day15|死なない程度に生きればいいと言いながら

「お前なんで生きてるんだよ」「一緒に死のうよ」「自分に生きてる価値なんてあると思ってるの?」今日も声は鳴り止まない。私は耳を塞ぎ急いでその場を離れる。朝起きてから夜寝るまでずっと。夢の中でも鳴り止まない。これは幻聴だ。

私は一人でいるのが好きだった。ここ数年もうずっと一人でいることができていない。常に“得体の知れない何か”と共に生き続けている。


「あなたは脳の病気です」そう告げられ、その病気の現実を目の当たりにした時、両親は泣き崩れた。この病気になったら最後。一生を病院で過ごすこともあり、いわゆる人並みの生活を送れている人はごく僅かだったからだ。


食事の時だけ起きるという、ほとんど寝たきりの生活が続いた。起きてもぼーっとすることしかでかなかった。毎日、無理矢理にでも入浴させてくれていた親には感謝している。私は休みなく聞こえ続ける幻聴に精神が完全に参っていた。


処方薬が合っていたのか、しばらくすると幻聴が減ってきた。少しずつ自分の意思で生活ができるようになった。幻聴が酷かった時、自分が何を考え、どう過ごしていたのか、はっきりとは覚えていない。少しずつリハビリのような訓練にも取り組めるようになり、病気になる前には出来なかったこともできるようになった。


さぁ、満を持して社会復帰だ。しかし、社会はそう甘くはなかった。一歩、社会に出てみれば、私は扱いにくい精神障害者でしかなかった。通院している、服薬している、それだけで社会からは煙たがられることを知った。脳の機能がうまく働かない病気だと伝えても、“心が弱い人”としか受け取ってはもらえなかった。どれだけ訓練を重ねても、それは実際に企業で働いた実績ではないため就職活動ではほとんど役に立たなかった。私は厳しい現実を思い知らされた。


精神障害者の平均月給は12万5千円。フルタイムで働くことができず、週30h程度の勤務などが多いことも給与が低い理由。障害年金も受給できるとは限らないため、とてもじゃないけど生活できない。はっきり言って働かずに生活保護を受給した方がマシかも知れない。


昨今、ダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(包括性)(D&I)やダイバシティ、エクイティ(公平性)、インクルージョン(DEI)などが提唱されている。性別、国籍、年齢、外見、障害の有無、性的指向・性自認、ライフスタイルなどにとらわれず誰もが活躍できる社会を、ということだが、日本ではようやく女性が活躍できる環境を整えようと動き始めたばかりだ。障害者が活躍できる環境なんて夢のまた夢かもしれない。


私には目標がある。障害、とくに精神障害を持つ人が活躍できる社会を作ることだ。障害を持つ私に何がができるのかはわからない。それでもまずは、自分自身が働ける環境を見つけるところから始めていきたいと思う。

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ふと思いついてエッセイ書いてみました。笑


最後まで読んでくださりありがとうございました。

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